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小吹隆文のレビュー/プレビュー

草間彌生 永遠の永遠の永遠

会期:2012/01/07~2012/04/08

国立国際美術館[大阪府]

マーカーで描いた線画を同寸でシルクスクリーン版画にした《愛はとこしえ》シリーズ、極彩色の《わが永遠の魂》シリーズ、最新作の自画像など、近作約100点を出品。人間の眼や顔、ドット、植物を思わせるギザギザ模様などがせめぎ合い、混沌とした生命力や呪術性を放つのが、現在の草間ワールドであるようだ。それにしても前述の絵画シリーズはどれも一辺1メートルの大作ばかり。オーバー80歳とは思えぬ制作意欲には驚くばかり。

2012/01/06(金)(小吹隆文)

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森村泰昌 新作展「絵写真+The KIMONO」

会期:2011/12/28~2012/01/10

大阪高島屋 6階ギャラリーネクスト[大阪府]

今年で創業180周年を迎える高島屋からのオファーによる本展。昨年夏に東京で開催済みなので、ご覧になった方も多いだろう。森村は、北野恒富が描き、昭和4年に高島屋のポスターとして採用された《婦人図》をモチーフにした新作6点と、彼が1980年代に制作した構成主義風の版画、その版画をモチーフにした着物などを出品した。また作品中の着物のなかには小磯良平や竹内栖鳳の絵画から引用されたものもあった。かつて大阪画壇で活躍した北野と、現在の大阪を拠点とする森村がクロスオーバーし、小磯と竹内を絡めることで京阪神という横櫛も通されている。ひとつの作品のなかに重層的に意味を込めるのが得意な森村らしい個展であった。

2011/12/28(水)(小吹隆文)

生誕100年 ジャクソン・ポロック展

会期:2011/11/11~2012/01/22

愛知県美術館[愛知県]

遂に!という言葉がふさわしい日本初のポロック回顧展。もっと早くに行きたかったが、ぐずぐずしているうちに私自身へのクリスマスプレゼントになってしまった。出品作品は約70点。全盛期の作品がやや少ないのが残念だが、彼が独自のスタイルを構築するまでの過程が丹念にたどられており、ドラマチックな個展であることは間違いない。私自身は、代表作のひとつである《インディアンレッド地の壁画》と、その前段階の時期の代表作《トーテム・レッスン2》に見とれてしまった。

2011/12/24(土)(小吹隆文)

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柴田精一 展

会期:2011/11/18~2011/12/24

ギャラリーヤマキファインアート[兵庫県]

着色した紙を切って模様をつくり、それらを何層も重ねて複雑なイメージをつくり出す「紋切重(もんきりがさね)」というシリーズで知られる柴田精一。本展では、紋切重はもちろん、そのタブロー的展開の新作や、板を彫って現実の風景を表現するレリーフ作品なども出品。一作家に内在する多面性が明らかにされた。また果物に毛が生えたような初期の立体作品も展示され、ちょっとした回顧展感覚も味わえた。

2011/12/17(土)(小吹隆文)

藤田匠平 展

会期:2011/12/02~2011/12/17

六々堂[京都府]

藤田は京都在住の陶芸家だが、全国各地から引き合いが多く、意外と地元での個展は少ない。貴重な機会となった本展では、約60点と彼にしては大量の作品を出品した。器としての実用性を保ちつつ、抽象的なオブジェ性も併せ持つのが彼の特徴だが、本展では鯉の置物や半分に切断されたゴマサバなど、これまでとは異なる作風も。それらに共通するのは驚くほど細かい絵付けがなされていることだ。なるほど、いまの彼はこんな作風だったのか。普段行き慣れない画廊での個展だったが、出かけておいてよかった。

2011/12/14(水)(小吹隆文)