artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

《メソニックビル》

[東京都]

東京に移動し、神谷町の《メソニックビル》(1980)を見学する。東京タワーのほか、アントニン・レーモンドの教会や《ノアビル》などの近くで、外観はガラス張りのモダン建築だが、内部の地下には、フリーメーソンの青いブルー・ロッジと黄色のスコティッシュ・ライト・ホールなど、大工道具を基調とした象徴的なシンボルに彩られた空間がある。筆者は卒論のとき、18世紀フランスのアンビルドの建築家ジャン・ジャック・ルクーを題材とし、フリーメーソンと建築の関係に少し触れたので、懐かしい雰囲気だ。


ブルー・ロッジ


スコティッシュ・ライト・ホール

2014/07/23(水)(五十嵐太郎)

開館15周年ボストン美術館ミレー展 バルビゾン村とフォンテーヌブローの森から

会期:2014/04/19~2014/08/31

名古屋ボストン美術館[愛知県]

名古屋ボストン美術館のミレー展へ。田園風景を描いた彼と、バルビゾン派の画家たちをまとめて紹介する内容だった。もっとも有名な絵画の《種まく人》は、他と比べても、躍動感をひねりとゆがみで強調して表現した特殊な作品である。一般に農民の作業を描いたミレーの屋外の絵は有名だが、室内での編み物のお稽古を題材にした作品もあり、17世紀オランダの絵画のときの構図と変わらず、左側に窓を置く。

2014/07/23(水)(五十嵐太郎)

挑戦する日本画:1950~70年代の画家たち

会期:2014/07/05~2014/08/24

名古屋市美術館[愛知県]

名古屋市美術館の「挑戦する日本画」展へ。埼玉県近美の「戦後日本住宅伝説」展と同様、パンリアル美術協会など、1950~70年代の前衛的な動向を追ったものである。展覧会のセレクションでは、東京芸大の日本画学科卒の桑山忠明も入っていることに驚かされる。ちなみに、日本画というジャンルの定義は、画材で規定されるので、想像以上に題材の自由度は大きい。とくに横山操の《高架4号線》(1964)は、オリンピックで建設中の首都高建設現場を描いたものだが、テクノスケープ感覚が全開で、カッコいい。

2014/07/23(水)(五十嵐太郎)

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《名古屋城》、《乃木倉庫》、《名古屋能楽堂》

[愛知県]

名古屋にて、あいちトリエンナーレ2016の芸術監督を決定する委員会に出席した後、県庁舎からの徒歩圏なので、シンボル的な存在である名古屋城、乃木倉庫、名古屋能楽堂などのエリアを散策する。熊本城を見学したばかりなので、比較すると、名古屋城の大きさを実感できる。これもオリジナルの木造ではなく、コンクリートで再建してから半世紀以上が過ぎているが、ある意味では模像自体もすでに歴史的存在になっている。


《乃木倉庫》


《名古屋能楽堂》

2014/07/22(火)(五十嵐太郎)

機動戦士ガンダム展 THE ART OF GUNDAM

会期:2014/07/12~2014/08/31

大阪府文化館・天保山[大阪府]

海遊館の隣で開催していた機動戦士ガンダム展へ。スペースコロニーの模型がカッコいい。展示の内容は、もっとも多くの人が最大公約数的に思い出を共有できるファーストに絞っているので、名台詞に彩られた懐かしい名シーンの数々を絵コンテ、アニメの映像、模型による戦闘シーンの再現、美術設定など、多面的に楽しめる。コロニー落としの美術設定の場面は、その背景をよく見ると、ブルックリン橋や世界貿易センタービルが描かれており、ニューヨークの街だ。それにしても、以前、大阪文化館はサントリー美術館だったわけだが、同じ場所で現代美術家によるガンダム展や「THE ドラえもん」展を開催していた。しかし、今はベタにガンダム展やドラえもん展が開催されている。サブカルチャーが博物館化したのか、現代美術の役割が弱くなったのか、考えさせられる。

2014/07/20(日)(五十嵐太郎)