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五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

「BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧」展

会期:2012/04/13~2012/09/02

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

パリのカルティエ財団での個展の凱旋なのだが、いかに自分が(拡張している?はずの)「現代美術」の枠組をもってしまっているかを再認識してしまう内容だった。つまり、これは現代美術とはどこか違うと感じてしまうのだ。もっとも、初期の動物+花の絵や自動ポロック生成の作品などは面白いが。むしろ、ビートたけしの懐かしいギャグ映像も展示されており、やはりそれが圧倒的に良い。いや、こちらの方がアートらしく感じた。

2012/04/22(日)(五十嵐太郎)

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太陽の塔 黄金の顔/ザ・タワー─都市と塔のものがたり─

江戸東京博物館[東京都]

会期:2012/02/21~05/20/2012/02/21~05/06
常設展示のエリアにおいて、岡本太郎による太陽の塔の輝く黄金の顔の部分が床置きで展示されていた。したがって、導入部となる復元された日本橋から下を見下ろすかたちになっている。これが空中高くに位置するときにはあまり気づかなかったが、この距離で鑑賞すると、とにかくデカイことに驚かされた。また東京スカイツリーの登場にあわせて企画された「ザ・タワー」展は、想像以上に資料が多い。古代から現代までのさまざまな塔を紹介するが、とくに浅草の十二階やパリのエッフェル塔が充実している。後者の知られざるさまざまなリノベーション・プロジェクトは興味深い。それにしてもエッフェル塔の手描き青図の美しいことに感心させられた。が、東京タワーの図面になると、そうした色気を失い、展示のラストにある東京スカイツリーに至ってはコンピュータによる図面の束を無造作に置くだけだったのは寂しい。

2012/04/21(土)(五十嵐太郎)

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隈研吾建築都市設計事務所《浅草文化観光センター》

[東京都]

竣工:2012/04

オープンしたばかりの浅草文化観光センターを見学するために、久しぶりに雷門の前を訪れた。隈研吾のフォトジェニックなデザインといまや必勝パターンとなったルーバーの使用は健在である。効果的に見栄えがするのだ。もっとも、東京スカイツリー、スーパードライホール、浅草寺などの強いモニュメントに囲まれるなかで、最上階からこれらを眺めるための視点を提供しつつ、伝統を意識した家型の記号を積層しつつ、透明なランドマークを狙う。

2012/04/21(土)(五十嵐太郎)

「復興─まちを再建するつながりの力─」展

会期:2012/03/20~2012/05/06

名古屋都市センター 11階 まちづくり広場[愛知県]

東日本大震災から1年後ということで企画されたもの。展示のヴォリュームや資料的な価値もあって、意欲的かつ大事な企画だが、展示のデザインがないのは残念だった。パネルによる研究発表のようになっている。むろん、ジャーナリスティックなものだけならそれでもよいかもしれないが、アート的な性格を伴う3.11メモリアルプロジェクトの瓦礫オブジェやアーキエイドの巡回も、この見せ方ではカッコ悪いし、あまり伝わらない。

2012/04/20(金)(五十嵐太郎)

国立西洋美術館「ユベール・ロベール─時間の庭」展関連シンポジウム「時の作用と美学」2日目

会期:2012/04/15

東京日仏学院 エスパス・イマージュ[東京都]

ユベール・ロベールの展覧会にあわせて開催されたシンポジウムである。ミュリエル・ラディック、稲賀繁美、北川フラム、宇野邦一の発表後、セッション2「建築と自然 新たなる対話へ」の司会を担当しつつ、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2008の温室をめぐって「建築と植物」についても発表した。隈研吾は東北地方にある自作について語り、パトリック・ブランはこれまでの作品の軌跡を紹介しながら、パワフルな発表を行なう。ブランの視点は植物学者らしく、完全に人間側ではないところが新鮮だった。地面に生えない植物はいっぱいあって、植物自体が高性能のアーキテクチャーなのだ、という。また建築VS植物の廃墟にならずとも、両者は共存できる。そして時間の尺度が壮大だった。数十年や数百年ではなく、もっと長い単位で世界を見ている。

2012/04/15(日)(五十嵐太郎)

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