2021年10月15日号
次回11月1日更新予定

artscapeレビュー

artscape編集部のレビュー/プレビュー

カタログ&ブックス | 2021年7月15日号[近刊編]

展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます





Viva Video! 久保田成子

編集:新潟県立近代美術館国立国際美術館東京都現代美術館
発行:河出書房新社
発行日:2021年6月29日
サイズ:B5判、256ページ

1970年頃からビデオを使用したアート作品を先駆的に制作した世界的アーティスト、久保田成子。没後から6年、その活動の全貌がついに明らかになる大回顧展の図録。


大・タイガー立石展 図録

構成:工藤健志(青森県立美術館)、滝口明子(うらわ美術館)、平野到(埼玉県立近代美術館)、牧野裕二(高松市美術館)
編集:菊池真央(埼玉県立近代美術館)、庄子真汀(千葉市美術館)、森啓輔(千葉市美術館)、藁科英也(千葉市美術館)
翻訳:小川紀久子
発行:千葉市美術館青森県立美術館高松市美術館埼玉県立近代美術館うらわ美術館
発行日:2021年4月10日
サイズ:A4判、249ページ

千葉市美術館(2021年4月10日〜7月4日)、青森県立美術館(2021年7月20日〜9月5日)、高松市美術館(2021年9月18日〜11月3日)、埼玉県立近代美術館(2021年11月16日〜2022年1月16日)、うらわ美術館(2021年11月16日〜2022年1月16日)を巡回するタイガー立石(立石紘一/立石大河亞)の大回顧展の図録。

ロスト・イン・パンデミック 失われた演劇と新たな表現の地平

監修:早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(エンパク)
編著:後藤隆基
発行:春陽堂出版
発行日:2021年6月30日
サイズ:B5判、320ページ

演劇の灯は消えない──
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、何が失われ、何を得たのか。 そして、この先の来るべき演劇の形とは ─
100人をこえる舞台関係者の声をあつめ、コロナ禍の記憶を記録する。

ニッポンの芸術のゆくえ なぜ、アートは分断を生むのか?

著者:津田大介、平田オリザ
発行:青幻舎
発行日:2021年6月28日
サイズ:B6判、208ページ

近年、文化芸術、アートをめぐって様々な問題が巻き起こっています。本書は、劇団「青年団」主宰し国内外で活躍する劇作家・平田オリザ氏、「あいちトリエンナーレ2019」で芸術監督を務めたジャーナリスト・津田大介氏による対談で構成しています。演劇界、ジャーナリズム界でリードする両氏が、「ニッポンの文化芸術」の問題点、可能性について存分に語ります。「表現の不自由展」で議論を呼んだ「あいトリ」は何が問題だったのか? コロナ危機で露わになった文化政策の脆弱性とは? 学術会議問題は「学問の自由」のみならず「表現の自由」にもつながる……。文化芸術を皮切りに、日本政治、トランプ現象、地方が生き残る戦略、withコロナ時代のあり方など、これからの日本が向かうべき道筋を問います。

『シン・エヴァンゲリオン』を読み解く

編集:河出書房新社編集部
執筆者:五十嵐太郎、久保豊、近藤銀河、斎藤環、最果タヒ、坂口将史、高島雄哉、照沼健太、難波優輝、西田藍、藤田祥平、伏見瞬、ふぢのやまい、松下哲也
発行:河出書房新社
発行日:2021年6月29日
サイズ:A5判、 224ページ

「エヴァ」の「終わり」と徹底的に向き合うために、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を当代最高の執筆陣が論じ尽くす。緊急刊行。

関連記事

シン・エヴァンゲリオン劇場版|五十嵐太郎:artscapeレビュー(2021年04月15日号)

〈みる/みられる〉のメディア論

編著:高馬京子、松本健太郎
発行:ナカニシヤ出版
発行日:2021年4月30日
サイズ:A5判、250ページ

〈みる/みられる〉の関係性を理論的言説、メディア・テクノロジー、表象空間、社会関係という視点を通して多角的に読み解く


葬いとカメラ

編著:金セッピョル、地主麻衣子
発行:左右社
発行日:2021年5月30日
サイズ:四六判変型、200ページ

アーティストと文化人類学者らが考えた「葬い」を記録することについて。 両者の視点から「死」と「葬い」を見つめた先に見えてきたものは……
身寄りがなくなり、壊される無縁仏
自然葬をすることにした家族の葛藤
葬儀を撮ることの暴力性
在日コリアンのお墓
研究映像とアート作品
簡素化される葬儀と、葬いの個人化

誰もが直面する「死」と、残された者の「葬い」という営みを、どのようにとらえることができるのだろうか。 本書では主に映像によって記録するという行為を通じて、死や葬いを普遍的にとらえなおすことを試みるものである。

クバへ/クバから(いぬのせなか座叢書4)

著者:三野新
栞=小冊子:小田原のどか・佐々木敦
特製ペーパー:笠井康平
装釘・本文レイアウト・解説:山本浩貴+h
発行:三野新・いぬのせなか座写真/演劇プロジェクト制作実行委員会
発行日:2021年6月30日
サイズ:A4判、140ページ

写真を一種の演劇的手法としてとらえ、「現代の恐怖の予感を視覚化する」ことをテーマに多くのパフォーマンスや演劇、展示作品を発表してきた写真家/舞台作家、三野新。福岡出身・東京在住のかれが、分厚い「沖縄写真」の歴史と、自らの内なる激しい抵抗感にともに曝されながら、「沖縄の風景」を/に向けて、撮影・編集・発表する。...
新作写真・ドローイング・コラージュ・戯曲はもちろん、これまでの全活動・全写真を振り返り、素材化し、新たな仮設的劇空間を立ち上げる。三野新、待望の第一写真集。

