artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

銀河観音Sachi&Peace展

会期:2009/08/01~2009/08/16

ZAIMギャラリー[神奈川県]

現代美術とかモダンアートの文脈とはまったく異なる次元でつくられた、「女神の画家」高杉嵯知さんの水墨画と素朴画。作品の内容もさることながら、窓際にも黒い額の絵を立てかけ、かたわらに花を添えるインスタレーションは、まるで葬式みたい。このように展示と本人の存在感で場の空気を変えてしまうマジックは見習いたいもの。

2009/08/04(火)(村田真)

それってゴミ?

会期:2009/07/28~2009/08/06

国連大学内 地球環境パートナーシッププラザ(GEIC)ギャラリースペース[東京都]

なぜトーキョーワンダーサイト(TWS)が、なぜこんなハンパな場所で、なぜこんな短い会期で、なぜゴミをテーマにした展覧会を開くのか。どうやら7月31日に行なわれたシンポジウム「アートと環境との対話」がメインで、展覧会はその「ついで」に開かれたということらしい。でもなんでTWSがゴミ問題に首を突っ込むのか。そりゃ東京都だからゴミ問題に直面せざるをえないのかもしれないが、それじゃわかりやすすぎないか。アートなんだからさ。

2009/08/04(火)(村田真)

混沌から躍り出る星たち2009

会期:2009/07/31~2009/08/08

スパイラルガーデン[東京都]

思わず赤面しちゃいそうなタイトルの展覧会は、毎度おなじみ京都造形芸術大学の卒業・修了制作展からの選抜展。今回なぜかウェブ的表現がめだつ。といってもインターネットを使った表現ではなく、西村郁子(招待作家)や坂本いづみや藤井まり子のようにファブリックを素材にしたもの、絵でも神馬啓佑や川上幸子のような編み目のイメージ、建築では若松堅太郎による蟻塚みたいに入り組んだ集合住宅プランなど、見た目や構造が「ウェブ的」な作品が多いのだ。こうした傾向にはいくらでも理屈をつけられそうだが、どうせ屁理屈に終わるのでやめとこう。いずれにせよ「混沌から躍り出る星たち」というより、「(ウェブ的)混沌のなかでもがく星たち」だ。

2009/08/04(火)(村田真)

HANDO×hando

会期:2009/08/03~2009/08/08

文房堂ギャラリー[東京都]

古本屋めぐりのついでに立ち寄る。東京造形大の学生たちによる版画展。出品者の女の子に冷たい麦茶を差し出され、買ったばかりの重たい荷物をもってもらいながら言うのもなんだが、作品の大半は「版」というメディアをなんの疑いもなく受け入れた、問題意識の感じられない素朴な版画だ。これでは学生の版画と同じではないか。あ、学生の版画でした。つーか、少なくとも美大生なら、テクニックとかセンスとかテーマとか以前に、自分の使うメディアを疑い、壊すことから始めてほしいなあ。

2009/08/04(火)(村田真)

水と土の芸術祭2009

会期:2009.07.18~2009.12.27

新潟市全域[新潟県]

前夜、越後妻有から新潟市に移動。こちらでも「大地の芸術祭」と同じく、広域に点在させた作品を見て回るオリエンテーリング方式の展覧会をやっている。なんで似たようなことを同じ県内で同時期にやるのかというと、ディレクターが同じ北川フラムさんだからだ。ちなみに北川さんはこの夏「水都大阪2009」も手がけている。いくらなんでもやりすぎじゃないですか。新潟市のほうは726平方キロに71点の作品があるので、約10平方キロに1点という作品密度。これも回を重ねるごとに点数が増えていくのだろうか。そもそも継続できるのか。ともあれ、今日はバスツアーで10カ所ほど回り、20点以上を見ることができた。感想をひとことで述べれば、第1回の「大地の芸術祭」を思い出す。

2009/07/27(月)(村田真)