artscapeレビュー
カタログ&ブックス | 2023年9月15日号[近刊編]
2023年09月15日号
展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
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明日少女隊作品集「We can do it !」
「第4波フェミニズム」期のまっただなか、2015年に誕生した社会派アートグループ「明日少女隊」。これまでの作品や活動を網羅するだけでなく、ジェンダー学の基礎知識や時事問題をふんだんに盛り込み、「フェミニスト×アート」を実践的に学べる入門書決定版!
超老芸術
2023年10月3日~10月8日まで、アーツカウンシルしずおかで開催される展覧会の図録。
「超老芸術」とは著者の造語で、「老いを超える」という字のとおり、高齢になってから、または高齢になってもなお、精力的に表現活動をおこなっている人たちのことである。
本書は厳選した25名の超老芸術家の作品とインタビューをオールカラーで収録。長い人生の中で成功だけでなく身近な人の死、貧困、災害などさまざまな喪失体験も重ねながら、それらを表現へと昇華する超老芸術家たちはどういった人生を歩み、なぜその表現に至ったのか。
日本で唯一の「アウトサイダーキュレーター」である著者が、人生100年時代に長く楽しく生きるヒントを彼らのなかに探る。
なぜ美を気にかけるのか 感性的生活からの哲学入門
お気に入りの服を着る、おいしいものを食べる、好きな映画をみる──こうした日常のさまざまな美的選択は、人生にどのような意味をもたらすのか。人はなぜ美的な暮らしを送るのか。現代美学を代表する論者たちが3つの答えを提案する、哲学入門の授業向けに書かれた教科書。著者たちによる座談会とティーチングガイドつき。
小杉幸一(ggg Books 世界のグラフィックデザイン)
デザインでその企業や商品、サービスのキャラクターを明快にし、クリエイティブディレクション、アートディレクションを行う小杉幸一の活動の航跡をたどる作品集。ポスターやチラシ、装丁等のデザインをカラーで紹介する。
創造性はどこからやってくるか──天然表現の世界(ちくま新書)
考えてもみなかったアイデアを思いつく。急に何かが降りてくる─。そのとき人間の中で何が起こっているのか。まだ見ぬ世界の〈外部〉を召喚するためのレッスン。
Dance Fanfare Kyoto Document vol.01-04ダンスの閉塞感から身体の可能性へ
Dance Fanfare Kyotoは2013年から2015年の3年間、作品のクリエイションを通して、関西のダンスシーンの活性化と舞台芸術における身体の可能性の探究をめざす実験の場として活動。2020年の新型コロナウイルスの感染拡大によって受けた大きな打撃をきっかけに、Dance Fanfare Kyotoの成果やコロナ禍以前の関西ダンスシーンの再検証を目的にこのドキュメントが制作された。公式サイトの記事や書き下ろしなどによって構成。
ジョセフ・アルバースの授業──色と素材の実験室
2023年7月29日~11月5日まで、DIC川村記念美術館で開催されている展覧会の図録。
バウハウス、ブラックマウンテン・カレッジ、イェール大学という三つの重要な教育機関で教え、今日なお影響を与え続ける画家・デザイナー、ジョセフ・アルバース。制作と教育の両側面から、その全貌に迫る。
奥能登国際芸術祭2023公式ガイドブック「最涯の芸術祭、美術の最先端」
能登半島の先端、石川県珠洲市を舞台に2017年にスタートした奥能登国際芸術祭が2023年秋に第3回目を迎えます。珠洲市は、5月に震度6強の地震に見舞われましたが、アートを通して地域と地域を、また珠洲市と世界をつなぎ、震災からの復興にむけた光として、9月23日~11月12日まで芸術祭が開催されます。
本書は10のエリアに展開するすべての作品、イベントを紹介し、アクセスからモデルコースなどの巡り方ガイド、現地での飲食・宿泊・お土産など旅に必要な情報までを完全網羅した公式ガイドブックです。
藤森照信の現代建築考