ありのままのイメージ スナップ美学と日本写真史

著者:甲斐義明
発行:東京大学出版会
発行日:2021年6月24日
サイズ:A5判、360ページ

木村伊兵衛、土門拳、森山大道、荒木経惟から藤岡亜弥まで、日本写真史を駆動してきた力学のひとつはスナップという美学だった。そのスナップ美学の変遷と実態を多様な言説と具体的な写真作品を精査することで浮かび上がらせる、気鋭の研究者による写真研究の成果。

トーキョーアーツアンドスペース アニュアル 2020

編集:杉本勝彦
デザイン:中西要介、根津小春(STUDIO PT.)、寺脇裕子
インタビュー撮影:加治枝里子
インタビュー:内田伸一
発行:公益財団法人東京都歴史文化財団東京都現代美術館トーキョーアーツアンドスペース事業課
発行日:2021年6月1日
サイズ:A5判、166ページ
*非売品(ウェブサイトよりPDFダウンロード可能)

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)による2020年度の活動をまとめた事業報告書。TOKAS本郷のほか、全国の美大や美術館のライブラリーなどでも閲覧可能。





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2021/07/14(水)(artscape編集部)

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カタログ&ブックス | 2021年7月1日号[テーマ:猫]

テーマに沿って、アートやデザインにまつわる書籍の購買冊数ランキングをartscape編集部が紹介します。今回のテーマは、東京国立近代美術館で開催中の「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」にちなんで「猫」。「芸術・アート」ジャンルのなかでこのキーワードに関連する、書籍の購買冊数ランキングトップ10をお楽しみください。
ハイブリッド型総合書店honto調べ。書籍の詳細情報はhontoサイトより転載。
※本ランキングで紹介した書籍は在庫切れの場合がございますのでご了承ください。

「猫」関連書籍 購買冊数トップ10

1位:名画に学ぶにっぽん筆ペンイラスト(NHKテキスト 趣味どきっ!)

講師:村西恵津
編集:日本放送協会、NHK出版
発行:NHK出版
発売日:2021年1月25日
サイズ:26cm、127ページ

鳥獣戯画、歌川国芳の猫、尾形光琳の紅白梅図屛風……。名画のタッチを筆ペンで再現し、イラストに仕上げる方法を解説する。なぞり描きお手本付き。NHK Eテレ「趣味どきっ!」2021年2・3月のテキスト。


2位:『花束みたいな恋をした』オフィシャルフォトブック

著者:菅田将暉、有村架純
写真:江森康之
発行:リトルモア
発売日:2021年1月4日
サイズ:19×24cm

ふたりの部屋、駅からの帰り道、猫に名前をつけた日。もう巻き戻せない恋……。終電後に恋に落ちたふたりの忘れられない5年間を描いた2021年1月公開映画の写真集。場面写真や菅田将暉、有村架純のオフショットが満載。


3位:職業としてのシネマ(集英社新書)

著者:高野 てるみ
発行:集英社
発売日:2021年5月17日
サイズ:18cm、254ページ

80年代以降、『テレーズ』『ギャルソン!』『ガーターベルトの夜』『サム・サフィ』『TOPLESS』『ミルクのお値段』『パリ猫ディノの夜』等の配給作品のヒットでミニシアター・ブームをつくりあげた立役者の一人である著者が、長きにわたって関わった配給、バイヤー、宣伝等の現場における豊富なエピソードを交え、仕事の難しさや面白さ、やりがいを伝える一冊。
業界で働きたい人のための「映画業界入門書」である一方、ミニシアター・ブーム時代の舞台裏が余すところなく明かされており、映画愛好家にはたまらない必読書である。



4位:タマ、帰っておいで REQUIEM for TAMA

著者:横尾忠則
発行:講談社
発売日:2020年4月1日
サイズ:19×19cm、153ページ

この絵はアートではない。猫への愛を描いた……。2014年に亡くなった愛猫「タマ」。天に召されたその日から、横尾忠則が描き続けた91点のタマの絵に、タマに捧げた多くの文章を添えた画文集。



5位:身近なものから始めるリアル色鉛筆レッスン

著者:三上詩絵
発行:日貿出版社
発売日:2017年7月24日
サイズ:26cm、127ページ

すぐに描くことができて、手軽で面白く、楽しい色鉛筆。塗り方等の基本から、リアルに表現する描き方までを丁寧に解説。食べ物、植物、猫、鳥など、精緻に描かれた作品も紹介する。




6位:郷土玩具ざんまい

著者:瀬川信太郎
発行:淡交社
発売日:2020年12月14日
サイズ:19cm、206ページ

ゆるすぎる顔のだるま、絶妙にデフォルメされた招き猫、ヤンチャな姿で踊る福助。九州は福岡の郷土玩具店「山響屋」の店主が紹介する郷土玩具の数々は、ツッコミどころ満載の魅力にあふれるものばかり。
「この絵付け、かなりぶっ飛んでますね」
「雑そうに見えて、意外と計算されつくしてるのかも」
「ブサイクなのになんだかかわいい」
など、自身も全国の郷土玩具約1500点を収集し、現代のサブカルチャーにも親しむ著者の自由な視点から、古今のおもしろい郷土玩具を縦横無尽に紹介するビジュアルブック。九州を中心に、北は北海道から南は沖縄まで、全国の個性派郷土玩具約350点が大集合、その魅力を縦横無尽に紹介します。



