artscapeレビュー
泉啓司「脇から滝」
2009年11月15日号
会期:2009/09/26~2009/11/07
アラタニウラノ[東京都]
案内状には「脇から滝」のタイトルとともに、両脇から長く延びた棒状のものに支えられたシュテファン・バルケンホールばりの人物彫刻の写真が載っていて、関西のお笑いのようなあまりのベタさ加減に行く気を失っていたのだが、直前に近くで会った某画商から「ほしかったけど完売していた」と聞いて、急に行ってみたくなる。なるほど、ベタなお笑いというより、のっぺり顔に短足みたいな典型的な日本人の特徴をとらえたリアルな人物像と、流れ落ちる水や煙や虹といった不定形の非固形物を組み合わせた意外性が新鮮であった。彫りの深い顔や筋骨たくましい8等身の肉体だけが彫刻のモチーフではないことを、この作品は物語っている。
2009/10/06(火)(村田真)