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五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

五十嵐研ゼミ旅行2 毛綱毅曠の建築めぐり

[北海道]

合宿2日目は釧路に移動し、毛綱毅曠の建築めぐりを行なう。《釧路フィッシャーマンズワーフMOO》(1989)、《釧路キャッスルホテル》(1987)、《釧路市立博物館》(1984)、《幣舞中学校(旧・釧路市立東中学校)》(1986)、《反住器》(1972)、《釧路市湿原展望台》(1984)、《釧路公立大学》(1987)など、子どものときから大人になっても、生涯毛綱建築とつきあえる街だ。筆者が学生の頃、最盛期を誇ったポストモダンの建築群であり、ようやく実見することができた。シンボリズムを語り、堂々と合理性や経済性から逃れることを言えた時代だ。それをまた発注者側も許容していたのが、すごい。現在のご時世だと絶対に無理だろう。釧路市立博物館では、あの異形の建築そのものが顔になったゆるキャラが存在していた。

写真:左上=《釧路フィッシャーマンズワーフMOO》、左下=《釧路市立博物館》、右上=反住器》、右下=《釧路市湿原展望台》

2013/09/03(火)(五十嵐太郎)

五十嵐研ゼミ旅行1 札幌市内の建築めぐり

[北海道]

今年は日本建築学会大会の開催に合わせ、東北大の五十嵐研ゼミ旅行は北海道だった。札幌駅に集合し、初日は小ぶりでかわいらしいレーモンドの《札幌聖ミカエル教会》(1960)と原広司による巨大な《札幌ドーム》(2001)を見学した。後者はサッカーと野球を両方開催するという日本的な文脈が生みだした複合ビルディングタイプである。ゆえに、変形するトランスフォーマー型の建築だった。京都駅や大阪の梅田スカイビルに通じる未来的なデザインが彩りを添える。ちなみに、屋内は市民のランニングコースにも使われているという。
夕方は街の中心に戻り、坂倉準三の《札幌パークホテル(旧・ホテル三愛)》(1964)へ。いま見ると、ポツ窓的な手法の先駆けのようにも見えるデザインが施されているのだが、名古屋にも同事務所のそうした物件がある。久しぶりに訪れたナイジェル・コーツの《ノアの方舟》(1988)は、店が変わっても建物名称は同じままだった。それだけこのデザインがインパクをもっているからだろう。高松伸の小さいながらも目立つ《FIVE FOX 札幌タトゥー》(1989)も残っていた(ただし、現在は光っていない)。

写真:上から《札幌聖ミカエル教会》《札幌ドーム》《札幌パークホテル(旧・ホテル三愛)》《ノアの方舟》

2013/09/02(月)(五十嵐太郎)

ほっかいどう大マンガ展

会期:2013/07/13~2013/09/08

札幌芸術の森美術館[北海道]

札幌芸術の森美術館「ほっかいどう大マンガ展」を見る。いがらしゆみこ、安彦良和、寺沢武一、相原コージ、今敏、山本直樹、高橋しん、花輪和一、吾妻ひでおほか、北海道出身や在住の作家を大量に紹介しているが、その多さに改めて驚く。また原画で10頁ほど連続して展示するため(物語の最小単位として)、多くの壁が必要となるのも、マンガならではだった。ゆえに、右→左の読む方向をいかに整理し、動線をデザインするかも重要である。

2013/09/02(月)(五十嵐太郎)

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《北海道立三岸好太郎美術館》(1967)

[北海道]

札幌出身の三岸好太郎の美術館が、道立近代美術館のすぐ近くにある。あの有名な貝殻のモチーフは、画家が31歳で亡くなる死の直前だったものと知る。ゆえに、バウハウス帰りの山脇巌に依頼したモダニズム建築のアトリエも完成を見ることがなかった。竣工してすぐ、ここで彼の遺作展が開催されている。「絵からとびだしておいで!」展は、おばけのマ~ルと美術館のコラボ企画だが、美術の場を再解釈する面白い試みだった。

2013/09/01(日)(五十嵐太郎)

太田實+北海道立美術館設計共同企業体《北海道立近代美術館》(1977)

[北海道札幌市]

《北海道立近代美術館》を訪れる。ギーディオンの主著『空間・時間・建築』を訳した太田實らが設計したものだ。明快なシンメトリーの軸があり、両サイドが斜めに伸び上がる、強烈な形と形式性から、70年代の懐かしい香りがする建築だ。「パスキンの生きた時代」展は、エコール・ド・パリをにぎわせた画家を取り上げ、放浪の後、人物像のやわらかい色彩に至る軌跡を紹介し、「ふれるかたち」展は、彫刻を触っていい企画だった。

2013/09/01(日)(五十嵐太郎)