artscapeレビュー

小吹隆文のレビュー/プレビュー

サイモン・エヴェリントン essence

会期:2012/03/27~2012/04/08

楓ギャラリー[大阪府]

陶板をT字状に貼り合わせた大小のピースをつくり、それらを自由に合体させては棒で叩いて成形した陶オブジェ。金属質の色合いを持つ作品は、まるで岩かひしゃげた鉄の塊のようにも見え、強い存在感を放っている。一部の作品は青、赤、オレンジに着彩されているが、このどぎつい色は釉薬ではなく、焼き終えたオブジェにアクリル絵の具で彩色したものだ。しかし、このどぎつい色合いが造形と絶妙にマッチしている。陶オブジェの表現にもまだまだ伸びしろは残っていることを実感した。

2012/03/27(火)(小吹隆文)

リアリティとの戯れ -Figurative Paintings-

会期:2012/03/23~2012/04/01

なんばパークス7Fパークスホール[大阪府]

大阪芸術大学グループ出身の20~30代前半の若手画家7名(苅谷昌江、小橋陽介、町田夏生、坂本真澄、田岡和也、中嶋寿挙、小松原智史)をピックアップしたグループ展。デジタル技術の進化等によってリアルとフィクションの境界線が不明瞭になったいま、自分自身が描き出す小さな想像世界のなかにリアルを見出す傾向を「リアリティとの戯れ」と規定。そうした作風を持つ若手作家を集めたものだ。7名のなかにはもともと関西で活動していたにもかかわらず、最近はすっかり首都圏を中心に活動している作家が混じっている。彼らの最新の動向を知ることができたのが収穫だった。

2012/03/24(土)(小吹隆文)

プレビュー:加藤浩史「SHERTER」

会期:2012/03/20~2012/04/01

ギャラリーマロニエ[京都府]

家もしくは矢印を思わせる形態の小オブジェが多数出品されていた。壁面にはレリーフ型の作品数点も。シャープな造形とメタリックな彩色のため、金属か樹脂が素材かと思ったが、よく見ると木目がうっすら透けて見え、すべてが木工作品だとわかった。作者の加藤は長らく金工を手掛けていたが、近年木工に転じたとのこと。フォルムと素材と塗装のギャップに惹きつけられてしまった。展覧会タイトルの「SHELTER」には「小屋」の意味があり、そこから転じて人間生活の要である衣食住の住にも通じる。それゆえ金属ではなく人肌の温かみが感じられる木を素材にしたのかもしれない。

2012/03/20(火)(小吹隆文)

プレビュー:ART KYOTO 2012

会期:2012/04/27~2012/04/29

国立京都国際会館、ホテルモントレ京都[京都府]

2010年に「アートフェア京都」として産声を上げた京都発のアートフェアが、3年目にして大変身する。名称を「ART KYOTO」に改め、会場は国立京都国際会館とホテルモントレ京都の2カ所に拡大。そこに国内外の100画廊が集結するのだ。2つの会場は地下鉄一本で連絡しているため、移動は思いのほか簡単。さらに、市内各地で複数の公式関連イベントが同時開催されるため、GWの京都はアートイベントが目白押しとなる。東日本大震災、原発事故、不況、円高と逆風が続く今の日本だが、そんな状況下であえて攻めの姿勢を貫く同フェアが成功を収めれば、京都が東京に次ぐ第2の現代アート・マーケットとして広く認識されることになるだろう。

2012/03/20(火)(小吹隆文)

プレビュー:すべての僕が沸騰する─村山知義の宇宙─

会期:2012/04/07~2012/05/13

京都国立近代美術館[京都府]

ダダや構成主義といった前衛芸術から多大な影響を受け、大正末期から昭和初期にかけてジャンル横断的な活躍を見せた村山知義(1901~1977)。彼の業績を、1920年代以降の美術作品を中心に、雑誌、建築、舞台美術、商業デザインなどで振り返る。また、村山がドイツ滞在時に大きな影響を受けたカンディンスキーやクレー、活動を共にした和達知男、永野芳光の作品も展示される。1920年代日本の前衛芸術を語るうえで欠かせない存在ながら、今まで回顧展が開かれなかった村山。その全貌が遂に明らかにされる。

2012/03/20(火)(小吹隆文)

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