明治初期に開拓した日本の建築という新しい領域にモダニズムが如何にして浸透してきたのか。日本の建築界は近代という激変の時代に、コルビュジエやバウハウスの影響を受けながらも対応してきた。時代を代表する建築家たちの45作品を通してその特質を考察する。
ル・コルビュジエ モダンを背負った男
ル・コルビュジエの評伝。生い立ちから最期までを描き、ル・コルビュジエの生きざまと思考に迫る一冊。『ジェイコブス対モーゼス ニューヨーク都市計画をめぐる闘い』を著したジャーナリスト、アンソニー・フリントによる巨匠ル・コルビュジエの包括的な評伝。
色から読みとく絵画 画家たちのアートセラピー
〈 一枚の絵が生きた人間の物語としてあらわれる 〉
生きることに困難を抱えた画家たちは、内面に渦巻く感情をキャンバスに解き放ち、心を癒やし、生命の歓びを描いた──。
色彩心理の研究をもとに長年アートセラピーに取り組み、絵は人の心の表現だと考える著者が作品を深く味わう見方をつづる。
Continuum 想像の語彙
2023年7月6日〜9月24日まで、東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の展覧会の図録。
いつの時代のものともしれない謎めいた建造物がぽつりと建っている。鑑賞者を時空を超えた世界へと誘う美術家・野又穫の初期〜最新作を紹介。
アートとフェミニズムは誰のもの? (光文社新書)
アートとフェミニズムは少なくない人びとから、よく見えていないのです。「よく見えていない」とは、見ていて良い気がしない、というのもありますが、どちらかと言うと、そこにあることはわかっているのだけど、見通しが悪くてその実態がよく見えないということです。いわば、アートとフェミニズムは、(中略)入門したくてもしにくい「みんなのものではないもの」なのです。(「はじめに」より)もともと、「みんなのもの」になろうとするエネルギーを持っているアートとフェミニズム。現代社会では両者に対する理解の断絶が進んでいる。この状況に風穴を開けるには──。美学研究者による新しい試み。
挑発関係=中平卓馬×森山大道
2023年7月15日~9月24日まで、神奈川県立近代美術館 葉山館で開催中の展覧会の図録。
現代写真史に大きな独自の足跡を残す二人の写真家の、若き日にともに過ごした葉山、逗子(神奈川)を起点に、世界のアートに越境的に影響を与えてきた二人の、その出発点と現在を貫く「挑発関係」の共振と発信を跡づける、初めての貴重な試み。「27歳になったばかりの中平卓馬とぼくが、逗子の海で、葉山の海で日々を過ごしていた頃の遠い夏の記憶は、ぼくとしてはまさに「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい」ということになろうか。つまり、写真家・中平卓馬と写真家・森山大道の二人は、現在も終わることなき〈挑発関係〉を続けているのかもしれない」(森山大道〔あとがき〕より)。
庭のかたちが生まれるとき 庭園の詩学と庭師の知恵
徹底的に庭を見よ!
作庭現場のフィールドワークから、庭の造形を考え、庭師の生態を観察し、庭のなりたちを記述していく、新感覚の庭園論がここに誕生!
庭師であり美学者でもあるというユニークなバックグラウンドを持つ注目の研究者・山内朋樹の待望の初単著。
障害の家と自由な身体──リハビリとアートを巡る7つの対話
バリアフリーは「障害者」を「健常者」に合わせる考え方だが、社会の均質化につながるのではないか。本当のゆたかさは「障害」の側にあるのではないか。そうした意識から、アーティストである大崎晴地は、障害そのものを建築的に考える《障害の家》プロジェクトを進めてきた。三度の展示を経て、建設に向けた計画が始まっている。本書はこれまでの展示と連動して行なわれた対談・座談の記録集であり、「障害」「家」「リハビリ」「アート」を多角的に考えるための一冊である。「障害」が、真のゆたかさと自由につながる。哲学/精神医学/建築/アートを横断しながら、障害を考える対話集。
DRAWING ドローイング 点・線・面からチューブへ
ドローイングとはなにか? いまなぜ、ドローイングは世界的に重要視されているのか? その答えは、描かれたラインを「チューブ」として捉えたときに見えてくる──国際的に注目されるアーティスト・鈴木ヒラクが書き下ろす渾身の〈ドローイング原論〉。
2023/09/14(木)(artscape編集部)