artscapeレビュー
小吹隆文のレビュー/プレビュー
板倉広美 展
会期:2010/03/29~2010/04/03
信濃橋画廊[大阪府]
抽象表現主義のモーリス・ルイスを思わせる、滲みを生かした墨絵を制作する板倉だが、新作ではアクリル絵具を用いたカラーの作品にもトライしていた。色が付いたらまんまルイスじゃないの? と思いきや、意外と自分の世界をキープできているのであった。色彩を得ることで彼女の世界が今後どのように広がっていくのかに注目したい。
2010/03/29(月)(小吹隆文)
平野知映 個展
会期:2010/03/23~2010/03/28
立体ギャラリー射手座[京都府]
展示室の奥には3つの球体が並び、それぞれに厚化粧をした女性の顔が投影されている。球体の周囲には皆既日食のダイヤモンドリングを思わせる光の輪が輝き、さらに中央の球体のてっぺんからは一筋の光の放射も。そして厚化粧の女性たちはスキャットでホルストの『木星』を合唱している。なんだこれは? とあっけにとられるものの、作品から放射されるパワーに感化され、徐々に楽しくなってくる。一見変てこだが淀みがなく、ポジティブなパワーに満ちた作品だった。
2010/03/23(火)(小吹隆文)
マイ・フェイバリット──とある美術の検索目録/所蔵作品から
会期:2010/03/24~2010/05/05
京都国立近代美術館[京都府]
美術館の収蔵品目録で「その他」に分類されている作品群。特定のジャンルに収まり切らないそれらにこそ、実は大きな可能性が秘められているのではないか。本展はそんな前提に立って構成された館蔵品展だ。出品作品は、オブジェ、映像、インスタレーション、写真、デザイン、絵画、版画、印刷物などバラエティー豊か。作家リストを見ると、M・デュシャン、K・ヴォディチコ、W・ケントリッジ、宮島達男、森村泰昌、やなぎみわら、過去に同館で展覧会を行なった人物がずらりと並んでいた。「観客一人ひとりがそれぞれのマイ・フェイバリットを見つけてください」。それが本展の表向きのテーマである。一方、もうひとつのメッセージはほかならぬ学芸員に向けられている。「収蔵品を分類し美術史に組み込むことで、作品本来のポテンシャルを削いではならない」と。研究者が自己批判精神をもって自らの在り方を検証することこそが本展の本質である。
2010/03/23(火)(小吹隆文)
プレビュー:死なないための葬送 荒川修作 初期作品展
会期:2010/04/17~2010/06/27
国立国際美術館[大阪府]
荒川修作が渡米する直前に村松画廊と夢土画廊で発表した棺桶型の立体作品。既存の芸術と日本の美術状況を葬り去り、新たな芸術への出発を意図したともいわれる同作品のうち、日本国内の美術館が所蔵する20点が集結する。全国に散らばる初期作品が一堂に会するのは初めてのことであり、当時の荒川が何と決別し何を生み出そうとしていたのかを再考するうえで貴重な機会となる。
2010/03/20(土)(小吹隆文)
プレビュー:Food for the senses
会期:2010/04/06~2010/04/18
海岸通ギャラリー・CASO[大阪府]
彫刻の国谷隆志と松村晃泰、絵画の田中秀和と中屋敷智生による展覧会。タイトルから察するに、タイプや素材の違う作品が並ぶことで見る者の感覚をさまざまな角度から刺激することを狙っているのか。会場は広大なスペースが売りなので、グループ展といってもひとり当たりのスペースは十分確保できる。4つの個展を一度に味わうつもりで出かけたい。
2010/03/20(土)(小吹隆文)