artscapeレビュー

小吹隆文のレビュー/プレビュー

プレビュー:視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション

会期:2011/07/20~2011/09/04

京都国立近代美術館[京都府]

絵画、写真、彫刻、映画、グラフィック・デザイン、舞台美術などの多岐にわたる活動や、バウハウスの教師として知られるモホイ=ナジ・ラースロー。彼の全体像を紹介する、日本初の回顧展だ。遺族所蔵の未公開作品を含むコレクションを中心に、約300点を展覧。ハンガリー時代の絵画、キネティック彫刻の代表作《ライト・スペース・モデュレーター》など、貴重な作品が多数含まれる。

2011/06/20(月)(小吹隆文)

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プレビュー:堂島リバービエンナーレ2011 “ECOSOPHIA”~アートと建築~

会期:2011/07/23~2011/08/21

堂島リバーフォーラム[大阪府]

2009年に行われた第1回展では、南條史生のキュレーションにより現代社会の諸相を切り取った作品を紹介した同展。2回目の今回は飯田高誉をアーティスティック・ディレクターに迎え、アートと建築を融合した企画展が行なわれる。キーワードは「ECOSOPHIA」。これは哲学者のフェリックス・ガタリが提唱した概念で、自然環境・社会環境・人間心理の3方向から将来の地球のあり方を考察したものだ。展覧会は、アニッシュ・カプーアの建築的な作品の模型約30点を中央に配し、周囲に「地圏」「水圏」「気圏」の3ゾーンが入り混じるように展開される。参加作家は、杉本博司、チームラボ、森万里子、マーティン・クリード、大庭大介、隈研吾、磯崎新、柳原照弘、永山祐子など。アーティストは作品を出品し、建築家はそれらのプレゼンテーションを行なう。また、音楽家の坂本龍一も、本展のために書き下ろした約16分の楽曲で参加する。

2011/06/20(月)(小吹隆文)

森口ゆたか──あなたの心に手をさしのべて

会期:2011/04/29~2011/06/26

徳島県立近代美術館[徳島県]

2006年以降に制作された近作4点と、大阪市立大学医学部附属病院とのプロジェクトで制作された1点、本展のために制作された新作1点の計6点で構成。いずれも映像や写真を駆使したインスタレーションだ。人間の手や絡み合う紐をモチーフにした作品からは、人を愛しいと思う気持ちやその交感が滲み出ており、現代美術の歴史やルールを知らない人が見ても素直に受け入れられるだろう。近作の4点も、以前関西の画廊や美術館で展示されたときとは異なるセッティングが施されており、鑑賞経験がある私も新鮮な気持ちで接することができた。派手さはないが、味わい深い展覧会だ。

2011/06/19(日)(小吹隆文)

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WHITE 桑山忠明 大阪プロジェクト

会期:2011/06/18~2011/09/19

国立国際美術館[大阪府]

美術館の常設展示室を3分割し、それぞれの部屋に真っ白な同一形態の平面作品が連続するインスタレーションを展示した。作品の表面は和紙で覆われており、ほんのりとした柔らかさが感じられる。桑山作品といえば無機質で金属的な印象が強いので、この感触は意外だった。ただし、桑山は1960年代以来、同様の作品をずっとつくり続けており、本作も決してイレギュラーではないそうだ。平面作品の点数は60点、1点のみ1963年制作で、ほかはすべて新作である。細部まで計算し尽くされた空間は堅牢で、意味を考えることすら跳ね返すほど隙がない。「インスタレーション」よりも「空間彫刻」と漢字で表現したくなったのは、私だけだろうか。

2011/06/18(土)(小吹隆文)

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中島奈津子 展

会期:2011/06/03~2011/06/19

アートゾーン神楽岡[京都府]

女性、鳥、蝶、花、パンプスなどをモチーフに、パステルトーンで彩られたフェミニンな風合いの作品。それらは決して私好みではないが、木版凹版の繊細な線描には大いに感心させられた。技法自体は知っていたが、実物を見たのは初めてかもしれない。まさかこんなに柔らかな線が木版画で表現できるとは。木版画イコールざっくりした素朴な線と思い込んでいたので、軽いショックを受けた。

2011/06/14(火)(小吹隆文)