artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

DIC川村記念美術館

[千葉県]

DIC川村記念美術館へ。緑豊かな環境と、アメリカ現代美術を中心にした素晴らしいコレクションである。特にリフレクションしつつ、赤い光に包まれるバーネット・ニューマンの部屋と、マーク・ロスコにとり囲まれるシーグラム壁画は、空間と美術の対話が刺激的だ。これだけのすぐれたコレクションをもっているのだから、景気に左右されず、ずっと持ち続けて欲しい。が、いろいろやり過ぎた建築のデザインはちょっと残念。

2013/05/13(月)(五十嵐太郎)

JIA東北建築家フォーラム2013 基調講演「アートミーツアーキテクチャ」

会期:2013/05/10

せんだいメディアテーク 1F オープンスクエア[宮城県]

せんだいメディアテークにて、高橋匡太の講演と彼を囲むシンポジウムを行なう。これまで丹下健三、菊竹清訓、安藤忠雄、高松伸らのすでに存在する建築に対し、光のアートワークを試みたが、最近は西沢立衛の十和田市現代美術館やアトリエ・ワンの建築における常設作品、平田晃久らのインスタレーションなど、これからつくるプロジェクトに関わり、まだ存在しない空間について、建築家と直接やりとりしながらのコラボレーションに移行している。やはり、実験の積み重ねと現場の試行錯誤が重要なようだ。また光が多すぎる場所では、減らすことも作品になるというのが印象的だった。あいちトリエンナーレ2013では、多くの人を巻き込みながら、都市空間を活用した作品を構想中とのこと。

2013/05/10(金)(五十嵐太郎)

ドラマチック大陸─風景画でたどるアメリカ

会期:2013/01/12~2013/05/06

名古屋ボストン美術館[愛知県]

名古屋ボストン美術館の「ドラマチック大陸」展を見る。新大陸のアメリカで発見された、ヨーロッパにはない雄大な「自然」を描く風景画の歴史をたどるもの。例えば、ナイアガラの滝やグランド・キャニオンなどである。トーマス・コールらの絵画や写真を通じて、いかにアメリカ的なものが発見されたのかがわかる。もっとも、アメリカ的な題材である一方、時代ゆえに、その表現にはヨーロッパの近代絵画の影響も認めることができる。

2013/05/07(火)(五十嵐太郎)

あいちトリエンナーレ2013 ダン・ペルジョヴスキ作品制作

愛知芸術文化センター 11F 展開回廊[愛知県]

同じくトリエンナーレの出展作家としては、愛知芸術文化センターの11階、L字の展望回廊では、ルーマニアの作家、ダン・ペルジョヴスキがガラスにドローイングを描き、作品が完成した。政治や社会的なメッセージを含む、わざわざ翻訳する必要がないシンプルな言葉遊びや絵が、名古屋の街の風景と混ざりあう。これまでに描いた絵もあるが、日本版の絵も幾つか。例えば、「FUKUSHIMA」→「FUKU・SHAME」などである。

2013/05/06(月)(五十嵐太郎)

あいちトリエンナーレ2013 宮本佳明「N-shadow(仮称)」制作

愛知芸術文化センター[愛知県]

福島第一原発のヴォリュームを愛知芸術文化センターに仮想的に転送し(実は等スケールですっぽり入る)、空間の内部に重ね合わせる宮本佳明のプロジェクトがすでに動きだしており、少しだけ見ることができた。建物の各階のあちこちに、原発の壁や炉心を示すラインが散りばめられ、頭の中で統合すると、普段は近づくことも、触ることもできない福島原発の大きさがイメージできる。またこれは都心に原発を置くことも想像させるだろう。

2013/05/06(月)(五十嵐太郎)