artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
日本の画展2010
会期:2010/06/29~2010/07/04
ギャラリー健[埼玉県]
額縁工場見学ツアーのため埼京線中浦和駅に初めて降りたら、目の前にギャラリーがあったので入ってみた。日本画展をやってました。日本画は津々浦々にまで浸透しているなあ、と合点(画展)。
2010/07/03(土)(村田真)
泉イネ展「未完本姉妹 影の春光」
会期:2010/06/26~2010/07/31
小山登美夫ギャラリー6F[東京都]
本好きの女性たちが寄り集まって本姉妹を結成。その集いを映像や写真に撮ったり、彼女たちの持ち物を描いたりしている。だから「未完本姉妹」は「未完本の姉妹」ではなく、「未完の本姉妹」なのだ。重要なのは、未完なのに姉妹(しまい)ということですね。それはともかく、こうしてなにか物語を設定したうえで、さまざまなメディアにより作品を紡ぎ出していくというのが泉イネのスタイルらしい。つまり、作品に外部性を持ち込むというか、作品の一部を外部にゆだねるというか。
2010/06/30(水)(村田真)
すみだ川アートプロジェクト2010「遠藤一郎:隅田川いまみらい郷土資料館」
会期:2010/06/26~2010/07/25
すみだリバーサイドホール・ギャラリー[東京都]
アサヒビール本社の前を流れる隅田川をどげんかせんといかんと始まった企画、今年は遠藤一郎が仲間とともに隅田川を源流までさかのぼり、調査、インタビュー、採集活動した成果を発表。水川千春は源流から河口までポイントごとに水を採取し、その水で紙に絵を描いて火にかざして「あぶり出し」ている。上流の水はきれいなので紙は真っ白だが、下流に行くほど不純物が多くなるため茶色く浮き出る。本当かよって疑いたくなるほど差がつく。河原に落ちてたものを拾ってきたやつもいる。松ぼっくり、自転車、IC回路など、これも上下流で落ちてるものがぜんぜん違う。おもしろいのは全長2メートルほどの恐竜の木製骨格標本。バラバラに落ちてたものを集めて復元しているのだから、化石と同じだ。感動的だったのは、時計だけ生きている自動炊飯器。飯を炊く機能は失われても、けなげに「生きている」。アサヒビールがつぶれても、人類が絶滅しても、この時計だけは時を表示し続けるような気がする。
2010/06/30(水)(村田真)
カポディモンテ美術館 展
会期:2010/06/26~2010/09/26
国立西洋美術館[東京都]
ナポリの美術館から工芸や素描も含めて約80点の出品。パルミジャニーノ、ブロンズィーノらの不穏な肖像画、ラ・トゥール的光を描いたナポリ時代のエル・グレコ、イエスさまがVサインをしながら飛び跳ねてるヴァザーリの《キリストの復活》など、注目すべき絵画は少なくないが、1点選ぶとすれば、アルテミジア・ジェンティレスキの《ユディトとホロフェルネス》をあげたい。寡婦のユディトが敵将ホロフェルネスの寝首を掻くという艶かしくもおぞましい絵。アルテミジアの素性を知るとなお真に迫る。ちなみに別の画家による同主題の作品がもう1点、また、乳房を切られた聖アガタを主題とする絵も2点あり、血なまぐさいことこのうえない。絵画以外では、サイの角を彫った杯、貴石をあしらった小箱、象牙による小さな彫像など、カポディモンテ美術館の基礎を築いたファルネーゼ家のヴンダーカマー(イタリアでは「ストゥディオーロ」と呼ばれた)を飾ったであろう珍奇な工芸品も一見の価値あり。
2010/06/25(金)(村田真)
徳田恭子 展
会期:2010/06/21~2010/06/26
ギャラリーなつか[東京都]
岡山の染色家の個展。でも染色家より「まちづくりおばちゃん」として有名で、ぼくもそっち方面の顔しか知らず、作品を見るのは初めて。ろうけつ染めという手法で、花を思わせる有機的抽象形態に染色しているのだが、赤や青など発色がじつにきれい。その布を丸めて並べた作品もあるけど、多くは額に入れて絵のように展示している。これじゃあ絵の後追いしているようで潔くない。タオルみたいにバーに引っかけておくとか、バナーのように垂らすとか、ろうけつ染めならではの見せ方を工夫してもいいと思う。
2010/06/22(火)(村田真)