artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
ALA建築プロジェクト 建築学生の挑戦「都市と空き地 vol.1」
会期:2012/07/25~2012/08/19
アートラボあいち 2階・3階[愛知県]
アートラボあいちにおける、建築学生の挑戦「都市と空き地」展を見る。名古屋の9つの研究室が参加し、期間限定の空き地の活用を提案するもの。想像していた以上に、どれもつくり込んだ模型で、なかなかの力作揃いだった。筆者が審査員となり、トリエンナーレでの使いやすさ、仮設と空き地の利用という視点から、1位から3位と佳作を決定する。
最優秀賞の名城大学谷田研究室は、空き地のまわりを足場で取り囲むというもの。この構築物を用いて、さまざまなアクティビティを誘発するが、興味深いのは、名古屋らしさ=金の鯱ということで、全体を金色に塗っていること。ほかのどの案にもない、名古屋的なものへの、あえてキッチュな提案がよかった。2位は、名古屋大学の恒川研究室による、両サイドのビルのパラペットに引っ掛けながら、幾重にもカーテンを吊るすというもの。これもカーテンの引き具合によって、さまざまな場を生みだす。そして3位は名古屋工業大学の伊藤研究室。空き地の状態を残すように、コの字型の建物をつくる。3年で壊すにはもったいないが、むしろ3年後にこういう建物がつくられると、空き地が残ったかのようで興味深い。
2012/07/25(水)(五十嵐太郎)
あいちトリエンナーレ2013企画発表会
会期:2012/07/25
あいちトリエンナーレ2013の実行委員会有識者部会、愛知県公館にて知事との懇談、愛知芸文センターに戻り、実行委員会運営会議、そして企画発表会(記者会見)と、3回同じ話をする日だった。11組の作家を追加で発表、公式デザイナーに廣村正彰、教育普及のコミュニティ・デザイナーに菊地宏子が就任、パフォーミングアーツ部門ではサミュエル・ベケットを基軸にしたことを報告する。これで全体の1/3の作家が公表された。
2012/07/25(水)(五十嵐太郎)
栗原健太郎+岩月美穂 / studio velocity 「植物の生態系が環境によって形をかえるように建築をつくる」展
会期:2012/07/21~2012/08/05
愛知淑徳大学 長久手キャンパス8号棟5階プレゼンテーションルーム[愛知県]
愛知淑徳大学の授業プログラムで、スタジオ・ヴェロシティの展覧会が開催され、オープニングトークに出席した。展覧会は、模型やパネル、インスタレーションを駆使し、想像以上に、大がかりな個展である。通常はギャラリー間の巡回展というかたちをとるが、今回は初めて作家とともに展覧会をつくることになり、結果的に良い教育になっている。
2012/07/22(日)(五十嵐太郎)
丸沼芸術の森所蔵 アンドリュー・ワイエス展 オルソン・ハウスの物語
会期:2012/05/26~2012/07/22
宮城県美術館[宮城県]
宮城県美術館「アンドリュー・ワイエス展 オルソン・ハウスの物語」を見る。ワイエスという作家にはあまり興味がなかったが、30年以上もずっと同じ家を描き続けたという行為には驚かされた。それもある意味ではなんの変哲もないような普通の家である。
2012/07/20(金)(五十嵐太郎)
青野文昭 展 どくろ杯・II─他者性と不可避性について─
会期:2012/07/06~2012/07/22
Gallery TURNAROUND[宮城県]
仙台のギャラリーターンアラウンドの青野文昭展は、壊れ、廃棄されたモノたちを「修復」しつつ、船と机など、異なるモノと融合させてしまう作品が並ぶ。それもゴミを分別して再利用するリサイクルではなく、まったく役立たないものに「修復」するのだ。作家は震災前から海辺を歩き、これをやっていたし、被災した3.11後も瓦礫からモノを拾い上げ、同じ方法で作品を制作している。おそらく変わったのは彼をとりまく文脈だ。
2012/07/17(火)(五十嵐太郎)