artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
泉啓司「脇から滝」
会期:2009/09/26~2009/11/07
アラタニウラノ[東京都]
案内状には「脇から滝」のタイトルとともに、両脇から長く延びた棒状のものに支えられたシュテファン・バルケンホールばりの人物彫刻の写真が載っていて、関西のお笑いのようなあまりのベタさ加減に行く気を失っていたのだが、直前に近くで会った某画商から「ほしかったけど完売していた」と聞いて、急に行ってみたくなる。なるほど、ベタなお笑いというより、のっぺり顔に短足みたいな典型的な日本人の特徴をとらえたリアルな人物像と、流れ落ちる水や煙や虹といった不定形の非固形物を組み合わせた意外性が新鮮であった。彫りの深い顔や筋骨たくましい8等身の肉体だけが彫刻のモチーフではないことを、この作品は物語っている。
2009/10/06(火)(村田真)
河野愛 展──うたかたの家
会期:2009/10/01~2009/10/24
INAXギャラリー2[東京都]
会場の中央に家のかたちをした布が吊るされ、その表面に家の内部の写真がプリントされている。だから一見内部が透視された家のようだが、よく見るとドールハウスを撮影した写真なのだ。吊るされた家、布の建築、透視されたインテリア、拡大されたドールハウス……。この家は2重にも3重にも矛盾したビックリハウスなのだ。
2009/10/06(火)(村田真)
TWSエマージング122:海谷慶「Vastness─空々漠々─」
会期:2009/10/03~2009/10/25
トーキョーワンダーサイト本郷[東京都]
木で珊瑚礁を彫っている。木の珊瑚礁。珊瑚のかたちも海面の近くで育つせいか、波の飛沫によく似ている。だから木で流体を彫ってるようなものだ。
2009/10/06(火)(村田真)
新根津美術館リニューアルオープン
新根津美術館[東京都]
3年半の休館を経てリニューアルオープン(美術館は「新創開館」と呼ぶ)した根津美術館のお披露目。門をくぐり、両側に竹を見ながら歩くアプローチはまるで高級料亭を思わせるし(入ったことないけど)、ガラス張りエントランスとロビーは京都か奈良のホテルみたい。和服の女将が出迎えてくれないのが不思議なくらいだ。庭園からながめると、美術館らしからぬ大きな瓦屋根が美しい。でも展示室は1.6倍に拡張されたというのに、部屋が分割され、しかも全体に暗いせいかむしろ狭くなった感じがしないでもない。設計は隈研吾。「新創記念特別展」の第1部として、国宝那智瀧図が公開されている。
2009/10/05(月)(村田真)
スカイアクアリウムIII
会期:2009/07/17~2009/10/4
東京シティビュー[東京都]
カットされた巨大なダイアモンドみたいなガラスの水槽に入れられ、次々と照明の色が変化していくクリスタル金魚(クリキン)。これでは魚もおちおち寝ていられない。時々水槽のなかにケータイみたいなものが入っていて、温度でも調節する機器類かと思ったら、ドコモの防水ケータイの宣伝だった。おいおいスポンサーだからってそんなもん水槽のなかに入れるなよお。迷惑顔のお魚さんであった。
2009/10/04(日)(村田真)