artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
KISS 来日公演
日本ガイシホール[愛知県]
KISSの来日公演に行く。ジーン・シモンズやポール・スタンレーなどのオリジナル・メンバーは相当の年齢になってきたが、メイクのおかげで年齢を感じさせない。が、人間でないキャラを演じているために、ワルだったのが、いいオヤジになった風にふるまうモトリー・クルーのニッキー・シックスのように、ヒューマンなコミュニケーションを観客と行なうのも難しい。ウリ・ジョン・ロートの演奏を聴いた直後だと、技術はどうしても劣ることが気になるが、彼らの醍醐味はむしろユニークな楽曲、そして超ド派手なステージだろう。この趣向は、モトリー・クルーのライブに連なるものだ。ラストの「ロックンロール・オールナイト」は、紙吹雪が舞うのだが、呆れるようなほどの量で、大笑い。服やカバンのポケットも、いっぱいに紙が入るくらいである。
2015/02/23(月)(五十嵐太郎)
REN-CON ART PROJECT 連茎する現代アート
会期:2015/02/17~2015/03/08
名古屋市芸術創造センター[愛知県]
名古屋市芸術創造センターの「連茎する現代アート」展へ。3つの芸大による共同企画で、1~4階のホワイエと、ホール内の客席で展示する興味深い試みである。通常、こうした企画はホールで実現しにくいのだが、施設の工事期間を利用して可能になったものだ。アーツチャレンジ2015とは後藤あこ、豊川の「豊穣なるもの」の展示とは、荒木由香里が重なる。あいちトリエンナーレ以外の期間でも、まちなか展開のような作品展示が行なわれており、愛知県の現代美術が積極的に活動していることがうかがえる。
写真:上=名古屋市芸術創造センター 中=山下拓也 下=川見俊
2015/02/22(日)(五十嵐太郎)
愛知県美術館コレクション「グロテスク・モデルヌ」/APMoA Project, ARCH vol.13 伊東宣明「アート」
会期:2015/02/03~04/05(伊東宣明「アート」)
愛知県美術館[愛知県]
愛知県美術館の常設。今回はグロテスクの小特集である。常設のエリアは、同じ作品と繰り返し再会できる場だが、現代部門ではその度ごとにモーリス・ルイスの大きな絵《デルタ・ミュー》のお気に入り度が上がる。若手枠のプログラムでは、伊東宣明のアートとは何だ、を問う映像作品が楽しい。その考察の結論は、意外に月並みな感じもしたが、むしろ、その過程で彼の背景に映し出される、めくるめく場所の連鎖が気になって飽きさせない。
2015/02/22(日)(五十嵐太郎)
ロイヤル・アカデミー展
会期:2015/02/03~2015/04/05
愛知県美術館[愛知県]
愛知県美術館で、二度目の「ロイヤル・アカデミー」展へ。静岡のホワイトキューブで見たときよりも、いい雰囲気だった。近代以前の西洋絵画を展示するために、背景の壁を、青、赤、茶、緑にするのは、珍しくない手法だが、同じ作品のはずなのに、やはり見え方がだいぶ変わる。また愛知の方が天井は高いのだが、絵のスケール感にも似合っているように思われた。もともとこれらの絵が描かれた環境、あるいは展示を想定した場に近いからなのだろうか。絵が空間を求めるのだ。
2015/02/22(日)(五十嵐太郎)
ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美
会期:2015/01/02~2015/05/10
名古屋ボストン美術館[愛知県]
金山のボストン美術館「華麗なるジャポニスム」展へ。モネの《ラ・ジャポネーズ》を目玉にしつつ、19世紀後半から20世紀初頭に日本美術が西洋絵画に与えた影響を検証するものだ。その試みは、横浜で開催中のホイッスラー展とかぶる。ただ、明らかな日本からの影響と言えるものはいいが、そうでない作品も少なくない。それらについては、キャプションがかなりの深読みになっており、展覧会において、どのように伝え、見せるかは難しいと感じた。
2015/02/22(日)(五十嵐太郎)