artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

深堀隆介「金魚浴2010」

会期:2010/05/15~2010/06/13

エキジビション・スペース(東京国際フォーラム・アートショップ内)[東京都]

枡や樽に金魚が泳いでる。と思ったら動かない。凍ってる? と思ったら、樹脂に描いた金魚の絵だった。数年前からアートフェアでしばしば見かけていたが、個展で見るのは初めて。金魚ってサイズもかたちも絵筆でサッと一刷毛したかたちと似ているので、絵心をくすぐるんですね。

2010/05/27(木)(村田真)

椿会展2010「トランス・フィギュラティヴ」

会期:2010/04/10~2010/06/13

資生堂ギャラリー[東京都]

絵画ふたり(伊庭靖子、丸山直文)に彫刻ふたり(祐成政徳、袴田京太朗)。以上4人は作品の予想がつくが、毎回なにを出すかわからず台風の目になってきたのが、塩田千春とやなぎみわのふたりだ。今回、塩田はパフォーマンスを収録した6年ぶりの映像作品、やなぎは超特大から超極小までの女性靴を出品。やはりこのふたりが目立っていた。展覧会としてはいいバランスかも。

2010/05/25(火)(村田真)

不在に忍び寄る──イランと向かい合って

会期:2010/05/19~2010/06/12

東京画廊[東京都]

日本ではほとんど紹介されてこなかったイランのアーティスト8人の展示。といってもイラン国内で現代美術を続けるのは難しく、多くは国外で活動しているらしいが。作品が写真や映像、ドローイングなど軽便なものばかりなのは、運ぶのが容易だからだろう。ひとつだけ、鉢植えのゼラニウムを床に置き、その影を床に直接描いたインスタレーションがあったが、これは作者のドラタバディ(前項ncaにも出品)が東京に住んでいるため可能になったという。少なからぬ作品が戦争を想起させ、アーティストの役割について考えさせられる。

2010/05/25(火)(村田真)

アイデンティティ、ボディ・イット

会期:2010/05/21~2010/06/19

nca[東京都]

東谷隆司の企画で、サラ・ドラタバディ、ジャナイナ・チェッペ、片山真理ら女性アーティスト6人が出品。キャプションがないのでどれがだれの作品かわからないが、入口横にあった映像作品に目が釘づけになった。照明器具を掲げて彫刻のようなポーズをとる全裸の女性が、自分で明かりを消したりつけたりするたびに、目を閉じたり開けたりするという行為を繰り返すという映像。ただそれだけのバカバカしい映像に、なぜそれほど惹かれたのかというと、おそらくそこに、彫刻、女性ヌード、光と闇、眼差しといった美学・美術史のエッセンスがつまっているからではないかしら。いいなあ、こういう軽くて重いの。

2010/05/25(火)(村田真)

吉峯和美「Ground」

会期:2010/05/24~2010/06/05

ASK?[東京都]

抽象のような風景画。つーか、風景のような抽象画っつーか。ほとんどグレー1色で塗り込めた画面に、わずかに海岸らしきものや木立のような影が認められる。それとは別に、母の着物を地に縦横斜めの線を入れた小品も数点。これほど愛想のない作品なのに、これほど惹かれるのはなぜ?

2010/05/25(火)(村田真)