artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
ユダヤ遺産博物館
[アメリカ合衆国ニューヨーク市]
続いて、摩天楼博物館に行こうとしたらお休みで、向かいにユダヤ遺産博物館(ケヴィン・ローチ、1997)を見つけて入る。911ミュージアムと同様、歴史と記録へのこだわりが感じられる施設だった。展示が終わって、上階から海を眺めると、窓から自由の女神とエリス島がよく見える。東欧からアメリカに多くのユダヤの民が移住したことを踏まえての立地だろうか。
2015/01/01(木)(五十嵐太郎)
New Amsterdam Plein & Pavilion
[アメリカ合衆国ニューヨーク市]
マンハッタンの南端に移動し、オランダからニューヨークに贈られた、UN STUDIOの設計による、小さなニュー・アムステルダム・パビリオン(2011)を見る。冬季は閉店中だったが、それほど大きくないので、内部ものぞくと、雰囲気はわかる。空間が魅力的なわけでもないし、造形がびっくりするほどカッコいいわけでもない。またディテールもないし、コンピュータをぐりぐりやったらできます、というだけでは、ちょっと残念な建築である。
2015/01/01(木)(五十嵐太郎)
911メモリアル・ミュージアム
[アメリカ合衆国ニューヨーク市]
久しぶりにニューヨークのグラウンド・ゼロを訪れた。デヴィッド・チャイルズや槇文彦が手がけたタワーはすでに完成し、カラトラヴァの駅も全容をあらわし、続けてノーマン・フォスターやリチャード・ロジャースによる高層ビルの現場も動いている。世界貿易センタービルの跡地は、2011年から二段のプールとなっていたが、2014年にその地下空間を使う911メモリアル・ミュージアム(スノヘッタ、2014)がオープンした。失われた超高層のヴォイドとしての水場の真下は、基礎、残骸、土木工事の痕跡などが残り、まるで古代の遺跡を見るような大空間である。正直、ここはもっと情緒的な施設なのかと思っていたら、膨大な資料と情報を提示し、何が起きていたのかを多視点から伝えるファクトをたんたんと積み重ねていく、すさまじい博物館だった。特に当時の声と証言を組み合わせた、音のドキュメントが分厚く、緊迫感を想像させる。911メモリアル・ミュージアムは、3時間近くいたが、最後は駆け足でまわる程のヴォリューム感だった。また1993年のテロも含む、犠牲者の追悼空間もあるが、彼らは匿名の市民ではなく、一人一人に名前と歴史があることをたんたんと伝える。
2015/01/01(木)(五十嵐太郎)
モーガン・ライブラリー
[アメリカ合衆国ニューヨーク市]
モーガン・ライブラリー(1906)を訪れる。これもマッキム・ミード&ホワイトの作品を宇含む、20世紀初頭からの3つの様式建築をつなぐ、レンゾ・ピアノの増改築だ。フォートワースのキンベル美術館と同様、既存の建物をリスペクトしながら、明るい空間を生みだす、安定のクオリティだ。今回は、一時的なアート・インスタレーションが挿入されており、前に何もない状態で見たときと比べると、空間の良さが少し減じている。
2014/12/31(水)(五十嵐太郎)
Public Eye:175 Years of Sharing Photography
ニューヨーク市立図書館[アメリカ合衆国ニューヨーク市]
ニューヨーク市立図書館(1911)へ。豊富な資料を用いて、街や建築の記録写真を含むパブリック・アイ展、ターナーらのサブライム展を開催している。上階は旅行者が休める場所を提供するが、みなケータイをいじっているか、寝ている。設計は、マッキム・ミード&ホワイト。アメリカン・ボザールの代表だが、本家ヨーロッパの建築に比べると、デザインがちょっと弱いかもしれない。
2014/12/31(水)(五十嵐太郎)