artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

Beautiful: The Carole King Musical

会期:2015/12/01~2016/02/21

ORIENTAL THIEATER[アメリカ、シカゴ]

オリエンタルシアターのミュージカル「Beautiful」へ。劇場の名前のとおり、東洋趣味の装飾だが、すごいゴテゴテで驚く。キャロル・キングの半生を舞台化した作品であり、物語の起伏は弱いが、作曲家として活躍した初期からシンガーソングライターになるまで、数々の名曲が登場し、それだけで盛り上がる。

2016/01/02(土)(五十嵐太郎)

フランク・ロイド・ライトのスタジオ見学ツアー

[アメリカ、シカゴ]

シカゴ郊外のオークパークは、19世紀末に新興住宅地となり、当初はクイーン・アン様式が主流だったが、ライトが住宅とスタジオを構えてから、次々と彼の手がけた建築が周囲に増殖した。北海道の佐呂間の街を訪れたとき、五十嵐淳さんが設計した住宅があちこちに増えていたが、ここも将来オークパークみたいになるかもしれない。ライトの住宅とスタジオの見学ツアーに参加した。自邸ならではの実験性、増改築が生み出す複雑性、日本の影響など、とても見所が多い建築である。細かいこだわりは、藤井厚二の聴竹居なども想起させる。でも、施主の妻が気に入るような場も多く、なるほど若手ながら、これで周囲の仕事を獲得したのかと納得させられた。

2016/01/02(土)(五十嵐太郎)

サンティアゴ・カラトラヴァ《ミルウォーキー美術館》

[アメリカ、シカゴ]

映画『アンタッチャブル』の階段で有名なシカゴのユニオン駅から列車にのって、初のミルウォーキーへ。カラトラヴァによる《ミルウォーキー美術館》の増築部分は、定時に屋根が動く。構造合理主義とは言えない、過剰な表現・スペックと飛び道具的なデザインだが、彼の本領を発揮している。日本だと怒られそうだが、都市の新しいランドマークとなり、訪れている人たちの楽しそうな表情を見ていると、これぞアイコン建築だ。美術館の本館と水辺を眺めるカラトラヴァ・カフェの食事がとても美味しい。シカゴ美術館のテルツォ・ピアノ(三階の意味をかける)のレストランよりも全然。いずれも建築家の名前が入っている。ミルウォーキー美術館は、やはりアメリカの現代美術が強い。ラリー・サルタンの写真・企画展がよかった。建築・デザイン部門の展示もある。元旦で無料開放となり、普段来ない人も大量に訪れ、子どもは作品を触りまくっている。

写真:上=ユニオン駅、中・下=《ミルウォーキー美術館》

2016/01/01(金)(五十嵐太郎)

チャイナタウン、ジョン・ハンコック・センター

[アメリカ、シカゴ]

シカゴのチャイナタウンへ。それほど大きくはない。屋上に二つのパゴダが載ったレンガとテラコッタの1927年の建築がランドマークである。日没直前から夜景が見え始めるタイミングで、ジョン・ハンコック・タワーの展望台へ。今回、曇りがちで湖に落ちる高層ビル群の影は見ることができなかった。ブルーシカゴでブルースを聴く。

写真:上=チャイナタウン、下=ジョン・ハンコック・タワー

2015/12/31(木)(五十嵐太郎)

フランク・ロイド・ライト《ロビー邸》ほか

[アメリカ、シカゴ]

竣工:1910年

シカゴ大学の界隈を歩く。1900年前後のゴシック様式、共同住宅からサーリネン、ミース、SOM、ヤーン、ヒュー・スタビンズ、シーザー・ペリ、ラファエル・ヴィニヨリの現代建築までバリエーションに富む。特にサーリネンの法学校舎やペイの再開発アパートがいい。これらは半世紀前の近代建築だが、古びれることなく、大事にされている。大学街にあるフランク・ロイド・ライトの《ロビー邸》は、三度目の訪問だった。富豪の新興住宅地にモダンな豪邸を建てるも、すぐに3度家主が変わったのち、個人住宅としては使われず、二度の解体の危機を切り抜け、文化財に指定・修復されたものである。空間や細部の特徴、有機的な建築の思想、日本からの影響など、ボランティアが熱く語る。

写真:左上=サーリネン、左中=ミース、左下=SOM、右上=ヴィニヨリ、右中=ペイ、右下=《ロビー邸》

2015/12/31(木)(五十嵐太郎)