artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
トーキョーワンダーウォール公募2010入選作品展
会期:2010/05/29~2010/06/20
東京都現代美術館[東京都]
あいかわらずいまどきの絵画が中心だが、今回からだろうか、立体作品も何点か出ている。中国の彫り物みたいに極端に彫り込んだ木戸龍介の大理石彫刻と、たくさんのフィギュアを溶かして板状に固めたthreeの作品に注目。別のフロアでは、ワンダーウォールの10年を振り返る展示が行なわれ、大巻伸嗣、桑久保徹、流麻二果、日野之彦らいまをときめく(?)アーティストが出品。トーキョーワンダーウォール、よくも悪くもゼロ年代を代表する展覧会だったのかも。
2010/06/10(木)(村田真)
フセイン・チャラヤン──ファッションにはじまり、そしてファッションへ戻る旅
会期:2010/04/03~2010/06/20
東京都現代美術館[東京都]
なんだファッションかよ。でもイスラム圏のトルコ出身というので見に行く。イスラムのファッションて基本的に身体を隠すだけだからね。ところが作者は、トルコ系だけどキプロス出身で、どこにもイスラムとは書いてない。誤った情報をウノミにして、勝手に妄想を膨らませていたのだ。ともあれ、最初にボロボロのドレス(土中に埋めて掘り起こしたもの)が展示されていて「お、いいじゃん」と期待したのだが、そのデビュー作(セント・マーティンの卒業制作でもある)を超える作品はなかったように思う。スピード、移民、遺伝子などの現代的なテーマを掲げ、レーザーやLEDといったテクノロジーを導入してるんだけど、そうしたテーマや手法そのものがモードとして消費されているようで、やっぱりファッションなんだなあと。
2010/06/10(木)(村田真)
サイコアナリシス:現代オーストリアの眼差し
オルセー美術館展2010「ポスト印象派」
会期:2010/05/26~2010/08/16
国立新美術館[東京都]
平日とはいえ混雑が予想されるので開館直後に駆けつけたが、すでに黒山の人だかり。おまえら「ポスト印象派」だぞ、「印象派」じゃないんだぞ。といいたいところだが、元祖印象派のモネもあれば、新印象派のスーラ、象徴主義のモロー、ナビ派のモ─リス・ドニまであって、どこが「ポスト」だと八つ当たりしたくなるほど充実していた。個人的にはモローの《オルフェウス》、ドニの《セザンヌ礼賛》あたりが好み。ところで、「オルセー美術館展」は90年代から数年にいちど開かれる日本の風物詩みたいなもんだが、いまパリのオルセー美術館自体が改修工事中なので、日本だけじゃなく世界中で「オルセー美術館展」がはびこってるらしい。こうして作品を貸し出して工事費用を浮かせるわけだから、やはり美術大国はおトク。
2010/06/02(水)(村田真)
今津景「フラッシュ」
会期:2010/05/22~2010/06/19
山本現代[東京都]
いくつかの画像を組み合わせ、イメージを歪めてペインタリーに描いている。なにより色彩が美しい。これはいいなあ。小品があったら飛びついていたところだが、でも小品だと効果が半減するかも。
2010/06/01(火)(村田真)