2019年07月15日号
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artscapeレビュー

911メモリアル・ミュージアム

2015年02月15日号

[アメリカ合衆国ニューヨーク市]

久しぶりにニューヨークのグラウンド・ゼロを訪れた。デヴィッド・チャイルズや槇文彦が手がけたタワーはすでに完成し、カラトラヴァの駅も全容をあらわし、続けてノーマン・フォスターやリチャード・ロジャースによる高層ビルの現場も動いている。世界貿易センタービルの跡地は、2011年から二段のプールとなっていたが、2014年にその地下空間を使う911メモリアル・ミュージアム(スノヘッタ、2014)がオープンした。失われた超高層のヴォイドとしての水場の真下は、基礎、残骸、土木工事の痕跡などが残り、まるで古代の遺跡を見るような大空間である。正直、ここはもっと情緒的な施設なのかと思っていたら、膨大な資料と情報を提示し、何が起きていたのかを多視点から伝えるファクトをたんたんと積み重ねていく、すさまじい博物館だった。特に当時の声と証言を組み合わせた、音のドキュメントが分厚く、緊迫感を想像させる。911メモリアル・ミュージアムは、3時間近くいたが、最後は駆け足でまわる程のヴォリューム感だった。また1993年のテロも含む、犠牲者の追悼空間もあるが、彼らは匿名の市民ではなく、一人一人に名前と歴史があることをたんたんと伝える。

左:地下防水壁の遺構 右:最後の柱


2015/01/01(木)(五十嵐太郎)

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