artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

にっぽんど真ん中祭り

会期:2012/08/24~2012/08/26

久屋大通公演会場、大津通パレード会場ほか[愛知県]

名古屋の久屋大通公園会場にてどまつりを体験したが、人工的につくられた現代の祭りとしてよくシステムが出来ている。セミファイナル、ファイナルなどの段階が設けられ、卒計日本一戦との共通点もある。東海圏だけではなく、北海道、大阪、京都、長野のほか、仙台から宮学/MGのチームも踊りにきていた。セミファイナルになると、それまでのパフォーマンスのレベルにばらつきがなくなり、さすがに各ブロックの二位通過は迫力がある。ダイナミックな動きに統一感があり、もっとも良いと思った「笑゛(じょう)」が、大賞を受賞した。ともあれ、全体に共通する、日本人によるネオジャパネスクの感覚、郷土愛の雰囲気、気合いと根性は、まさにヤンキー的なものである。その直後、アートラボあいちにて、アーティストによる自主運営ギャラリーGOHONの2年間の活動を振り返る展覧会のオープニングに顔を出したのだが、やはり全然人種が違う。

2012/08/26(日)(五十嵐太郎)

アメイジング・スパイダーマン

会期:2012/06/30

『アメイジング・スパイダーマン』を見る。高層ビルの隙間を軽やかに飛びまわるアクションはもはや定番。これも技術的な表現の進化が安定期に入ったのか、スペクタクル的な絵はやり尽くした感があるので、ドラマの部分がよりつくり込まれていた。さすが『500日のサマー』の監督らしい、ハイスクールにおける男女の物語を巧みに描く。が、それにしてもエンディングに日本語の主題歌が流れるのは酷い。これで動員が増えることはないだろうし、本来の映画ファンもがっかりだ。一体、誰が喜ぶ、広報的な仕掛けなのだろう?

2012/08/23(木)(五十嵐太郎)

斉と公平太『CHOJAMACHI 第一巻』

発行日:2012年7月

アートラボあいちにて、あいちトリエンナーレ2010の出品作家、斉と公平太さんのゆるキャラ、長者町くんの漫画『CHOJYAMACHI』を購入する。小難しいアート漫画ではなく、ロボット、看守、不幸の手紙支配人も登場し、けっこう笑える内容だ。Facebookでも読めるが、紙媒体の方がゆるさを強く感じることができる(http://t.co/zP3m1Nd2 )。今度は岡崎のアートプログラムに参加し、新しいキャラ、オカザえもんも生みだした。

2012/08/20(月)(五十嵐太郎)

特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」

名古屋ボストン美術館[愛知県ほか]

会期:2012/06/23~09/17(前期)、2012/09/29~12/09(後期)
「ボストン美術館 日本美術の至宝」展は、奈良時代から近世までの作品を紹介するが、改めて日本美術の質の高さに感心させられる。ヘタな現代美術よりも、はるかに良い。最後のパートはあまり知らなかった画家、曽我蕭白に焦点をあてるが、写実レベルの操作、構図のダイナミックさ、空間をつくる絵のスケール感は圧倒的だ。それにしても、これらの作品群は、占領され、略奪されたわけでもないのに、アメリカに流出したものである。廃仏毀釈のあおりをくらった仏教美術や価値が発見されない近世の絵画など、当時の日本にあきれるが、現に建築の重要な資料なども海外で買われている今のわれわれには笑えない。

2012/08/19(日)(五十嵐太郎)

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トータル・リコール

会期:2012/08/10

リメイクされた映画『トータル・リコール』を見る。オリジナルのバーホーベン監督+シュワちゃんの怪演を超えるのは絶対無理という前提だったので、思ったより面白い。しかし、映像技術だけが進化した『トロン』の新作と同様、旧作の当時における衝撃には及ばない。『ブレードランナー』風のオリエンタル都市や未来建築を描く現代の技術は凄いが、これも既存の枠組のなかでの洗練でしかない。また妻との確執がより強調された。

2012/08/18(土)(五十嵐太郎)