7位:めでたしめずらし瑞獣珍獣

著者:内山淳一
発行:パイインターナショナル
発売日:2020年11月19日
サイズ:26cm、351ページ

人間が想像した神秘のいきものの世界。日本や中国の絵画・工芸240点超を紹介!
四神・鳳凰・獅子・龍・虎・獏・麒麟・飛龍・犀・白澤・蝙蝠などの中国由来の瑞獣や、鹿・猿・狛犬・狐・鳩・鼠・兎・犬・猪・鶴・霊亀・孔雀・猫・鯨といった日本のめでたい動物、異国の珍獣を蒐集!狩野派・琳派・円山派・若冲・蕭白・暁斎ら豪華絵師の作品も堪能できます。



8位:世界童話 物語のその先へ 塗り絵ブック

著者:Eriy
発行:小学館
発売日:2020年12月10日
サイズ:25×25cm

塗り絵で童話の世界を旅しましょう
シンデレラ、いばら姫、親指姫、人魚姫、かぐや姫、ラプンツェル、赤ずきん、ヘンゼルとグレーテル、長靴をはいた猫、アラジンと魔法のランプ、不思議の国のアリス、秘密の花園、オズの魔法使いなど、みんなが知っている世界の童話をテーマにしたかわいい塗り絵がいっぱい!
好奇心旺盛な女の子マノンが思い描く大好きな童話の場面や、物語の一歩先まで想像をふくらませた世界が、かわいい塗り絵になりました。達成感を味わえる細かな描写の見開きも、気軽に塗れる小さな絵もあり、その日の気分で楽しめます。
絵はすべて、つまようじを使ったやわらかな線で描かれています。色を塗るときは、色鉛筆、カラーペン、カラーインクや水彩絵の具、ボールペンなどで、自由な塗り方を楽しんでください。メッセージカードや、しおりとして使えるカードも付いています。



9位:向田邦子 暮しの愉しみ(とんぼの本)

著者:向田邦子、向田和子
発行:新潮社
発売日:2003年6月
サイズ:21cm、143ページ

料理上手で食いしん坊。器、書画、骨董にも熱中し、暇さえあれば旅に出る。大好きな猫と暮らし、着る物も身の回りの物も楽しげに、けれどしっかりと自分の眼でお気に入りを選んでいく……。自分らしく暮らすヒントが満載。



10位:Nelco Necoの塗り絵BOOK 春夏秋冬 おしゃまな猫の物語

著者:Nelco neco 赤須千花
発行:KADOKAWA
発売日:2021年3月26日
サイズ:25×25cm、80ページ

おしゃまな猫ちゃんたちが、お母さんの目の届かないところでいろんなことをしちゃう。私たちが子どものころにやりたかったこと、憧れた夢の世界を、手描きで描いた、ちょっとレトロでロマンチックな塗り絵BOOK。春夏秋冬、季節感も楽しみながら、おしゃまな猫たちが繰り広げる様々なできごとをシーンで塗れます。塗りごたえのある大判で、それぞれの絵柄の物語(ストーリー)を感じながら塗り進めると、まるで絵本のようなあなただけの素敵な塗り絵BOOKが完成します。巻末についた塗り絵は切り取ってミニカードとして使えます。





artscape編集部のランキング解説

現在国立近代美術館で開催されている「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」では、隈がこれまで手掛けた建築などに加えて、なんと「地面に近いネコの視点」から都市での生活や公共性を見直すリサーチプロジェクトを発表しています。
路地裏にふと佇み、しばしの寄り道にいざなってくれる猫。あるいは、われわれ人間と気ままに寄り添い、生活を共にする猫。長らく家で飼う動物の代表格とされてきた犬の推計飼育頭数よりも、猫の推計飼育頭数が上回ったことが少し前に話題になりましたが、それから数年経ったいまでもその形勢は維持されたままのようです(一般社団法人ペットフード協会による「全国犬猫飼育実態調査」より)。そんな「猫」を軸にした今回のランキングにも、さまざまな視点で猫を扱った「芸術・アート」ジャンルの書籍が並びました。
猫は絵のモチーフとしても一貫して人気を誇る存在ですが、1位に輝いた『名画に学ぶにっぽん筆ペンイラスト』は、歌川国芳によるユーモラスな猫のみならず、鳥獣戯画などの“かわいい”浮世絵を筆ペンで模写するというアプローチがとてもユニークです。『郷土玩具ざんまい』(6位)、『めでたしめずらし瑞獣珍獣』(7位)も、古来から人々が猫やそのほかの生き物に注いできた目線がぼんやり浮かび上がってくる二冊。郷土玩具でも絵画・工芸品でも、猫はどこか私たちを脱力させる癒やしの存在であることは変わらない様子です。猫以外にも、異国の珍獣や架空の生き物がどう想像され表現されてきたのかがわかる『めでたしめずらし瑞獣珍獣』は、眺めるだけで楽しいビジュアルブックです。
他方、横尾忠則が愛猫・タマを亡くしてから、在りし日の姿をひたすら描き続けた画集『タマ、帰っておいで REQUIEM for TAMA』(4位)は壮絶。「アートではない。猫への愛を描いた」という、愛情と哀しみが入り交じる絵の筆致とそこに添えられた言葉は、愛する存在を亡くした経験がある読者にとっては胸に迫るものがあるはずです。
愛猫家の文化人は古今東西数多くいるなかで、今年で没後40年を迎える向田邦子の生前の暮らしぶりをたくさんの写真とともに紹介する『向田邦子 暮しの愉しみ』(9位)にも、愛猫たちにまつわるページが。タイのバンコクで出会った瞬間に向田が「感電」し、なんとか頼み込んで譲ってもらったという雄雌2匹のコラットについて書かれたエッセイなども掲載されています。
身近な存在なのに、いつもどこか謎めいていて、人々の心を捉えて離さない。そんな猫たちの魅力を、本のなかでも再発見してみてください。


