artscapeレビュー

小吹隆文のレビュー/プレビュー

no name kyoto

会期:2009/04/26~2009/05/05

元立誠小学校[京都府]

3月に横浜のZAIMで行なわれた同展が、GWの京都でも開催。キュレーターによる企画展ではなく、作家主導で幅広い表現が見られるとあって、個々の作品に注目して鑑賞した。私にとって馴染みの薄い首都圏の作家に興味が偏ってしまったが、特に加藤翼の作品は面白かった。それは、巨大な幾何学形態のオブジェを大勢の人間が力を合わせてひっくり返すというものだ。オブジェを倒す行為に必然性があるのかはともかく、倒れた瞬間は見ているこちらもカタルシスに包まれる。今回は映像だったが、一度生で見たいものだ。

2009/04/29(水)(小吹隆文)

寺島みどり 見えていた風景「コトバ」

会期:2009/04/28~2009/05/10

neutron-kyoto[京都府]

今年3月から大阪、東京、京都と立て続けに行なわれた寺島の個展。東京展は見られなかったが、大阪展での印象はまだ模索中という感じで、その混沌からどこまで挽回できるかが京都展の焦点だった。結論から言うと、大成功。彼女は自らに課したハードルを確実に乗り越えた。大小さまざまなストロークや点描が重なり合う画面は、たっぷり絵具が乗っているのに抜けが良く、ギトギトした厭らしさも感じさせない。彼女の身体感覚に合うスケールと、絶妙な余白使いが奏功しているのだろう。ギリギリのバランスで成立した作品特有のスリルや爽快感をたっぷり味わえた。

2009/04/29(水)(小吹隆文)

ノ・ジュン個展

会期:2009/04/27~2009/05/14

ギャラリー風[大阪府]

ドラえもんやサンリオのキャラをダサくした感じのオブジェと写真作品を展示。オブジェは樹脂製と木製があり、樹脂製はツルっと洗練されているのに、木製はゴツゴツした民芸調なのが意外だった。韓国のキャラクター事情は知らないが、この辺りに民族性の違いがでているのだろうか? オリジナル・キャラを世界各地に連れ出して撮影する写真作品も1点出品されていたが、こちらの方が今後展開しやすいように思えた。

2009/04/27(月)(小吹隆文)

ロバート・プラット huntorama2

会期:2009/04/25~2009/05/31

MUZZ PROGRAM SPACE[京都府]

狩猟をテーマにした絵画作品が並んでいる。円形キャンバス2点が並ぶ作品は、双眼鏡越しの眺めを描いたものだ。反対側には双眼鏡を覗くハンターたちの絵もある。狩猟の装飾が施されたビアマグと森を描いた作品は、人間と自然の関係を示唆しているのか。作品の一部にデジタルの画素を思わせる描写が見られる作品もあり、人間と自然、野生と文明、狩るものと狩られるものなど、さまざまなテーマを一つの画面に織り込んでいるようだ。そうした諸要素を、細密描写と奥行感のないレイヤー構造で表現しているのが彼の特徴である。2階では、知人の作家たちを招いたグループ展も開催され、サロン的な空間が作られていた。

2009/04/26(日)(小吹隆文)

高田洋一 展

SHINA[京都府]
会期:2009/04/16~2009/05/10
h2O[京都府]
会期:2009/04/18~2009/05/10

京都市内中心部の2ヵ所で個展を同時開催。SHINAでは、和紙と木と金属による茶室と立体作品を展示した。いずれもやじろべえの構造をしており、微風を受けて揺らめくのが心地よい。茶室は和紙製の壁面に多くの穴が開けられており、そこから差し込む光と揺らぎの相乗効果が抜群だった。一方、h2Oで展示されたのは盆栽のようなフォルムの小品群。こちらもやじろべえになっており、見飽きない愛らしさが魅力的だった。

2009/04/21(火)(小吹隆文)