artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション

機内で幾つか映画を見る。『エクスペンダブルズ3』(監督:パトリック・ヒューズ)は、仲間が痛めつけられるのが耐えられないと、シルベスター・スターロンが一度は解散を決めたものの、最後は全員集合で「戦争」規模の大暴れだ。『クローズ』がヤンキー喧嘩のユートピアだとすれば、こちらはまだまだ若手には負けないと、老優の友情を確かめあう天国である。そして破壊される舞台となった廃墟ビルがすごい。この場所を見つけたことで、充分に成功だ。

2014/12/25(木)(五十嵐太郎)

ベイマックス

『ベイマックス』(監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ)を見る。今年の年末映画は良作が多い。米映画における日本の存在感が薄れるなか、さすがにロボット+戦隊+アニメの作品は、日本リスペクトの絵が多い。サンフランシスコと東京を融合させた都市のイメージは、必ずしも斬新ではないが、細部に至るまで、デザインへのこだわりを感じさせる。冒頭で少しだけ提示される大学(研究)か企業(金)かという対立は、クリエイターとディズニーの確執かと思ったが、物語はそう展開しなかった。今回も、犬と食をテーマにした冒頭の短編が良い。

2014/12/24(水)(五十嵐太郎)

Theater ZOU-NO-HANA 2014 象はすべてを忘れない

会期:2014/12/05~2015/12/23

象の鼻テラス、象の鼻パーク[神奈川県]

ままごとの柴幸男が演出・構成を担当し、インスタレーション、パフォーマンスを行う。カフェの空間においてラジオ・ブースから声を流しながら、ときには俳優と観衆が混じりあい、設置された象の像を使う「象はすべてを忘れない」の短い演劇を体験した。横浜における場所の記憶を引きだしつつ、サイトスペシフィックな演劇的な空間が出現している。

2014/12/23(火)(五十嵐太郎)

八木良太展「サイエンス / フィクション」

会期:2014/12/21~2015/01/17

神奈川県民ホールギャラリー[神奈川県]

神奈川県民ホールギャラリーの展示シリーズは、泉太郎といい、独特の緩さが気持ちいい。1300平方メートルもある展示空間を若手作家が埋める意欲的な企画展だけに、去年のKAATや、前回の横浜トリエンナーレほかで見たものも総集合しつつ、レコードなど、音をめぐる作品を様々に展開している。個人的には、赤青のメガネをかけて、立体物を立体視する作品は笑った。

2014/12/23(火)(五十嵐太郎)

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オリンピックから半世紀 あこがれの「団地」

会期:2014/10/11~2015/01/12

横浜都市発展記念館[神奈川県]

横浜都市発展記念館の「あこがれの『団地』」展は面白かった。資料の数々はもちろん、鍵っ子の登場など、団地をめぐる暮らしと、必然的に引き起こされる交通問題と鉄道の整備が興味深い。当時の映像を見ると、クルマを止める場所がなく、路駐だらけになったり、駐車場があっても、田んぼなどの別の場所に勝手に駐車するなど、好き放題だ。昔はよかったとノスタルジックに回想されるが、これも「美しい」日本のひとつの現実である。

2014/12/23(火)(五十嵐太郎)