artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
O JUN+森淳一 展「痙攣子(けいれんし)」
会期:2009/10/21~2009/11/21
ミヅマ・アクション[東京都]
いま絵画と彫刻でもっとも注目するふたりの展覧会。とくに森のほうは大きく変わり、ふたつの作品に人間の頭が表われた。これまで髪の毛や衣服は彫刻したことがあったけど、中身の人間を作品として発表したのは初めて見た。といってもひとつはキューピーみたいな子どもの人形の顔、もうひとつは歯のついた顎骨を球状に組み合わせたもので、どちらも人間らしくないが。
2009/10/31(土)(村田真)
岡田裕子 展「翳りゆく部屋」
会期:2009/10/21~2009/11/21
ミヅマアートギャラリー[東京都]
ゴミの山に囲まれて小さな老婆がキーキーわめいてる映像。そのモニターがゴミ屋敷を思わせる舞台装置のなかにいくつか置かれているので、あっちこっちからネズミのようにキーキーかまびすしい。この老婆、どこかで見覚えがあるなあと思って展覧会名をたしかめると、なんだ岡田裕子じゃないか。なんの展覧会をやってるのか知らずに来たのだが、意外な驚き。彼女の作品は結婚以来お笑いに走る傾向があったけど、彼女自身にこんなコメディエンヌの才能があったとは知らなかった。それにしても会場の「舞台装置」はまるで会田誠みたい、というより会田の使いまわしじゃないか。そもそもゴミ屋敷の発想自体、会田家の家庭生活に由来するだろうことは想像にかたくないが。
2009/10/31(土)(村田真)
和田みつひと「Behind Blue Light Yokohama」
会期:2009/10/31~2009/11/29
BankARTスタジオNYK、BankART桜荘ほか[神奈川県]
映像祭の期間に合わせた企画。BankART関連施設のガラスドアや窓にカラーの透明フィルムを貼りつけていく作品だが、光や色彩を投影するという点でこれも「映像」といえなくはない。夜中に黄金町の桜荘に行ってみたら、窓がピンクに染まっていた。これに近隣住人から「かつての(売春街だった)黄金町を思い出す」とクレームがつき、すったもんだの末、撤去されることに。ことはピンク色が許されるかどうかという美学の問題ではなく、あるコミュニティのなかで表現の自由と暴力を考える社会学の問題なのだ。
2009/10/30(金)(村田真)
ヨコハマ国際映像祭2009
会期:2009/10/31~2009/11/29
新港ピア+BankARTスタジオNYKほか[神奈川県]
ここ10年来、映像を見るのは時間のムダだと思って避けてきたが、この映像祭は当たり前だが映像しかやってないので、仕方なく見ることにする。まずはBankARTの1階を占有したクリスチャン・マークレーから。厖大な映画のなかの楽器の演奏シーンを抜き出して四重奏として構成し、4面スクリーンで見せている。これはすごい。いつのまに映像はこんなに進化していたのか。時間がないので次へ行きたくても足が動かない、それほど釘づけになった。2階3階にはこれほどの作品はなかったものの、それでも退屈することなく楽しんで見ることができた。さすがに質の高い作品ばかり集めてるわい。と思って新港ピアの会場へ行くと、こちらはスカスカで肩スカし。でもそれなりに納得の映像祭ではある。
2009/10/30(金)(村田真)
現代美術展──《閾》
会期:2009/10/19~2009/11/07
旧坂本小学校[東京都]
東博の横道をチコチコ歩いて鴬谷の向こうの旧坂本小学校へ。東京藝大と台東区がツルんで街をにぎやかす「上野タウンアートミュージアム」の会場のひとつで、出品は藝大関係者が中心だが、フランシス真悟や秋好恩ら藝大と無関係者や、フランス・ナント市の美術学生も参加している。ま、いい作品が落ちてれば枠組みなんざどうでもいいが。元教室に白砂を敷きつめてゴミやガラクタを配置した福田美沙の《不在の庭》、半馬神の木像を置いた太田祐司の《半馬博物館》、自分の血を固めてキャンディにした松田直樹の《ブラッドキャンディ》、ガラス窓に花模様を描いた秋好恩の《花雲》などが印象に残った。
2009/10/30(金)(村田真)