ハイブリッド型総合書店honto(hontoサイトの本の通販ストア・電子書籍ストアと、丸善、ジュンク堂書店、文教堂など)でジャンル「芸術・アート」キーワード「猫」の書籍の全性別・全年齢における購買冊数のランキングを抽出。〈集計期間:2020年6月26日~2021年6月25日〉

2021/07/01(木)(artscape編集部)

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カタログ&ブックス | 2021年6月15日号[近刊編]

展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます





問題=物質となる身体──「セックス」の言説的境界について

著者:ジュディス・バトラー
監訳:佐藤嘉幸
翻訳:竹村和子、越智博美
発行:以文社
発行日:2021年5月19日
サイズ:A5判、448ページ

『ジェンダー・トラブル』によって明らかにされた権力と言説によるジェンダー形成の過程。ジェンダー/クィアに関する理論書である同書は、フェミニズムやジェンダー、クィア・スタディーズにおいて画期をなすと同時に、多くの物議を醸した。「ジェンダー」と同じく、「セックス」は言説によって構築されるものなのか。そのとき、身体の物質性はいかに理解されるのか。本書は、『ジェンダー・トラブル』へ寄せられた批判に応答した、その続編であり、バトラーの「もうひとつの主著」である。……
近年、改めて注目が高まるフェミニズムやLGBTQ、ブラック・ライヴズ・マターに代表される「人種」の問題にも接続しうる現代の理論書。

未来派 百年後を羨望した芸術家たち

著者:多木浩二
発行:コトニ社
発行日:2021年6月11日
サイズ:A5判変型、352ページ

なぜ百年後を羨望するか? 私たちは、なぜ未来に憧れ、そして失敗するのか。
20世紀、そして21世紀における文化・政治・テクノロジー・広告といったさまざまな人間活動の萌芽であった芸術・社会運動「未来派」。その「未来派」の全容に、宣言・運動・詩法・建築・ネットワーク・ダイナミズム・音楽・ファシズム・起源という9つの切り口で迫り、現代における「未来観」の再考をはかる。哲学者・美術批評家の多木浩二がイタリアで渉猟した膨大な書物や資料をもとに書いた渾身の遺作。

「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island ─あなたの眼はわたしの島─」展図録

編集:牧口千夏、後藤桜子
執筆:カルヴィン・トムキンズ、マッシミリアーノ・ジオーニ、牧口千夏、後藤桜子
翻訳(和文英訳):クリストファー・スティヴンズ
翻訳(英文和訳):奥村雄樹、ベンジャー桂
デザイン:[カタログ Vol.1:ヴィジュアルブック]岡﨑真理子+後藤尚美 /[カタログ Vol.2:テキストブック]岡﨑真理子+泉美菜子
発行:京都国立近代美術館
発行日:2021年4月5日
サイズ:[カタログ Vol.1:ヴィジュアルブック]B5判変形、176ページ/[カタログ Vol.2:テキストブック]B5判変形、84ページ(挿込冊子 8ページ)

2021年4月から京都国立近代美術館にて開催されている「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island ─あなたの眼はわたしの島─」展の図録。2冊組。

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ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island ─あなたの眼はわたしの島─|村田真:artscapeレビュー(2021年06月01日号)

ジャパノラマ──1970年以降の日本の現代アート

編著:長谷川祐子
執筆:エマ・ラヴィーニュ、小林康夫、毛利嘉孝、北野圭介、三木学、加治屋健司、宮沢章夫、清水穣、星野太、エマニュエル・ドゥ・モンガゾン
発行:水声社
発行日:2021年6月25日
サイズ:22cm、199ページ

1970年以降の日本現代アートの〈パノラマ〉 2017年にポンピドゥー・センター・メッスで開催された、「JAPANORAMA: NEW VISION ON ART SINCE 1970」展。〈群島〉(アーキペラゴ)というコンセプトのもと、6つのテーマを設定し、日本の現代視覚文化をパノラマとして描き出したこの展覧会は大きな反響を巻き起こした。 そのフランス語版カタログに多数の作品・展示写真を追加し、展覧会記録資料を大幅に増補した、待望の日本語版。

佐藤雅晴 尾行─存在の不在/不在の存在

著者:佐藤雅晴
発行:美術出版社
発行日:2021年5月19日
サイズ:B5判変型、216ページ

佐藤雅晴は、日常風景をビデオカメラで撮影した後、パソコン上のペンツールを用いて慎重にトレースする「ロトスコープ」技法でアニメーション作品や平面作品を制作。現前に映る事物の実在感とともに、不確かさや儚さなどを感じさせる独特の世界観が国内外で高い評価を受けるなか、2019年に45歳の若さで亡くなった。
本書では、代表作《Calling》(2009–2010/2014)、《東京尾⾏》(2015–2016)、《福島尾⾏》(2018)などの映像アニメーション作品、アクリル画などの展覧会出品作を紹介するほか、出品作以外の作品も掲載。現実と非現実が交錯したような作品世界を、様々な展示風景写真とともに表現した一冊。そのほか、佐藤の作品を丁寧に紐解く論文やエッセイも収録し、活動の全貌が初めて作品集としてまとめられる。

