artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
フェスティバル/トーキョー16 「x / groove space」
会期:2016/11/03~2016/11/06
東京芸術劇場 シアターイースト[東京都]
客席と舞台の区別がまったくなく、観衆巻き込まれ型のパフォーマンスである。観衆の隙間を狙って動くダンサーは、都市の雑踏で普段われわれがやっていることの誇張のようにも思われた。後半は紙吹雪の乱舞から、みんなの掃除まで自ずと参加する流れになる。蛍光灯でノイズを出す伊東篤宏の音や、独特な舞台美術もよかった。
2016/11/05(土)(五十嵐太郎)
アルバレス・ブラボ写真展 メキシコ、静かなる光と時
会期:2016/11/03~2016/12/18
名古屋市美術館[愛知県]
ほぼ20世紀の100年を生きたメキシコの巨匠の回顧展である。モダニズムやアジェの影響を受けて出発するが、特にシュルレアリスム的な感覚も入る作品群が魅力的だった。リベラ、カーロらの同時代人も多く撮影している。また常設展示では、同館のメキシコ美術のコレクションと連動させ、企画展を補完していた。
2016/11/04(金)(五十嵐太郎)
ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞
会期:2016/09/10~2016/12/11
名古屋ボストン美術館[愛知県]
風景画の広重に対し、ヤンキーバロックというべき国芳と肖像画の名手である国貞の2人に焦点をあてた企画。それぞれの絵の情報力が多く、鑑賞するのに意外と時間がかかる(英訳のタイトルの方がわかりやすいことも)。衣服の紋様も、画中画として機能している。とりわけ、国芳の動的な構図は、いまなら映画監督になれる資質だろう。
2016/11/04(金)(五十嵐太郎)
藤森照信《多治見市モザイクタイルミュージアム》
[岐阜県]
多治見のモザイクタイルミュージアムへ。とぼけた輪郭と極小窓とすり鉢外構でぐいっと心をつかむ。洞窟風の階段を上ると、風呂場タイルなどの屋外展示に、なぜかクラシック(パッヘルベルのカノン等)が流れ、なんともキッチュである。一方、室内や裏側は割と普通のデザインだ。ともあれ、つい触りたくなる藤森建築はモザイクとの相性もよく、観光バスが訪れるほど、集客に大成功していた。
2016/11/04(金)(五十嵐太郎)
BankARTスクール2016 鎌田友介・加藤直樹「シェアスタジオ旧劇場について」
会期:2016/11/03
BankART Studio NYK[神奈川県]
横浜建築家列伝において、最年少となるアーティストの鎌田友介と建築家の加藤直樹をゲストに迎える。彼らがハンマーヘッドスタジオで知り合い、ストリップ劇場をリノベーションしたシェアスタジオ「旧劇場」を拠点とした経緯を語ってもらう。ハンマーヘッドスタジオ出身のクリエイターで、ほかにあまりそうした事例はないようだ。そして加藤からはインテリアのプロジェクト、鎌田からは空襲やアントニン・レーモンドなど、建築の記憶をアートに昇華した作品が紹介された。
2016/11/03(木)(五十嵐太郎)