artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
ヤノベケンジ「サン・チャイルド」
[大阪府]
阪急南茨木駅の前のロータリーに、震災後の希望を示す子どもの立像のモニュメント、ヤノベケンジによるサンチャイルドが常設のパブリックアートとして設置されている。先に見た岡本太郎記念館の庭や福島空港の室内に比べると、まちの屋外に立っているのは、のびのびとして気持ちがいい。茨木市教育委員会の平成23年度彫刻設置事業らしい。これでヤノベとゆかりが深い万博会場に近い場所で、いつでも見ることができる状態になった。
2013/06/02(日)(五十嵐太郎)
《KIITO(デザインクリエイティブセンター神戸)》
[兵庫県]
デザイン・クリエイティブセンター神戸のKIITOを見学する。生糸検査所として使われていた近代建築をリノベーションしたものだ。すでに建築、編集、デザインなどの事務所はいろいろ入っているが、全体の規模が大きいこともあり、まだ完全に施設をフル稼働という感じではない。ただ、天井が高いホールやギャラリーの空間はなかなか魅力的で、ポテンシャルをもった施設である。現代美術の大がかりな展示にも相性がよさそうだ。
2013/06/02(日)(五十嵐太郎)
《神戸港震災メモリアルパーク》(1997)
[兵庫県]
神戸の海沿いの近代建築を見つつ、メリケンパークの破壊された波止場をそのまま保存した神戸港震災メモリアルパークを訪れた。あの瞬間から時が止まったままの場所である。1995年に震災から2週間後にメリケンパークを訪れたことも思い出す。しかし、逆に言うと、これ以外にここで阪神・淡路大震災の記憶を見つけることができない。これは震災から2年半後の1997年7月完工の施設だから、東日本大震災ももうすぐその時期を迎える。
2013/06/02(日)(五十嵐太郎)
クロユリ団地
『クロユリ団地』は、J.ホラーの進化形ではなく、罪悪感と時間をめぐる悲劇だった。驚かすことや怖がらせることよりも、精神に重苦しく、長く訴える。映画の最初、主観視点で各部屋をなめまわすシーンが不自然だと思ったら、なるほどきちんと論理的に撮影されている(ネタバレになるので書けないが)。前田敦子の演技が思いの外、よい。それにしても筆者が暮らす仙台の宿舎が、ここの団地にとても似ていることが一番嫌だった。
2013/06/01(土)(五十嵐太郎)
オブリビオン
映画『オブリビオン』を見る。現実とは異なる世界観をつくり出す、ミッドセンチュリーの未来版のような建築のテイストや美術も好みだが、それらのデザインも含めて、新しい時代の映画というよりは、これまでのSFの遺産を巧みにつなぐ集大成的な作品だった。プロコル・ハルムの懐メロも僕にはぐっとくるが、2017年の宇宙飛行士が聴くだろうか。主人公が選ぶ最後の選択は、ちょっとハリウッド的ではなく、日本的な感じである。
2013/06/01(土)(五十嵐太郎)