ファッション イン ジャパン1945-2020ー流行と社会

著者:国立新美術館、島根県立石見美術館
発行:青幻舎
発行日:2021年4月10日
サイズ:A4判変型、368ページ

もんぺからサステイナブル、さらにその先へ、戦後の日本ファッション史をたどる
戦中戦後のもんぺ、国際的に華々しく活躍する日本人デザイナーの台頭、ゴスロリ……。日本が生み出してきた装いの文化は、その独自の展開で世界を驚かせてきた。豊かな表現を生み出すきっかけとなった明治期以降の社会状況や流行を発端に、戦後から現在に至るまで日本のファッションを包括的に紹介。衣服、写真、雑誌、映像など豊富な資料を通して、 流行の発信者と衣服をまとう私たち、その両者をつなぐメディア、それぞれの視点から各時代のファッションを紐解く。

アイノとアルヴァ 二人のアアルト

編集:アルヴァ・アアルト財団、ギャラリー エー クワッド
執筆:ニーナ・ストリッツラー=レヴァイン、ウッラ・キンヌネン、皆川明、安東美穂子、パトリック・フレミング、白川裕信、岡部三知代
発行:国書刊行会
発行日:2021年3月23日
サイズ:A4判変型、324ページ

互いの才能を認めあい、影響しあい、補完しあいながら作品をつくり続けたアイノ・マルシオ(1894-1949)とアルヴァ・アアルト(1898-1976)。アイノがパートナーになったことで、アルヴァに「暮らしを大切にする」という視点が生まれ、モダニズム建築の潮流のなかで、アアルト建築はヒューマニズムと自然主義が共存する独自の立ち位置を築いた。結婚してからアイノが54歳の若さで他界するまで、二人が協働した25年間というかけがえのない創造の時間を、これまで注目されることの少なかったアイノの仕事に着目しながらたどり、アアルト建築とデザインの本質と魅力を見つめ直す。長年遺族のもとで保管されてきた初公開資料を多数収録し、アアルト・ファミリーへのインタビュー等も収録する充実の一書。

関連記事

アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド─建築・デザインの神話|杉江あこ:artscapeレビュー(2021年04月15日号)
カタログ&ブックス | 2021年4月1日号[テーマ:夫妻]|artscape編集部:artscapeレビュー(2021年04月01日号)

うきよの画家

著者:谷原菜摘子
執筆:中井康之、森村泰昌
発行:MEM
発行日:2021年5月26日
サイズ:28×22cm、64ページ

2021年5月26日から上野の森美術館ギャラリーとMEMで開催された谷原菜摘子「うきよの画家」、「紙の上のお城」展にあわせて出版された作品集。



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アートを育てるまち、北加賀屋──見に行く場所から、つくる場所へ|小倉千明:artscapeフォーカス(2021年04月15日号)

コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ

著者:緒方壽人
発行:BNN
発行日:2021年5月21日
サイズ:A5判、300ページ

人間にとってテクノロジーとはどのようなものなのか。これからのテクノロジーはどうあるべきなのか。テクノロジー自体が自律性を持ち始めたAI時代に、人間と人間、人間と自然、そして人間とテクノロジーが共に生きるための「コンヴィヴィアル・テクノロジー」とは何なのか ── デザイン・イノベーション・ファームTakramで数々の先駆的なプロジェクトを率いてきた気鋭のデザインエンジニア・緒方壽人氏が、先人たちのさまざまな言説を辿り、思考を巡らせながら紐解きます。

日常的実践のポイエティーク

著者:ミシェル・ド・セルトー
翻訳:山田登世子
発行:筑摩書房
発行日:2021年3月10日
サイズ:文庫判、560ページ

読むこと、歩行、言い回し、職場での隠れ作業…。それらは押しつけられた秩序を相手取って狡智をめぐらし、従いながらも「なんとかやっていく」無名の者の技芸である。好機を捉え、ブリコラージュする、弱者の戦術なのだ―。科学的・合理的な近代の知の領域から追放され、見落とされた日常的実践とはどんなものか。フーコー、ブルデューをはじめ人文社会諸科学を横断しつつ、狂人、潜在意識、迷信といった「他なるもの」として一瞬姿を現すその痕跡を、科学的に解釈するのとは別のやり方で示そうとする。近代以降の知のあり方を見直す、それ自体実践的なテクスト。





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2021/06/14(月)(artscape編集部)

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カタログ&ブックス | 2021年6月1日号[テーマ:観光]

テーマに沿って、アートやデザインにまつわる書籍の購買冊数ランキングをartscape編集部が紹介します。千葉市美術館で開催中の「大・タイガー立石展 POP-ARTの魔術師」において、立石が活動初期に画家の中村宏とともに結成した「観光芸術研究所」にちなんで、今回のテーマは「観光」。「芸術・アート」ジャンルのなかでこのキーワードに関連する、書籍の購買冊数ランキングトップ10をお楽しみください。
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「観光」関連書籍 購買冊数トップ10

1位:世界遺産 理想と現実のはざまで(岩波新書 新赤版)

著者:中村俊介
発行:岩波書店
発売日:2019年8月23日
サイズ:18cm、246ページ

「国際社会で人類の至宝を守り、後世に手渡す」の理想を掲げ、観光資源としても注目される世界遺産。だが、登録物件が増え続けるなか、いくつもの遺産が危機に瀕し、また各国の政治的介入が常態化するなど課題や矛盾が噴出し始めている。数々の世界遺産の現場を訪ね歩いたジャーナリストがその「光と影」に目を向けながら、文化遺産保護の未来について考える。


2位:flower mandalas 心を整える、花々のマンダラぬりえ

著者:シンシア・エマリー
発行:日本文芸社
発売日:2016年2月9日
サイズ:22×22cm、95ページ

発売3か月で7万部! イギリス、フランスで大好評
本書はイギリス発、刊行後3ヶ月で7万部の売上をマークした人気のマンダラぬりえブック。さらにはフランスでも好評で、パリで大人気の一冊です。イギリスのamazonでも「すばらしい価値がある」「愛すべき本」と5つ星評価が。何冊か買って、自分だけの作品をコレクションしている人もいるとか。あの現代アートの殿堂、パリを訪れる観光客なら必ず訪れる、ポンピドゥーセンターでも並べられています。(後略)


