artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
教文館創業130年記念企画 アントニン・レーモンド展
会期:2016/01/22~2016/03/10
教文館ビル9階ウェンライトホール[東京都]
銀座の教文館ビル9階のレーモンド展へ。通常、建築展をやらない場所なので、意外に、と言っては失礼だが、図面や模型も揃い、かなり充実した内容だった。ビル自体も彼が80年前に設計したものだが、改めて展示を見ると、結構レーモンドの作品はまだ現存しているものが少なくない。やはり教会の仕事が多いからかもしれないが、愛されているのだろう。
2016/02/17(水)(五十嵐太郎)
第8回恵比寿映像祭「動いている庭」
会期:2016/02/11~2016/02/20
ザ・ガーデンホール、ザ・ガーデンルーム、恵比寿ガーデンシネマ、日仏会館、STUDIO38、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場ほか[東京都]
第8回恵比寿映像祭「動いている庭」へ。ロバート・スミッソンのマンハッタンを周遊する浮庭とアスファルトを傾斜に流す作品は、個人的に好みである。銅金裕司のアリジゴク砂絵は、その小さな箱庭感が日本ぽい。中谷芙二子の霧とクワクボリョウタの影の作品は、もはや鉄板である。一方、ビデオアース東京は、アートの名のもとに弱者=橋の下のホームレス男性を突撃取材する映像であり、昔の作品だが、微妙だと思う。
2016/02/17(水)(五十嵐太郎)
レクチャーパフォーマンス・シリーズ vol.2 チェン・ジエレン「残響世界」
会期:2016/02/16~2016/02/18
SHIBAURA HOUSE[東京都]
最初にハンセン病患者の収容施設の歴史に台湾と日本を重ねたレクチャーを行なう。チェン・ジエレンは、植民地、資本主義における社会的な弱者は彼らだけでなく、現代の派遣労働者もそうだと指摘する。その後、カーテンを開けると、シバウラハウスの透明な建築を生かし、隣のビル屋上でパフォーマンスが行なわれた。続いて彼の映像作品を鑑賞する。やはり、作家なのだから当たり前だが、映像そのものが語ることは大きい。
2016/02/16(火)(五十嵐太郎)
「世界遺産キュー王立植物園所蔵イングリッシュ・ガーデン──英国に集う花々」展
会期:2016/01/16~2016/03/21
パナソニック 汐留ミュージアム[東京都]
キュー王立植物園所蔵の植物画を中心に紹介するものだが、植物オタクに閉じた内容ではない。博物学から始まり、19世紀は万博やアーツ・アンド・クラフツ運動、ラッチェンスなど、イギリスの近代デザイン史とさまざまな方向から交差することに気づかされた。植物を抽象的なデザインにするクリストファー・ドレッサーに対し、植物による具象的なパターンにこだわったウィリアム・モリスの違いなども教えられた。
2016/02/16(火)(五十嵐太郎)
映画『もしも建物が話せたら』先行上映イベント 第2回:建築系ラジオ公開収録! シネマアーキテクチャー番外編「建築を声で届ける意義」
会期:2016/02/15
渋谷アップリンクFACTORY[東京都]
アップリンクにおいて、映画『もしも建物が話せたら』のトークイベントを行なう。これは30分弱×6作品のオムニバスである。制作総指揮のヴェンダースによる《ベルリン・フィルハーモニー》に始まり、《ロシア国立図書館》、《ソーク研究所》、《ハルデン刑務所》、《オスロ・オペラハウス》、《ポンピドゥー・センター》を異なる監督が撮影したものだ。いずれも手法が異なり、それらを比較すると興味深い。カリム・アイノズ監督による《ポンピドゥー・センター》は、建築がわれわれを冷徹に見つめ、ボヤく感じだし、俳優のロバート・レッドフォードが監督したソークは社会派ドキュメンタリー風、そしてヴェンダースによるフィルハーモニーは人を追いかけながらカメラが動く。映画を見ながら、建物が話すような感じの建物解説の音声サービスがつくれるのではないかと思う。
2016/02/15(月)(五十嵐太郎)