artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

マニフェスタ9「The deep of the Modern」

会期:2012/06/02~2012/09/30

Waterschei mine[ベルギー ゲンク]

ゲンクの旧工場に向かい、毎回開催される都市を変えるマニフェスタ9のプレス・プレレビューに出席した。「deep of the modern」と題して、近代化とからむ炭坑とアートをテーマに掲げる。明快なキュレーションによって、作品をフロアごとに分類し、目黒区美術館の「文化資源としての炭坑」展を超拡大したような内容だった。会場は分散させずひとつに集約し、それが炭坑の関連工場であることが展覧会の説得力を増している。

2012/05/31(木)(五十嵐太郎)

ニコラス・プロヴォスト「Plot Point Trilogy」

会期:2012/04/22~2012/07/01

ARGOS Centre for Art & Media[ベルギー ブリュッセル]

続いて、その近くのROSASとの所縁が深いダンス・振付けの学校P.A.R.T.S.を訪問し、市内のギャラリーめぐりを行なう。ARGOSも大胆なリノベーション空間で、映像を中心に紹介しているスペースだった。ニコラス・プロヴォスト展は、ニューヨーク、ラスベガス、東京を舞台にした不穏な三部作で強烈なインパクトをもつ。

写真:ARGOS

2012/05/30(水)(五十嵐太郎)

ジェレミー・デラー「Joy in People」

会期:2012/06/01~2012/08/19

WIELS[ベルギー ブリュッセル]

ブリュッセルでは、ビール工場をリノベーションしたアート・スペース、WIELSにて、ジェレミー・デラー展のプレス・レビューに出席した。初期の寝室開放、サッチャー時代の炭坑閉鎖ストライキ、デペッシュ・モードの海外受容をテーマにした作品など、イギリスの社会・文化と人の関係性を軸にさまざまな作品を展開している。WIELSはラフなつくりだが、空間は大きく、またレジデンスのプログラムと設備も充実していた。

2012/05/30(水)(五十嵐太郎)

オーギャスト・ペレ《シャンゼリゼ劇場》

会期:2012/05/29

シャンゼリゼ劇場[フランス パリ]

シャンゼリゼ劇場にて、モーツァルトのオペラ「コジ・ファン・トウッテ」を鑑賞した。オーギュスト・ペレが設計した近代建築も、来年で100年を迎える。立派な歴史的な建造物だ。シャルル・ガルニエのオペラ座に比べると、全体的に空間は小ぶりだ。一応、エントランスの吹抜けにバロック階段的な演出もあるが、さほど壮麗ではない。モダニズムというよりは、古典も入り、ちょっと堅いアールヌーボーの内装などが散見され、興味深い。

2012/05/29(火)(五十嵐太郎)

J'ai deux amours

会期:2011/11/16~2012/06/24

palais de la port dorée[フランス パリ]

移民歴史博物館(palais de la port dorée)にて、それに関連したテーマの現代美術の企画展を見る。以前に訪れたときと、施設の名称が変わったが、もともと植民地博覧会のメイン施設としてつくられた建築だ。ゆえに、非西洋圏の文化を扱うことには変わりがない。当時のアール・デコの良質なインテリア・デザインも含まれているが、室内外の装飾や壁画における世界の描き方において、植民地博の表象がしっかり建築に刻まれている。側面の壁には、十字軍以来のフランスから海外進出した歴史的な人物の名前が並ぶ。

2012/05/29(火)(五十嵐太郎)