artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
坂本一成住宅めぐり
会期:2013/05/17~2013/06/30
八王子市夢美術館[東京都]
町田から八王子市立夢美術館へ。こちらは地元の建築家でもある「坂本一成住宅めぐり」展を開催していた。大きく引きのばした建築写真のタペスリーを床から立ちあげ(実際には天井から吊るが)、これまでのほぼ全作品を紹介する。この特徴的な展示手法は、シンプルだが、住宅の内観だと、特に効果があり、空間に引き込まれるような没入の感覚をもたらす。また新作であるProject AOの1/3模型は、かなり精度が高いことに関心した。
2013/06/13(木)(五十嵐太郎)
空想の建築 ─ピラネージから野又穣─
会期:2013/04/13~2013/06/16
町田市立国際版画美術館[東京都]
1990年代に開催されたピラネージ展以来、久しぶりに町田市立国際版画美術館へ。「空想の建築 ピラネージから野又穣へ」展は、アンビルドの建築と美術を架橋する企画だ。建築史系では、コロンナ、ビビエナ、ルドゥー、シンケル、エジプト誌、フェリスなどを楽しめる。シブいセレクションだ。アートからは、デマジエール、阿部浩、コイズミアヤ、野又穣など。この展覧会があまり建築界で知られていなかったのはもったいない。
2013/06/13(木)(五十嵐太郎)
あいちトリエンナーレ2013参加アーティスト リゴ23 パブリックアート作品制作
[愛知県]
あいちトリエンナーレ2013のまちなか会場となる長者町にて、5月末から滞在制作を続けていた、Rigo23による壁画がついに完成した。内部を隠していた囲いを外し、全容が明らかになる。駐車場に囲まれたビルの三面を用いて、過去の写真をもとに、1950年代の名古屋のある風景を描く。梯子を使い、高所の電線の作業をする職人たちの様子である。これまで多くの壁画を制作したが、彼らも三面の壁画を手がけたのは、初めてだという。
2013/06/10(月)(五十嵐太郎)
黄金の馬車
舞台芸術公園 野外劇場「有度」[静岡県]
会期:2013/6/1・8・15・22
続いて、ここも磯崎新が施設群を設計した舞台芸術公園に移動し、宮城聡が演出する「黄金の馬車」を観劇した。最初から最後まで一度もだれることなく、リズミカルで勢いがあって、メタ的で観客も巻き込んで、面白い。現実と虚構、言葉と身体、旧作の再解釈などがテーマになるのだが、とくに演出に合わせ、気持ちのいい野外劇場の構造を反転させた空間の使い方に感心した。建築家の木津潤平が、これらのデザインを担当している。
2013/06/08(土)(五十嵐太郎)
脱線!スパニッシュ・フライ
会期:2013/06/08~2013/06/09
静岡芸術劇場[静岡県]
ふじのくにせかい演劇祭2013を鑑賞する。静岡芸術劇場では、ドイツの演劇「脱線!スパニッシュ・フライ」。字幕付きでコメディを理解するのは、どうしてもストレスがかかるが、鮮やかな色彩の衣装、髪型、そして過剰な動きでけっこう楽しめる。巨大な絨毯一枚だけでいろいろな働きをする舞台美術が印象的だった。間仕切りの代わりに、ひだを活用したり、一部にトランポリンを組み込むなど、ランドスケープ的な空間である。
2013/06/08(土)(五十嵐太郎)