artscapeレビュー
小吹隆文のレビュー/プレビュー
豊富春菜 展 drops
会期:2011/02/05~2011/03/05
ギャラリーノマル[大阪府]
約7年ぶりの個展となった本展。以前の作品は、写真に大胆なトリミングやコラージュを施すことでイメージの意味を解体するものだったが、新作は、階調を粗くした写真をトレースし、線に沿って樹脂を垂らした平面作品へと変化を遂げていた。半透明の樹脂がつくり出す光に満ちた世界は、たいへん美しい。特に、樹木をモチーフにした2点の大作に魅了された。アートフェアなど多数の目に触れる機会を得れば、たちまち注目を集めるのではなかろうか。今後の活動ペースにもよるが、大きな飛躍が期待できる。
2011/02/05(土)(小吹隆文)
松田啓佑 個展 WORDS LIE II
会期:2011/02/04~2011/02/27
eN arts[京都府]
私が松田の作品を知ったのは、2009年の「京都市立芸術大学作品展」だった。その時の正直な感想は“巨大なウンコ”。今までの批評軸が通用しない別世界から現われたかのような作品を前に、ただただ当惑したことを覚えている。2年ぶりに見た彼の作品は、相変わらず強烈だった。それは何かと問われても、今の私には答えるすべがない。しかし、作品が放つ野太い存在感が代替不可能なものであることだけは確かである。
2011/02/04(金)(小吹隆文)
吉田友幸/絵画
会期:2011/02/01~2011/02/06
アートスペース東山[京都府]
主に花や果実を描いた静物画の小品を出品。画面には何度も削ったり擦ったりした痕跡があり、その古びた表情が主題の存在感を一層際立たせている。特殊な手法を用いていないのに作品から目が離せないのは、高い描写力と背景の効果が絶妙にマッチしているからであろう。作者は高校卒業とともに海外に渡り自己流で研鑽を積んだと聞く。今までまったくノーマークだったが、今後は注視したい。
2011/02/04(金)(小吹隆文)
任田進一 展 SILENT DRIFT
会期:2011/01/25~2011/02/13
neutron kyoto[京都府]
モノクロ写真の中央には、中空に静止する煙の塊のような物体が写っている。なんともシュールな情景だ。作家が在廊していたので制作法を質問すると、泥水をスポイトに詰めて水槽に放った瞬間に撮影したという。それだけでこれほど神秘的なイメージをつくれるものだろうか。きっと、照明やカメラのセッティング、泥水の配合など、独特のノウハウがたっぷり詰まっているに違いない。
2011/01/25(火)(小吹隆文)
渓谷 才木寛之 展
会期:2011/01/24~2011/01/29
番画廊[大阪府]
発泡スチロールなどを芯に用い、革を張って異形のオブジェを制作してきた才木寛之。本展では、初めて壁掛け式のレリーフ的な作品を発表。事前に見た画像では平面的な印象を受けたが、実物を見ると思っていたより凹凸が深くて、立体作品と同様の妖しい気配が感じられた。また、会場には普段彼が使用している道具類もディスプレイされており、効果的な演出となっていた。
2011/01/24(月)(小吹隆文)