artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

京都精華大学デザイン学部建築学科 4年生卒業制作講評会

会期:2015/01/23

京都精華大学[京都府]

京都精華大にて、卒制のゲストジュアラーをつとめる。今回もバラエティに富む作品群だった。最優秀賞は松村亜沙子さんによる個人的な記憶の空間を集積させた小学校、優秀賞は鈴野一史くんによる干上がった田んぼの地割れの建築化プロジェクト、北牧千佳さんの円と曲線による幼稚園、そしてインテリア賞は伊藤めぐみさんのポータブル家具と、妥当に決定する。そこで五十嵐賞は、金沙紀さんの文字を建築化するプロジェクトに贈る。

2015/01/23(金)(五十嵐太郎)

国宝 蓮華王院 三十三間堂

[京都府]

向かいの三十三間堂を久しぶりに拝観した。建築史でも重要な作品だが、多くの来場者にとっては室内で千体の千手観音を見るのが主な目的だから、常設のインスタレーションがある一種の美術館のような空間といえるかもしれない。超横長の平面に、ひな壇をつくり、ずらりと千手観音を並べるわけだが、内部では一望できる視点はない。鑑賞者も横に移動しながら、たどっていく空間の体験が興味深い。

2015/01/23(金)(五十嵐太郎)

京都国立博物館 平成知新館

京都国立博物館[京都府]

京都国立博物館にて、谷口吉生が設計した建築群を見る。まず最初に出迎える現在のエントランスとカフェは、ある意味で本家ヨーロッパ以上に美しいモダニズムだが、平成知新館(2013)も手前に水面をおく、必勝パターンの空間デザインである。室内にもいい感じで、ゆらめく光のリフレクションが入り、ルイス・カーンのキンベル美術館を想起させる。展示空間は、互い違いに彫刻や絵画の吹抜けを積む明快な構成だ。谷口建築としての新発見はなかったが、安定のクオリティと言えるだろう。ただ、東京の国立博物館は、所蔵品の撮影OKなのに、なぜここはNGなのか。

2015/01/23(金)(五十嵐太郎)

ホテル・オークラ東京

[東京都]

建替えになるということで、久しぶりにホテル・オークラ東京を訪れた。夜間は特別のライトアップをやっており、光と影の効果が想像以上に建物の美しさをひきたてる。本館(1962)、別館(1973)とも、ロビーを谷口吉郎が設計しているが、金沢で多く見てきた作品群とやはり共通するテイストであり、モダンながら、どことなく和を感じさせる空間だ。また現在からは、昭和の懐かしさも伴っている。


左:大倉集古館 右:新館ロビー


2015/01/21(水)(五十嵐太郎)

世界侵略:ロサンゼルス決戦

格安上映につき、公開時は映画館スルーした『世界侵略:ロサンゼルス決戦』(監督:ジョナサン・リーベスマン)を大画面で見る。ドキュメンタリー風の戦闘シーンは確かに迫力だが、異星人を相手にした戦争映画であり、SF的ではない。むしろ、アメリカの大都市を激しい戦場にするためには、異国からの攻撃ではなく、異星人の侵略という設定が都合よかったのだろう。

2015/01/18(日)(五十嵐太郎)