artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

ZAIMフェスタ・フィナーレ

会期:2009/10/02~2009/10/12

ZAIM本館[神奈川県]

2010年3月までに退去しなくてはならない共同スタジオZAIM。……の最後を飾るフェスティバル。……のわりにショボイのは、あいかわらず予算がないのはともかくとして、いつも使っていた別館と本館地下が安全管理上の問題で使えなくなったことが大きい。そのため本館ではギャラリーに加え、玄関、ビルの外周でも作品を展示し、各部屋でもオープンスタジオが行なわれた。……はずなのだが、みんな忙しいのでクローズドのところが多かったため、ふだんとあまり変わりないのであった。そんななかでも健闘していたのが、ビルの下のアスファルトから巨大な手をニュッと突き出した今井紀彰の彫刻(?)と、別館の窓にカラーシートを貼って外からながめる竹本真紀のインスタレーションだ。

2009/10/02(金)(村田真)

廣中薫・オープンスタジオ

会期:2009/09/28~2009/09/30

BankARTスタジオNYK[東京都]

BankARTに1カ月半スタジオを借りていた廣中さんの発表。不定形の紙に描きなぐったような作品が床に何枚か置いてある。壁にも何点か小品が掛かっているのだが、よく見るとうまいんだな。あとさき考えずに破壊的行動に出るのがこの人の強みだろうか。

2009/09/29(火)(村田真)

ステッチ・バイ・ステッチ 針と糸で描くわたし

会期:2009/07/18~2009/09/28

東京都庭園美術館[東京都]

「針と糸で描く」アーティストの作品。「針仕事」は昔から「女の仕事」とされてきたせいか、女性アーティストが多く、男は奥村綱雄にしろヌイ・プロジェクトの吉本篤史にしろどこか病的だ。あるいは、病的なものを癒すために細かい「針仕事」に没入したのかもしれない。圧巻は、ドレープやあやとりやキャンヴァス画を大きな布に刺繍した手塚愛子のインスタレーション。モチーフはすべて糸や布に関係している。ベラスケスの《ラス・メニーナス》もあったが、ここはやはり、織物競技に負けたアラクネがクモに変えられたという同じ画家の神話画《アラクネ》もほしいところ。

2009/09/25(金)(村田真)

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「横浜から幸せをつなぐ」アート

会期:2009/09/16~2009/09/29

横浜タカシマヤ[神奈川県]

タカシマヤの2フロアを使った国連WFP(ワールド・フード・プログラム)協会後援の現代美術展。谷山恭子、本間純、丸山純子、横山飛鳥らが出品。ひとことでいえば、つまんなかった。まず、テーマがつまらないこと。そのつまらないテーマに作品がしばられていること。そのため単なるディスプレーに陥ってしまい、場所と拮抗してないこと。せっかくデパートのなかでやるんだから、その場所ならではの作品を見せてほしかった。

2009/09/23(水)(村田真)

KOMAZAWA MUSEUM X ART

会期:2009/09/12~2009/09/27

駒沢公園ハウジングギャラリー[東京都]

最近の流行なのか、住宅展示場のモデルハウスを会場にした展覧会。昨年の六本木での「ザ・ハウス」は、取り壊し前のモデルハウスが会場だったので好き勝手なことやっていたし、横浜の「アート&ホームコレクション」は、横浜美術館が監修したアートフェアだったのでにぎわっていたが、今回の展示はいちばん量があるのにショボイ。作品を見に来た人は受付でバッジをもらうのだが、連休のせいか「家」を見に来た人のほうが圧倒的に多く、各モデルハウスを訪ねるたびに常駐の営業マンから「ああ、アートね」と相手にしてもらえず、いや相手にしてくれなくていいのだが、しかしほかの客のジャマにならないようにコソコソといじけて見なければならない空気なのだ。そもそも作品は小さな絵画がほとんどで、空間を使ったインスタレーションは皆無。しかも絵は壁にかかっていればいいほうで、多くは棚や床に立てかけてあるだけ。作品自体があまり存在を主張できず、「家」を汚さないように卑屈に身がまえているようでツライ。そんななかで唯一場所と結託し空気を変えることができたのが、泉イネの作品群だ。ちゃっかり他人の家に上がり込んで100年住んでますみたいな顔してる。単体としてもインスタレーションとしてもすぐれた作品だ。

2009/09/22(火)(村田真)