artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
市民ギャラリー郷土作家展「廣村正彰 デザインからデザインまで」
会期:2015/01/31~2015/02/28
安城市民ギャラリー 展示室A・B・C[愛知県]
安城市民ギャラリーの「廣村正彰 デザインからデザインまで」展へ。郷土作家ということで、廣村のデザインの仕事を振り返る企画である。さまざまなロゴ、山本理顕やシーラカンスらが設計した建築のサイン計画、ポスターが壁一面にぎっしりと並び、これらが一堂に会すると、廣村タウンのようだ。同様なことは、田中一光の回顧展を見たときにも感じたことだが、デザイナーもロゴやサインを通じて、都市の風景をつくっているのだ。なお、この展覧会でも紹介されているように、彼は空間のグラフィックに強いので、あいちトリエンナーレ2013でデザインを依頼した。
2015/02/22(日)(五十嵐太郎)
豊穣なるもの──現代美術 in 豊川
会期:2015/01/17~2015/02/22
豊川市桜ヶ丘ミュージアム、豊川信用金庫旧いなり支店、古民家[愛知県]
豊川の「豊穣なるもの」展へ。三カ所で展開し、メイン会場のリニューアルオープンした桜ヶ丘ミュージアムは、タイトルどおり、豊穣なイメージの作品が多く、特に絵画ががんばっている。アーツチャレンジ2015の坂本和也も、オールオーバーな水草で埋め尽くす絵画を出品していた。佐藤雅晴の鏡面、リフレクション、対称性にこだわるインスタレーションが、空間をうまく使っている。
また豊川信金旧いなり支店の1~3階と、古民家の1~2階は、荒木由香里、セシル・アンドリュ、平松伸之+伊東里奈など、使われなくなった場所の記憶を引き出そうとするインスタレーションを設置していた。今回、豊川の街を初めて訪れたが、豊川稲荷と参道がにぎわっている。巨大な本殿は、善光寺風である。新宗教でも使うが、ポピュラリティのあるスタイルだ。
写真:左上から、坂本和也の作品、佐藤雅晴の作品、豊川信金いなり支店 右上から、荒木由香里の作品、豊川稲荷表参道、豊川稲荷本殿
2015/02/22(日)(五十嵐太郎)
あいちアートプログラム アーツ・チャレンジ2015
会期:2015/02/17~2015/03/01
愛知芸術文化センター[愛知県]
愛知芸術文化センターのあちこちをまわりながら、アーツ・チャレンジ2015の展示を見る。選考審査を担当したのだが、むしろそれぞれの場所が作品を選んでいるような気分になった。この公募の最大の特徴は、ホワイトキューブ以外のクセのある空間を使うこと。つまり、若手アーティストのチャレンジだけでなく、場所への挑戦なのである。幾つかの作品を紹介しよう。
11階の展望回廊は、光あふれる空間で、その変化を音に変える片岡純也。12階は、家庭に死蔵された作品を公的なギャラリーに持ち込む藤井龍、7mの細長いテーブルの上の歪んだ日用品が「揺れる大地」感をただよわす廣瀬菜々&永谷一馬。2階の巨大吹抜けのフォーラムでは、繊細な無数の線が光できらめきながら、空間の現象をつくる千田泰広。地下1階では、デッドスペースを巧みに作品の条件とし、多視点の運動を誘発する2.5次元と言うべき記憶の絵画を描く田中里奈。地下通路展示ケースは、伊佐治雄悟の日用品を集積する幾何学的な小品。南玄関の階段踊り場では、音と振動を発生させるために、ここに設置した山田哲平の踊る洋服と三上俊希の膨らむ黒い袋群は、ともに動きを伴い、生命を感じさせる。地下2階の通路には、忘れたい言葉をリテラルに水に流す、コミカルだけどドキッとする星崎あいの映像作品。地下2階フォーラムでは、場の特性を考えて、壁に対する水平軸を床に対する垂直軸に転換した後藤あこの彫刻。将来の活躍を期待したい。
写真:左上から、片岡純也、廣瀬菜々&永谷一馬、田中里奈の作品。右上から、伊佐治雄悟、三上俊希、後藤あこ
2015/02/21(土)(五十嵐太郎)
だまし絵II
会期:2015/01/10~2015/03/22
名古屋市美術館[愛知県]
名古屋市美術館の「だまし絵II」展へ。子どもにもすぐ楽しめる内容だからなのか、人が多い。ただ、この手の企画としては、アルチンボルドやオランダの絵画を紹介して終わりではなく、現代美術の比重が結構多く、意欲的だと感じた。階段の踊り場にて、a-haの曲「TAKE ON ME」の懐かしいPVも紹介していたが、こういう文脈に入ると興味深い。窓学的にも重要な映像だ。展覧会の最後に登場する、エヴァン・ペニーの引き伸ばされた女が強烈だった。ありえない巨大さと、異様なリアルが同居し、時空が歪んだかのようだ。
2015/02/21(土)(五十嵐太郎)
ULI JON ROTH SCORPIONS 40th ANNIVERSARY TOUR OF JAPAN 2015
中野サンプラザ[東京都]
中野サンプラザにて、スコーピオンズ時代を演奏した、ウリ・ジョン・ロートのライブに行く。昔バンドでコピーした曲が幾つか演奏されたので懐かしい。仙人と呼ばれるウリだが、歳をとり、仙人らしい風貌に磨きがかかった。静動と緩急の激しい楽曲の構成、アタックの強いピッキング、粘るフレーズ、色気のある音色、トリプルのギター・オーケストレーションを2時間半楽しむ。ギターの音がデカ過ぎて、ドラムがあまり聞こえない(笑)。
2015/02/20(金)(五十嵐太郎)