artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

第77回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

会期:2014/12/23

横浜みなとみらいホール[神奈川県]

みなとみらいホールにて、レオポルド・ハーガー指揮による読響のベートヴェン交響曲第9番を聴く。緩急が激しく、盛上がりと寸止めを幾度も繰り返し、最後に合唱も融合した大団円のクライマックスに至るわけだが、改めてとてもヘンな有名曲である。交響曲に歌!が入るのだけど、合唱団は約50分もの間、何もせず後でずっと立っているのだ。しかし、いわゆるクラシックのコンサートの聴衆は年齢層が高い。筆者でもかなり若い方に入るんじゃないか。今はまだよいけど、若い層がもっといないと、20年後くらいに果たしてコンサートそのものが成立するのか?と、人ごとながら心配になる。建築や現代美術のファンは若い人も高齢者もいるのだけど。

2014/12/23(火)(五十嵐太郎)

社会と建築家の新しい関係~なぜ今、3.11を語るのか~

会期:2014/12/21

青山ブックセンター本店[東京都]

青山ブックセンターにて、書籍&展覧会『3.11以後の建築』刊行・開催記念イベント「社会と建築家の新しい関係~なぜ今、3.11を語るのか~」のトークを行う。芳賀沼整、浅子佳英、鷲田めるろ、五十嵐が登壇した。「3.11以後の建築」の展覧会と書籍をめぐる討議の企画であり、浅子さんから原発事故の扱い、コミュニティ・デザインの興隆について問題提起がなされた。前者は福島の芳賀沼さんもいたほか、飛び入りでエネルギーの問題を考える竹内昌義さんも参加し、だいぶ議論できたが、後者は都合がつかず欠席だった山崎亮さんも入れて再度必要かもしれない。内ゲバではないが、3.11以後を考える人達が、原発に関して分断されるのは、結局、社会における風化を増長させかねないのが気になる。また現在、注目されるコミュニティ・デザインをめぐる第三者による批評がもっと増えると、この新しい動きは歴史として定着していくと思う。

2014/12/21(日)(五十嵐太郎)

水戸芸術館

[茨城県水戸市]

水戸芸術館(磯崎新/磯崎新アトリエ、1990)へ。中庭では多くの出店が並び、屋内ではパイプオルガンのコンサートをちょうどやっており、これだけ空間が活用され、賑わっているタイミングで訪れたのは、初めてだった。「3.11以後の建築」展の巡回に関する打ち合わせを行う。2015年11月からスタートする予定だが、もともと巡回を想定していなかった企画だけに、金沢21世紀美術館とはだいぶ見せ方が変わりそうだ。再構成のイメージを固めるために、展示室をまわる。映像やインスタレーションによるヂョン・ヨンドゥ展を開催中であり、仮設壁や黒塗りなどで空間を厳密にコントロールし、部屋が普段とはかなり異なる印象になっていた。


「ヂョン・ヨンドゥ 地上の道のように」展示風景


「ヂョン・ヨンドゥ 地上の道のように」
会場:2014/11/8~2015/2/1

2014/12/20(土)(五十嵐太郎)

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リー・ミンウェイとその関係展

会期:2014/09/20~2015/01/04

森美術館[東京都]

参加型、いわゆるリレーショナル・アートということで、作品はそれ自体のカッコよさや美しさで勝負するのではなく、想像を働かせて鑑賞するタイプのものが多い。今回は関連展示を設け、ジョン・ケージ、鈴木大拙など、過去の作家、音楽家、学者、同時代の日本人アーティストも、一緒に紹介しているが興味深い。こうして見ると、とくにイヴ・クラインの先見性が浮かびあがる。


展示風景


2014/12/19(金)(五十嵐太郎)

伊東豊雄展 台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡2005-2014

会期:2014/10/17~2015/12/20

TOTOギャラリー・間[東京都]

スタディ模型や1/1のモックアップなど、まさにアイデアから実現までのドキュメント展示である。これは間違いなく、伊東豊雄の新しい代表作になるだろう。ヘッド・マウント.ディスプレイによる擬似的な空間体験もいい。着工前と建設途中の二度、現場に訪れたことがあるので、余計すぐに完成した建築を見に行きたくなった。




展示風景


2014/12/19(金)(五十嵐太郎)

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