3位:d design travel 28 岡山

発行:D&DEPARTMENT PROJECT
発売日:2020年10月16日
サイズ:23cm、192ページ

デザイン目線で観光を見直したガイドブック。岡山の見どころ、レストラン、カフェ、ショップ、人などを厳選して紹介するほか、編集部が本音で薦めるおみやげなども掲載。データ:2020年6月現在。



4位:d design travel 26 香川

発行:D&DEPARTMENT PROJECT
発売日:2019年9月30日
サイズ:23cm、192ページ

デザイン目線で観光を見直したガイドブック。香川の見どころ、レストラン、カフェ、ショップ、人などを厳選して紹介。香川県のフライヤー「ことでんストーリープロジェクト 入賞作品集」付き。データ:2019年5月現在。



5位:d design travel 27 愛媛

発行:D&DEPARTMENT PROJECT
発売日:2020年4月3日
サイズ:23cm、192ページ

デザイン目線で観光を見直したガイドブック。愛媛の見どころ、レストラン、カフェ、ショップ、人などを厳選して紹介。愛媛のフライヤー「週末西条トリップ」付き。データ:2019年11月現在。



6位:仏像図解新書(小学館101新書)

著者:石井亜矢子
画:岩崎隼
発行:小学館
発売日:2010年4月1日
サイズ:18cm、222ページ

図解で一目でわかる、仏像のかたちと役割。
「千手観音の持っている物は何か?」「四天王とはどんな4人組のことなのか?」「阿修羅が戦う相手は誰か?」。 遷都1300年を迎える奈良、春の観光シーズンをむかえる京都をはじめ、各地の仏像巡りで感じる素朴な疑問を解決してくれる、新書タイプの必携版・仏像事典です。仏像の由来、種類、役割といった基本知識から、印相や持物など専門知識にいたるまで、イラストをふんだんに使い見開きごとにわかりやすく解説。イラストでひと目でわかる、読んでさらに理解が深まる、画期的な入門書として初心者にもおすすめです。種類別「代表的な仏像10選」コラム、巻末「地区別・寺院リスト」付き。拝観マナーや持ち物など、知っておきたい実用情報も満載の貴重な一冊。



7位:吉田初三郎鳥瞰図集 大正の広重が描いた全国名所図会 よみがえる100年前の日本

著者:吉田初三郎
発行:昭文社
発売日:2021年4月20日
サイズ:26×30cm、111ページ

大正の広重、吉田初三郎が描いた超絶技巧の全国名所パノラマ絵図集!
大正の広重と呼ばれる絵師・吉田初三郎は、鉄道会社や新聞社、自治体、地域の観光協会、旅館やホテルなど宿泊施設の依頼を受け、観光案内用の鳥瞰図を数多く制作。日本のあらゆる都市を描き、数千点の作品を残しました。綿密な取材に基づく精緻な描写、清涼さが漲る鮮やかな色使い、テーマ全体を過不足なく入れ込む大胆な構図など、いま見ても斬新で目を奪われます。初三郎の傑作の数々を一冊に凝縮した本書で、その独特の筆致を存分に堪能できます。近年ますます評価の高まる吉田初三郎の決定版画集!



8位:英文サインのデザイン 利用者に伝わりやすい英文表示とは?(TYPOGRAPHY BOOKS)

著者:小林章、田代眞理
発行:ビー・エヌ・エヌ新社
発売日:2019年10月23日
サイズ:21cm、159ページ

日本の空港、駅、行政機関などの公共施設や観光関連施設などで見かける不自然な英文表示や分かりづらいサインデザイン。英語情報だけが頼りの人の目線で今の日本を歩き回ると、とても困ることに気づきます。(中略)訪日外国人が3000万人を超え、オリンピック・パラリンピック開催を控えた現在、きちんと伝わる英文案内・表示(英文サイン)の整備がされなければ、将来のインバウンド需要は先細りになることは明らかです。
本書は、欧文書体デザインと英文翻訳の専門家がそれぞれの視点から日本の英文表示の問題点を提起し、コンパクトでも伝わりやすい英文とその見せ方について解説します。(中略)誰にでも分かりやすい表示は、ユニバーサルデザイン、インクルーシブデザイン、ソーシャルデザインの観点からもこれからますます重要になってきます。公共機関、行政、観光などの担当者やそうした仕事に関わるデザイナー必読の一冊です。



9位:山本まりこの「女子旅」カメラレッスンin韓国 ふんわりかわいく思い出を撮る!(デジイチ女子)

著者:山本まりこ
発行:主婦の友社
発売日:2011年10月
サイズ:21cm、111ページ

デジイチ女子に大人気のフォトグラファーが、旅の撮影テクニックを伝授。魅力あふれる韓国の旅をエッセイ風に紹介しながら、簡単に素敵な写真を撮るための技を解説。デジタル一眼カメラの基本やブログにアップする方法も掲載。



