artscapeレビュー
小吹隆文のレビュー/プレビュー
大西伸明 展 THROUGH
会期:2012/02/18~2012/03/17
ギャラリーノマル[大阪府]
日用品や工業製品、木や骨などの自然物をかたどり、その表層をトレースした立体作品で知られている大西伸明。本展では、彼が新たに考案した「スループリンティング」という技法で制作された新作が発表された。この技法はシルクスクリーンとステンシルの要素を併せ持っており、映像を版にして精密に図像を再現しつつ、その一部がまるで砂塵のようにぼやけている不思議なものだ。大西自身も確かな手応えを感じているようなので、今後この新技法がどのように変化・洗練されていくのか興味が尽きない。
2012/02/20(月)(小吹隆文)
プレビュー:陶芸の魅力×アートのドキドキ
会期:2012/03/03~2012/07/06
滋賀県立陶芸の森 陶芸館[滋賀県]
画家や彫刻家など、陶芸の専門家ではないアーティストがつくり出した陶芸作品を通して、陶芸とアートの関係や現代陶芸の一断面を紹介する。ミロ、ピカソ、岡本太郎、横尾忠則、舟越桂、日比野克彦、奈良美智など、陶芸に挑戦したアーティストの作品と、ピーター・ヴォーコス、金子潤、グレイソン・ペリー、八木一夫、鯉江良二ら陶芸とアートの狭間を行く作家たちの作品の2部構成となる。
2012/02/20(月)(小吹隆文)
プレビュー:新鋭各賞受賞作家展「New Contemporaries」
会期:2012/03/03~2012/03/25
京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA[京都府]
国立国際美術館主任研究員の中井康之をゲストキュレーターに招いた企画展。「1990年代以降の絵画に見られた具象的傾向や、マンガ的・アニメ的イメージの多用(あるいは濫用)の後、特定のバイアスから自由な真の表現をどこに見出せばよいのか」がテーマとなっている。出品作家は、樫木知子、手塚愛子、中山玲佳、三瀬夏之介、三宅砂織ら京都市立芸大出身の10名。彼らの作品から一定の傾向を読み取るのは難しそうだが、多様な作品が集結することでなんらかの解が見出せるかもしれない。
2012/02/20(月)(小吹隆文)
プレビュー:宮本佳明 展 福島第一原発神社~荒ぶる神を鎮める~
会期:2012/03/05~2012/03/24
橘画廊[大阪府]
兵庫県在住の建築家で、阪神淡路大震災の翌年(1996)に行なわれたヴェネチア・ビエンナーレ建築展に被災地の瓦礫を持ち込んで金獅子賞を獲得した(磯崎新らと共同受賞)宮本佳明が、東日本大震災から1年という区切りの時期に大胆な提案を行なう。それは、福島第一原発の原子炉建屋に桧皮葺の屋根を設けて神社あるいは廟とし、放射能が低線量になる1万年後まで祀るというものだ。たとえ廃炉に成功しても、大量に発生する高レベル放射性廃棄物の移設方法や移設先を決めるのは難しい。ならばいっそ被災地をアイコン化し、メンテナンスを続けていく方が記憶を正しく伝承できるのではないか。このプロジェクトにはそんな思いが込められている。工学的な裏付けや日本人の宗教観との整合性も考慮されており、真面目な提案として検討に値する。
2012/02/20(月)(小吹隆文)
プレビュー:ようこそ!サン・チャイルド
会期:2012/03/11
阪急南茨木駅前(南側)[大阪府]
大阪府茨木市の阪急南茨木駅前に、ヤノベケンジのモニュメント《サン・チャイルド》が設置され、その除幕式とセレモニーが開催される。《サン・チャイルド》の外見はヤノベの過去の代表作である《アトムスーツ》や《トらやん》と類似しており、顔はつぶらな瞳と長いまつげを持った子どもである。高さ6.2メートルと巨大で、ヘルメットを脱いだポーズを取っている。つまり《サン・チャイルド》は、防護服がなくても生きていける世界を希求し、敢然と前を向いて立ちあがる人々に向けた再生・復興のシンボルを意味しているのだ。当日は上記セレモニーのほか、ヤノベによるスピーチ、ワークショップ、サン・チャイルドそっくりさんコンテスト、ミニライブなどのイベントが催され、沿道には屋台も並ぶ。誰でも自由に参加できるので、1日限りのお祭り感覚で楽しみたい。
2012/02/20(月)(小吹隆文)