artscapeレビュー
「ルネサンスの巨匠 ミケランジェロ」展
2016年05月15日号
会期:2016/04/23~2016/06/12
山梨県立美術館[山梨県]
山梨県立美術館の「ルネサンスの巨匠 ミケランジェロ」展のオープニングに出席する。日本語のタイトルでは外されているが、英語のタイトルには「architecture」と入っているように、天才の建築家の側面にも焦点を当てた企画である。会場では、ミケランジェロのオリジナルのスケッチや関連ドローイングも多数展示されており、ヨーロッパではこういう企画を見ることはできるが、日本ではこれまでも、そしてこれからもなかなか遭遇できない貴重な内容だろう。今回、東北大の五十嵐研の本間脩平が担当し、ラウレンツィアーナ図書館の全体模型を1/100スケールで制作した。また圧巻は野口直人が横浜国立大学のCNCルーターを駆使して実現した、図書館の玄関室の1/20模型である。複雑な古典主義のディテールも見事に再現されている。彼によると、既存の図書館図面がどれもバラバラで、多くの写真を手がかりに模型を制作した過程が興味深い。それは歴史家ではなく、建築家ならではの視点でミケランジェロの形態を読みとく作業でもある。
写真:上から、オープニングの様子、《ラウレンツィアーナ図書館》の全体模型、玄関室の模型
2016/04/22(金)(五十嵐太郎)