10位:仏像さんを師とせよ 仏像修理の現場から

著者:八坂寿史
発行:淡交社
発売日:2020年11月7日
サイズ:19cm、231ページ

〈仏像修理のプロ集団のトップが語る、仏像修理の裏側〉
〈ある仏像から聞こえた“大地震の予言”〉
近年、観光資源でもある文化財の保存と修理について徐々に関心が高まっている傾向にありますが、その具体的な修理内容や修理技術者の声などを知る機会はそう多くはありません。岡倉天心によって創設された仏像修理を専門に手掛ける美術院国宝修理所の歴史は120年以上と長く、国内外のあらゆる仏像の修理を行ってきました。本書では、現在修理工房のトップを務め、東大寺南大門仁王像や薬師寺弥勒三尊像など数多くのお像を修理してきた著者が、公には語られることのなかった仏像をめぐる様々なドラマを、ユーモアの溢れる言葉で綴ります。





artscape編集部のランキング解説

「『観光』という言葉は、中国の四書五経の一つ『易経』の一文である『観国之光』が語源とされているが、それは『国の文化、政治、風俗をよく観察すること』、『国の風光・文物を外部の人々に示すこと』というような意味・語感を有していたといわれていること等も考えあわせると、いわゆる『観光』の定義については、単なる余暇活動の一環としてのみ捉えられるものではなく、より広く捉えるべきである」(国土交通省「21世紀初頭の観光振興を考える基本的視点」のページより)。普段何気なく使われている「観光」という言葉ですが、元をたどると「遊覧旅行」的な意味に限定されない、広い視野が含まれているようです。
今回のランキングでまず目につくのは、3・4・5位と並ぶ「d design travel」シリーズ。D&DEPARTMENT PROJECTが、「ロングライフデザインの視点で、長く続くものだけを取り上げること」「取り上げた場所や人とは、発刊後も継続的に交流を持つこと」など、一貫した編集方針のもと47都道府県別に制作している観光ガイドブックです。ふとしたところに表われる、その土地らしさや独特な文化を豆知識として伝える「◯◯(県名)のふつう」のページや、一般的な観光ガイドには載らないような小さなお店の空気感をとらえた取材テキスト・写真など、その県に訪れる予定がなくても、誌面を眺めているうちに興味と愛着がつい湧いてしまいます。
打って変わって、「観光」と聞いて思い浮かぶ象徴的なもののひとつは、ガイドブックのなかの観光マップや鳥瞰図のイメージかもしれません。『吉田初三郎鳥瞰図集』(7位)は、大正から昭和にかけて活動した鳥瞰図絵師・吉田初三郎(1884-1955)による鳥瞰図を集めたビジュアルブック。観音開きを用いた製本によって全国各地の鳥瞰図を大きなサイズで眺められ、庶民の間で観光がブームとして盛り上がっていた時代のムードを味わえる一方で、関東大震災の1年後に描かれた、火災の被害状況を報道的に伝える鳥瞰図なども掲載されており、「大正の広重」と呼ばれた吉田が背負うものの多さに思いを馳せる一冊でもあります。
英語情報を頼りに行動する外国人観光客の目線で日本の駅や空港のサインデザインを見つめ直し、そこを出発点に公共におけるデザイン全般について再考せざるをえなくなる『英文サインのデザイン』(8位)もタイムリーな一冊。ランキング内で『仏像図解新書』(6位)、『仏像さんを師とせよ 仏像修理の現場から』(10位)と、複数の書籍において、仏像鑑賞と観光が自然と強く結びついているところも、日本ならではの「観光」観を感じさせてくれる面白いポイントでした。
すでに1年以上続くコロナ禍。気軽にお出かけができる状況になるのはまだ少し先になりそうですが、多種多様な「観光」の姿が本のなかには眠っています。


ハイブリッド型総合書店honto(hontoサイトの本の通販ストア・電子書籍ストアと、丸善、ジュンク堂書店、文教堂など)でジャンル「芸術・アート」キーワード「観光」の書籍の全性別・全年齢における購買冊数のランキングを抽出。〈集計期間:2020年5月23日~2021年5月24日〉

2021/06/01(火)(artscape編集部)

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カタログ&ブックス | 2021年5月15日号[近刊編]

展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます





ボイス+パレルモ

編集:豊田市美術館、埼玉県立近代美術館、国立国際美術館
デザイン:刈谷悠三+角田奈央(neucitora)
発行:マイブックサービス
発行日:2021年3月
サイズ:200×297mm、368ページ

「ボイス+パレルモ」展(豊田市美術館、埼玉県立近代美術館、国立国際美術館 2021-22年)の公式カタログ。
1960年代のデュッセルドルフ芸術アカデミーで教師と教え子の関係にあったボイスとパレルモ。芸術概念を拡張し、積極的に社会へ働きかけたボイスと、抽象的で静謐な作品を作り続けたパレルモの個性は一見対照的でありながら、芸術を生の営みへと取り戻そうと試みた点では共通していた。──1960-70年代の両者の代表的な作品と本展企画者やドイツの研究者による書き下ろしのボイス論、パレルモ論、各論を軸に、アクションあるいは制作中の様子を捉えた多数のドキュメント写真や、ボイスがパレルモについて直接語ったテキストの全文翻訳など、貴重なアーカイブ資料を織り込んで重層的に構成した一冊。ボイスの「作品」と造形理論にあらためて光を当てるとともに、パレルモの活動を日本で初めて包括的に検証する。

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ボイス+パレルモ:オススメ展覧会(2021年05月01日号)

マーク・マンダースの不在

著者:マーク・マンダース
デザイン:須山悠里
撮影:今井智己
テキスト:松井みどり、ダグラス・フォーグル、鎮西芳美
翻訳:木下哲夫他
発行:HeHe
発行日:2021年5月25日
サイズ:255×180mm、216ページ

