artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

モバイルハウスのつくりかた(本田孝義監督)

渋谷ユーロスペースほか全国順次公開[東京都]

会期:2012/06~
本田孝義は、団地や『船、山にのぼる』のPHスタジオのプロジェクトなど、建築(的なもの)と人が関わるドキュメンタリーを制作してきた映画監督である。新作の『モバイルハウスのつくりかた』では、「0円ハウス」で知られる坂口恭平をとりあげた。映像を見ると、彼がマイクを手に語る姿はタレント性があり、熊本における被災者を受け入れるユートピア的なゼロセンターや新政府樹立宣言は、漫画の『キーチ』をほうふつさせるだろう。家や住まいの原点を探る彼の活動も、3.11以降に新しい文脈を獲得したといえる。

2012/03/16(金)(五十嵐太郎)

GALERIE QUYNH/SAN ART

[ベトナム・ホーチミン]

アメリカ軍のもたらした悲劇を伝える戦争博物館や、川の中に浮かぶガウディ的な装飾に覆われた異形の寺院を見学した後、数少ない現代のアートスペースを訪れた。ひとつはベトナムやフランスの作家を扱うGALERIE QUYNHである。普通の店舗が並ぶストリートにおいて唐突にギャラリーが出現し、その内側では二層の良質なホワイトキューブが確保されていた。もうひとつは、ちょうど小泉明郎の映像作品を紹介する展覧会を開催していたオルタナティブスペース、SAN ARTである。これも住宅街の一部を改造して、現代美術の場に変えたものだった。

写真:上=GALERIE QUYNH、下=SAN ART

2012/03/13(火)(五十嵐太郎)

3.11東日本大震災の記録 DVD上映会&講演会

会期:2012/03/13

ホーチミン市人文社会科学大学[ベトナム・ホーチミン]

ホーチミンの人文社会科学大学にて、レクチャーを行なう。昨年訪れたバンコクの大学と同様、1階の吹き放ちの空間=ピロティが積極的に活用されている。風を通しつつ日陰をもうけるバルコニーやブリーズソレイユの多用も熱い国の共通項だろう。一方、まったく違うのはバイクの多さである。建物の中庭など、あちこちの屋外を占拠していた。

2012/03/13(火)(五十嵐太郎)

DIAプロジェクトほか

[ベトナム・ホーチミン]

10数年ぶりに訪れたホーチミンには、以前はなかった超高層ビルが出現しており、そのスカイデッキから展望すると、都市計画が整然としていることがよくわかる。市内の庁舎や劇場などの様式建築を見学した後、郊外に向かい、リチャード・ストレイトマター・トランのアトリエ、DIAプロジェクトを訪問した。さまざまなアイデアをもつアーティストであり、部屋には楽器も並んでいた。美術以外に建築やポストモダン系の理論書が多いだけではなく、動植物を育てており、不思議な実験室というおもむきだった。

写真:上=スカイデッキからの眺め、下=DIAプロジェクト

2012/03/12(月)(五十嵐太郎)

パラモデル展

会期:2012/02/17~2012/03/11

国際交流基金ベトナム日本文化交流センター[ベトナム・ハノイ]

国際交流基金の建物では、ちょうどアーティストのパラモデルの展示を開催中だった。彼らが屋内だけではなく、外壁もいっぱいに使い、プラレールをつなぐ作品を展開したのは、初めてのようである。

2012/03/10(土)(五十嵐太郎)