artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
《海遊館》
[大阪府]
ケンブリッジ・セブン・アソシエイツが手がけた《海遊館》を訪れた。まずエスカレーターで一気に最上階までアクセスする。屋上の屋外展示を経て、室内に入ると、やがて目玉となる巨大な水槽に出会う。スペクタクル的な空間のスケールをもつ、十字の水槽のまわりを降下しながら、さまざまな角度と高さから鑑賞しつつ、その脇にも異なる環境の展示空間を付設する。なるほど、よくできた動線だ。とくに同一の小さな水槽に対して、高さを変えて何度か観察できるのが興味深い。自然が創造する生物の造形の凄さと多様さをこれだけ見せつけられると、美術館より水族館の集客があるのもうなずける。
2014/07/20(日)(五十嵐太郎)
ノスタルジー&ファンタジー 現代美術の想像力とその源泉
会期:2014/05/27~2014/09/15
国立国際美術館[大阪府]
国立国際美術館の「ノスタルジー&ファンタジー」展へ。10組の作家によるタイトル通りのグループ展だが、世代差による表現の違いを強く感じる。とりわけ、何気ない記念・集合・家族写真をもとにしたと思われる構図が、具象的なイメージを残しつつ、どろどろに融解し、抽象化され、記号化された小西紀行の絵画群が強く印象に残った。
2014/07/20(日)(五十嵐太郎)
生誕80周年記念 藤子・F・不二雄展
会期:2014/07/19~2014/10/05
大阪梅田グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル イベントラボ[大阪府]
グランフロント大阪北館のナレッジキャピタルにて、「生誕80周年記念 藤子・F・不二雄」展を開催していた。会場に入る時間はなかったが、吹抜けに大量の数のリアル・ドラえもん、CGによるキャラの巨大ポスターが吊るされ、多くの通行人が記念写真を撮っていた。1/1の立体ドラえもんが、意外に違和感がないことに驚く。
2014/07/19(土)(五十嵐太郎)
オール・ユー・ニード・イズ・キル
血みどろの描写でノルマンディー上陸を行なう『プライベート・ライアン』+同じ時を反復するタイムリープものだが、これだけ何度も主人公たちが死ぬ、または相棒に殺される映画も珍しいだろう。ゲーム的な設定とはいえ、それを映画的な視覚の面白さに昇華し、ルール変更の終盤まで文句なく引き込まれる。ラストが予想外なら、作品として化けただろう。
2014/07/18(金)(五十嵐太郎)
《熊本城》
[熊本県]
熊本城を訪れるのは、学生のとき以来だろうか。RC造で復元されたものとはいえ、改めて外観の細部をつくづくと眺めると、日本のお城というのは、面白いかたちをしている。これまでの日本建築のヴォキャブラリーを活用しながら、象徴性と機能性をアクロバティックに架橋する。やはり、火災にも耐える石垣がもっとも長く残りそうな建造物だ。
2014/07/14(月)(五十嵐太郎)