artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
オペラ「水炎伝説」1幕3場(改訂版初演)
会期:2015/01/17~2015/01/18
神奈川県民ホール[神奈川県]
作曲が一柳彗、台本が大岡信、衣装が菱沼良樹という組み合わせにとどまらず、歌手があまり動かない代わりに、登場人物の内面を表現すべく、3名の男女のダンサーが舞台で主要な役割を果たす総合芸術になっていた。神話仕立ての物語であり、闇の永遠に対比させながら、美の儚さの概念を抽出する。
2015/01/18(日)(五十嵐太郎)
グスコーブドリの伝記
会期:2015/01/17~2015/02/01
静岡芸術劇場[静岡県]
SPACにて、宮城聡演出/山崎ナオコーラ脚本「グスコーブドリの伝記」を観劇する。宮沢賢治の童話世界を、パタパタと回転しながら、場面ごとに様々にシフトを変えるフレームの内部で展開する。特殊なのは、主人公をのぞく全員を人形(+黒子ならぬ、白子)で表現し、基本的にすべての登場人物が真正面を向く特殊な方法で表現していること。が、このルールを唯一破る演出になるだけに、ラストの火山のシーンが印象深い。
2015/01/17(土)(五十嵐太郎)
CCC展覧会企画公募 NCC 2015 第7回入賞展覧会「converters」「かつての遭遇」「Reconstruction of Memories/記憶の再構築」
会期:2015/01/13~2015/02/14
静岡市クリエーター支援センター2F・3F[静岡県]
しりあがり寿、八谷和彦らと公募の審査を担当した、CCCのニュー・クリエイターズ・コンペ2015の展覧会を見る。選考時に絞るのに困ったように、CCCで審査を担当するようになって、もっとも全体的なクオリティが高い。三企画とも異なる方法だが、見せ方を心得ている。CCCは学校をリノベーションしたものだが、椋本真理子+関真奈美+伏見恵理子+勝俣涼の「かつてとの遭遇」は、面白い場所を選び、三名の作家を批評家のテキストがつなぎながら、二部構成とする新しい手法だった。近藤愛助の「記憶の再構築」は、映像の語りが面白く、渡米した曾祖父とベルリン在住の自分を時空を超えて重ねる。
2015/01/17(土)(五十嵐太郎)
ロイヤル・アカデミー展 イギリス美術の華麗なる150年
会期:2014/12/06~2015/01/25
静岡市美術館[静岡県]
18世紀後半から現在まで続くイギリスのアカデミーを振り返るものだが、毎年恒例の展覧会にかなりの来場者を動員していたのは知らなかった。ただし、有名な絵は多くなく、結果的にあまり美術史に刻まれていないが、当時人気があったのは興味深い。アカデミーには建築家のメンバーもいて、有名どころでは、ウィリアム・チェンバースやチャールズ・コッカレルらも関わっている。
2015/01/17(土)(五十嵐太郎)
エンディングノート
砂田麻美監督の『エンディングノート』を見る。癌告知を受けた父のドキュメンタリーだが、なるほど家族にしか撮れない内容と、膨大な過去の記憶が凝縮した映像だ。が、いわゆる闘病ものではなく、ときに明るく、時間をかけて死を受け入れる経緯を捉える。父が宗教心でない理由で、教会での葬儀を選択したのが日本的であり、興味深い。
2015/01/16(金)(五十嵐太郎)