artscapeレビュー

ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影

2016年04月15日号

会期:2016/03/19~2016/08/21

名古屋ボストン美術館[愛知県]

19世紀後半からのヨーロッパの都市の変化と地方の関係を背景に近代絵画を紹介する。確かに何を描くかというモチーフはそうした切り口で説明できるが、いかに描くかについては、同時代に出現した写真に対し、絵画をどう差別化するかという視点から考えるとわかりやすくなるのではないかと思う。例えば、ルノワールの《ブージヴァルのダンス》は、都市と田舎/女性と男性という風に説明できるのだが、この絵は動いている踊りの一瞬ではなく、動きそのものを視覚化した想像的な動画ではないか。当時の雲や空の表現も同様である。これは当時の写真だとやりづらい表現であり、絵画ゆえに可能な表現で、その独自性を示す手法だったはずだ。

2016/03/21(月)(五十嵐太郎)

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