彫刻や言葉、オブジェを用いたインスタレーションによって国際的に評価を集める美術家、マーク・マンダース。国内美術館ではじめてとなる東京都現代美術館での個展開催にあわせ、待望の日本初作品集発売!
個展のカタログを兼ねた本書は、本邦初公開となるヴェネツィア・ビエンナーレに出品された作品や、重要な個展では必ず出品されてきた代表作を含む1000㎡に及ぶインスタレーション・ビューを今井智己が撮影。次章では、展覧会未出品20点を含む、計26点の作品について、マンダース本人によるテキストと図版で解説。その他作家のテキスト「マーク・マンダースの不在」「ドローイングのこと」や、スタジオ写真も収録した、作家マンダースを読み解く、貴重なモノグラフです。

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宇佐美圭司 よみがえる画家

編著:加治屋健司
発行:東京大学出版会
発行日:2021年4月10日
サイズ:B5判変形、176ページ

2021年4月から開催される東京大学教養学部駒場博物館「宇佐美圭司 よみがえる画家」展のカタログ。東京大学中央食堂に掛けられていた《きずな》が不用意な廃棄処分で失われたことの反省とともに、傑出した画家として活躍するだけでなく旺盛な評論活動でも知られた宇佐美の仕事を広い視野から捉え直す。出品作品に加えて、代表的な作品の図版、彼自身の文章や詳細な文献目録なども収録し、今後の現代美術研究にも有益な一書。

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「宇佐美圭司 よみがえる画家」展:アートフラッシュニュース(2021年03月26日)

《黄金の林檎》の樹の下で アートが変えるこれからの教育

著者:田窪恭治、高階秀爾、聖心女子大学
編著:水島尚喜、永田佳之
発行:三元社
発行日:2021年4月5日
サイズ:21×21cm、85ページ

「人間として在る」ための学びと、アートはいかにかかわるのか──。アートと出会った瞬間に「あっ、すごい! 」と直感し、他者や世界と融和する子どもたちの「共生的感性」や、「生命」のつながりに美を見る「自然との共生」の思想から、そのすがたを探る。「共生」「持続可能性」「多様性」の象徴として東京・広尾の聖心女子大学に誕生した田窪恭治のモザイク壁画《黄金の林檎》をめぐってくり広げられた、現代社会におけるアート、そして教育論。2017年の完成記念シンポジウム、待望の書籍化。

惑星都市理論

編者:平田周、仙波希望
発行:以文社
発行日:2021年4月21日
サイズ:上製カバー装、456ページ

コロナウイルス感染症の世界的な流行で、人々の移動が大幅に制限されるなかにおいても、まるで何も起きていないかのように駆動し続ける「世界経済」。それはすでに「惑星都市」が存在していることの証でもある。本書は、「惑星都市理論」(=プラネタリー・アーバニゼーション研究)という近年世界的に注目されている分析枠組みを用いて、「インフラ」「ロジスティクス」「リスケーリング」といった「惑星都市」を成り立たせる諸要素を考察しながら、「ポストコロニアル都市理論」「関係論的転回」「都市への権利」「自然の生産」など、欧米の都市理論を賑わせている対抗的ロジックの可能性と限界を見定め、その先を模索しようと試みる。「惑星都市」を私たちのものにするために。

虚像培養芸術論 アートとテレビジョンの想像力

著者:松井茂
発行:フィルムアート社
発行日:2021年3月24日
サイズ:四六判、上製、312ページ

1960年代、テレビジョンの想像力=「虚像」がアートを起動した。 磯崎新は都市デザインを虚業と称し、横尾忠則は虚像となり、高松次郎は影を演じた。今野勉はテレビの日常性を主張し、東野芳明は「テレビ環境論」を書いた。 マスメディアの想像力を分母に、現代を逆照射する戦後日本芸術論。

ディズニーと動物─王国の魔法をとく

著者:清水知子
発行:筑摩書房
発行日:2021年2月15日
サイズ:四六判、336ページ

ウォルト・ディズニーが創造したエンタテインメントは、米国大衆文化の代名詞であり、世界中を席巻している。姫と動物たちが織りなす夢と魔法の世界はいまなお拡大を続けるいっぽう、巨大資本を投入した反自然的な世界、徹底的に飼いならされた無菌化された世界でもある。ディズニーの物語は、現代の政治、社会、文化、自然に何をもたらしたか。その映像は私たちにどのような影響を及ぼしてきたか。その世界の舞台裏を探る。

言葉と衣服

著者:蘆田裕史
発行:アダチプレス
発行日: 2021年2月22日
サイズ:四六判変型、182ページ

私たちは生まれてからずっと、衣服とともに生活している。それなのに、衣服を語る言葉が貧しいのはなぜだろう。あいまいな用語が流通するファッションの世界に向き合い、本書は「言葉の定義=批評のためのインフラ整備」を試みる。ファッションをめぐる新たな思考が、この本からはじまる。

ここにあるしあわせ

著者:近藤亜樹
発行:T&M Projects + ShugoArts
発行日:2021年3月
サイズ:220×280mm、128ページ

2019年冬から2020年春にかけて、近藤亜樹が故郷・札幌にて描いた50点の作品群「ここにあるしあわせ」。

疾駆ZINE "YOUTH"

執筆者:ナタリー・ホーバーグ、石川嵩紘、加藤磨珠枝、上村洋一、菊竹寛、小林エリカ、鈴木俊晴、谷口正造、椿玲子、奈良美智、萩原俊矢、濱田智子、ミヤギフトシ、滝口悠生、蔵屋美香
グラフィック・デザイン:田中義久
発行:YKG publishing / Yutaka Kikutake Gallery Books
発行日:2021年4月10日
サイズ:B5判、40ページ

「Youth(仮)」展のオリジナルZINE 奈良美智さん初の短編小説や出展作家たちの物語、エッセイに加えて、様々な著者たちのYouthにまつわるエピソードを纏めました。





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2021/05/14(金)(artscape編集部)

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