artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
オペラ「夕鶴」
会期:2016/02/14
神奈川県民ホール[神奈川県]
戦後間もなく團伊玖磨が挑戦した日本語のオペラの実験である。メロディはちょっと地味だったが、山田耕筰が確立したものとは違う方法で、日本語をメロディにのせる試みを行なっており、おそらく方言が使われているのもそれと関係していると思われた。主役のつうは、佐藤しのぶ。縦長のスクリーンの移動と、傾いた廻り舞台だけでさまざまな場面を演出する。雪景色の美術は千住博、多色を用いた衣装デザインはカーテンコールで登壇した森英恵が担当した。
2016/02/14(日)(五十嵐太郎)
村上隆のスーパーフラット・コレクション──蕭白、魯山人からキーファーまで
会期:2016/01/30~2016/04/03
横浜美術館[神奈川県]
陶芸から現代美術まで、村上隆が個人的にコレクションしてきたものが、圧倒的な量で大空間を埋めつくす。いつもは吹抜けがデカ過ぎて、欠如を感じる横浜美術館が充満している雰囲気が素晴らしい。また彼の好みを読み解いたり、作品そのものを鑑賞したりするなど、楽しみ方もさまざまに開かれている。これは、どこかで常設の展示か、美術館になってほしい。
2016/02/14(日)(五十嵐太郎)
ねもしゅー企画vol.2 ねもしゅーのおとぎ話「ファンファーレサーカス」
会期:2016/02/11~2016/02/14
新宿FACE[東京都]
夢見がちな少女が、妖精の誘いで童話の世界に入り込むというのは、よくありがちな導入部である。しかし、納得のいかないラストになってから、今度はその内容を書き換えていく、メタフィクション・ファンタジー×くるくるバレエ×グラム・ロックの生演奏がかぶさり、カラフルな衣装で華やぐ、勢いのある演劇だった。
2016/02/11(木)(五十嵐太郎)
建築ウォッチング「建築家と伊勢を歩こう」(建築ラリー2016「建築からまちへ──地域の中での建築家の役割」)
[三重県]
続いて「建築ウォッチング 建築家と伊勢を歩こう」に参加した。まず最初に栗生明が設計した《せんぐう館》を見学する。内部の展示では、1/1の部分的に再現された巨大な神宮があり、なるほど、これはハイライトだった。そして吉田鉄郎による《ボン・ヴィヴァン》で昼食をとり、伊勢山田の街並み散策を行なう。世古、《山田館》、《御師邸》土塀、畑医院、北御門通、神路通、《東邸》、《月夜見宮》など、地元の建築家ならではの詳細な解説で楽しめた。こうした企画が全国各地で行なわれるといいのではないか。
写真:左上=《せんぐう館》、左中=《ボン・ヴィヴァン》、左下=《山田館》、右上=《御師邸》、右中=畑医院、右下=《月夜見宮》
2016/02/07(日)(五十嵐太郎)
伊勢神宮
[三重県]
三度目の伊勢神宮だが、朝は初めて。早朝から内宮には多くの参拝者が集まっているのに驚かされた。遷宮されたばかりの新しい建築だから、もっとも瑞々しい状態である。続いて外宮へ。よく考えてみると、正宮の敷地内にいくつかの大木が生えているのは、かなり大胆なランドスケープである。そして神宮の造営を一手に引き受ける山田工作場を見学した。通常の仕事とは違い、長期的な計画を前提とした材料の管理や、大工が増えたり、減ったりする20年の工程のサイクルなどをうかがい、非常に興味深い場所だった。
写真:上から順に伊勢神宮内宮/別宮・風日祈宮、外宮/豊受大神宮、正宮敷地内
2016/02/07(日)(五十嵐太郎)