artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
東京国立博物館 東洋館
国宝 松林図屏風
会期:2015/01/02~2015/01/12
東京国立博物館 本館2室[東京都]
上野の国立博物館にて、特別公開された長谷川等伯の松林図屏風を鑑賞する。本やネットで見ると、二次元だが、実際はジグザグに前後する屏風として、空間的には三次元に展開するので、いろいろな角度から観察すると面白い。計算された、2.5次元の絵というべきか。近づくと、細部は素早いタッチでラフに描かれており、遠目から全体のイメージを脳内で構築する絵だ。折れ曲がることで、一望できないため、まわりを動きながら、やはりイメージをつなぎあわせる。さすがに国立博物館のモノは他も興味深い。展示の手法は、部屋ごとにばらつきが大きい。
2015/01/09(金)(五十嵐太郎)
建築家 星裕之氏 レクチャー
会期:2015/01/06
東北大学青葉山キャンパス[宮城県]
東北大学にて、宇都宮の建築家、星裕之さんに自作についてしゃべってもらう。バブル崩壊後、ポストモダンを嫌い、ルイス・カーンのように光を扱う近藤春司の事務所でつとめた後、構造設計の仕事を経て、独立した経緯が語られる。得意とするローコスト住宅の設計では、廊下をなくしながら、床の段差をコントロールするコンパクトな計画、建築部位の分離表現、視線の回避と眺めの導入などが、共通した特徴になっている。
2015/01/06(火)(五十嵐太郎)
ミュータント・タートルズ
帰りの機内にて、『ミュータント・タートルズ』(監督:ジョナサン・リーベスマン)を見る。忍者の戦法+ルネサンスの画家の名前+ヒップホップ好きの亀がニューヨークで暴れるという、無茶苦茶な設定の漫画の実写化だ。かといってミュータント・タートルズを記号化することなく、リアルに描くが、意外に違和感がない。摩天楼の屋上と下水道の行き来、クライマックスの雪上の急滑降など、垂直移動するジェットコースター的なシーンが、映像的な見せ場になっている。
2015/01/02(金)(五十嵐太郎)
マンマ・ミーア!
会期:2015/01/01
ブロードウェイ[アメリカ合衆国ニューヨーク市]
ミュージカル「マンマ・ミーア!」を観劇した。ホワイエなしで入口からいきなり客席というすごいプランの劇場である。母の元カレ三人の職業が、建築家、作家、銀行家で、少女漫画みたいな設定の話だ。建築家というのは、憧れのロマンティックな仕事なのである。しかし、やはりABBAの、なんとなく英語が拙い、かわいらしい歌の力で、そうした邪念がすべて吹き飛ぶ。1970年代のキラキラした多幸感、おそるべしだ。
2015/01/01(木)(五十嵐太郎)