artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

せんだいスクール・オブ・デザイン 2012年度春学期成果発表会

会期:2012/08/12

せんだいメディアテーク 1Fオープンスクエア[宮城県]

せんだいスクールオブデザインの学外発表会にて、五十嵐スタジオの制作物『S-meme』の4号のお披露目を行なう。今回の特集は「現代美術と地域」を考えるというもの。あいちトリエンナーレ2013のチームを招き、小崎哲哉の「越境するパフォーミングアーツ」論、キュレータの飯田志保子のアジアパフィシックトリエンナーレ論を掲載したほか、村上タカシのレクチャー、街なかに点在するパブリックアートやグラフィティのフィールドワーク、仙台美術の状況と歴史などを収録した。またせんだいメディアテークで開催された「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S市杜王町」展のメイキングに関わる原稿は大いにもめたが、地方でアートと商業に関わる展覧会の難しさを再認識することになった。

2012/08/12(日)(五十嵐太郎)

あいちトリエンナーレ2013開幕1年前イベント「けんちく体操」ワークショップ

会期:2012/08/10

愛知芸術文化センター 2階大ホール前[愛知県]

あいちトリエンナーレの1年前イベントとして、けんちく体操を行なう。話題になった書籍を通じてよく知っているプログラムで、とうとうドイツのバウハウスにまで呼ばれているが、生で目の前で見るのは初めてだった。ひとりの簡単な模倣から、だんだんと人数が増え、難易度を上げていく。複雑さを増すほど、多様な表現となり、同じ建物で人によって解釈が違うのが興味深い。ラストは10人近い人で、なんと名古屋城。これは壮観だった。

2012/08/10(金)(五十嵐太郎)

オカムラデザインスペースR第10回企画展「Flow_er」

会期:2012/07/24~2012/08/10

オカムラ・ガーデンコート・ショールーム[東京都]

ニューオータニのOKAMURA DESIGN SPACE Rにて、建築家の平田晃久とガーデンプランナーの塚田有一がコラボレーションした「Flow_er」展を見る。透明なアクリルの面が三次元的に分節しながら、ひだ状に展開していく。明快な内部も外部もない。平田による幾何学の世界のあちこちに植物が置かれる。そして上から水が落ち、分岐しながら全体を流れていく、新しい感覚の庭。意外だが、なかなか魅力的な組み合わせとなっている。

2012/08/08(水)(五十嵐太郎)

ヘルタースケルター

会期:2012/07/14

映画『ヘルタースケルター』を見る。『さくらん』や『ヘビーローテーション』のPVでも見せつけた蜷川実花による女性の花園が生みだすカラフル・ロココ世界×沢尻の復活主演×岡崎京子の名作という組み合わせで、企画勝ちだ。あらかじめ予想していた通りに充分おもしろい。ただし、逆に言えば、予想以外のおもしろさがなかったとも言える。後半は少し冗長だが、海外からイメージされるハイパー東京のようだ。ただ、噂の流通などでケータイやネットは登場するが、雑誌が以前程強くない2012年の現在性が弱い。

2012/08/07(火)(五十嵐太郎)

南相馬ヒアリング調査

会期:2012/08/05

南相馬市、塔と壁画のある仮設住宅地の集会所[福島県]

南相馬へ。五十嵐研が手がけた塔と壁画のある仮設住宅地の集会所にて、はりゅうウッドスタジオの事務所がバーベキューを開催した。途中、夏川りみが訪れ、集会所でライブも行なわれる。五十嵐研は住民に生活や今後の暮らしについてヒアリング調査を実施し、日本大学の浦部研は個別の要望に応えながら、クラインガルテンを再配置した。建設時、住人はいなかったが、今は顔が見える。その後、20km圏の警戒区域が縮小されたのを確認すべく南下した。三度止められた地点を越え、どんどん先に進む。人影がなくなり、廃墟が続き、誰にも止められないので不安になったほどだ。ここでは1年前の瓦礫を片付ける前の南相馬の風景がそのまま残り、時間が静止している。そして波江町付近で止められた。

写真:上から、バーベキューの様子、ライブの様子、新しい境界、その先の風景

2012/08/05(日)(五十嵐太郎)