artscapeレビュー
artscape編集部のレビュー/プレビュー
カタログ&ブックス│2013年1月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
集落が育てる設計図 アフリカ・インドネシアの住まい
LIXILギャラリーで行なわれている「集落が育てる設計図–アフリカ・インドネシアの住まい」展のカタログ。本書では、50ヵ国500もの集落を実測記録してきたフィールドワークの中から、住居づくりの原点である「土」からなるアフリカと「木」からなるインドネシアのユニークな住まいを2本柱に、集落ごとの独自性と共通性を、味わいのある線描写の立体図面や平面図また写真を多用し、分かりやすく読み解いていく。調査リーダー・藤井明氏の丁寧な解説付きで、暮らしの原点に通じる英知と空間に潜む考察が繰り広げられる。調査に同行した元研究生らのインタビューも収録。建築家の目で行ってきたフィールドワークの成果を凝縮した一冊。
同展覧会は、2013年2月21日までLIXIL大阪ギャラリー、2013年3月6日〜5月25日にはギャラリー1(東京)にて行なわれる。
[LIXIL出版サイトより]
冥府の建築家 ジルベール・クラヴェル伝
幼少期の結核が元で宿痾をかかえたジルベールは、イタリア未来派の演劇活動として未来派演劇の監督、さらに「自殺協会」と題された幻想小説の作家であり、アヴァンギャルドにして、南イタリアはポジターノの岩礁を爆破し穿孔して建てた洞窟住居の建築家である。本書は、バーