artscapeレビュー
小吹隆文のレビュー/プレビュー
フジイフランソワ展
会期:2011/01/10~2011/01/22
Oギャラリーeyes[大阪府]
彼女の作品を見るのは約2年ぶり。久々の再会だったせいかもしれないが、一段と絵がうまくなった気がする。作品も、大作2点に屏風に掛け軸などバラエティ豊かで見応えがあった。柳の葉がすべて蛙に置きかえられるなど、この人ならではの大人風味のユーモア感覚も健在。すっかり楽しませてもらった。
2011/01/10(月)(小吹隆文)
麻生三郎 展
会期:2011/01/05~2011/02/20
京都国立近代美術館[京都府]
関西在住の私にとって、麻生三郎はネームバリューの割にやや馴染みが薄い存在。そんな彼の作品をまとめて見られるとあって、興味津々で馳せ参じた。会場には初期から晩年まで、約130点の作品が並んでいたが、なかでも圧倒されたのは、すべてがドロドロに溶けあった晩年の作品群だった。得体の知れないエッセンスが充満していて、とても癖が強いのだけど、異様なパワーに満ちた画面から目が離せない。作品を見るうち、何故か琵琶湖名物の鮒寿司を連想した(関東風に例えると、くさや汁ってところ)。変なたとえだけど、見た人にはきっとわかってもらえると思う。
2011/01/04(火)(小吹隆文)
プレビュー:フジイフランソワ展
会期:2011/01/10~2011/01/22
Oギャラリーeyes[大阪府]
大和絵や琳派など、日本の古典絵画の体裁をとりながら、ねじれたセンスとブラックな笑いをまぶして独自の絵画世界にまとめ上げるフジイフランソワ。今回は、雀やナマコに鈴をつけた《愛玩》シリーズと、小鼓、茶器、小動物が戯れる様子を描いた《九十九髪》シリーズを出品。上品さと胡散臭さが同居する魅惑的なその世界は、一度ハマるとやみつきになること請け合いだ。
2010/12/20(月)(小吹隆文)
プレビュー:加賀城健展“transFLAT”
会期:2011/01/15~2011/02/12
YOD Gallery[大阪府]
染色工芸の世界ではタブーとされる滲みやボケなどをあえて生かして、抽象絵画のような作品へと昇華させる加賀城健。これまでも新機軸の作品を多数発表してきたが、本展では、染色・脱色した布の上からバインダーという液体樹脂で描いた新シリーズ「Veil」を中心に発表。平面作品であると同時にインスタレーションでもある凝った展示で観客を迎える。
2010/12/20(月)(小吹隆文)
プレビュー:森村泰昌 なにものかへのレクイエム
会期:2011/01/18~2011/04/10
兵庫県立美術館[兵庫県]
2010年3月の東京都写真美術館を皮切りに、豊田市美術館、広島市現代美術館で開催されてきた本展が、最終巡回地の兵庫県立美術館にようやくやって来る。20世紀の歴史を彩った男たちに扮して、時代の核心に触れるような感覚で制作された写真、映像の数々が、広大な展示スペースを持つ兵庫県立美術館でどのように展示されるのかに注目したい。特に新作映像作品《海の幸・戦場の頂上の旗》は、かつてないほど雄弁に森村の芸術観が表明されている。彼の写真作品しか知らない人は是非見ておくべきだ。なお、兵庫県立美術館では本展に合わせて小企画展「『その他』のチカラ。──森村泰昌の小宇宙」を同時開催する。コレクターのO氏が収集した森村作品は、普通のコレクターでは入手しえないレアアイテムの宝庫。併せて観賞すれば、感動もひとしおである。
2010/12/20(月)(小吹隆文)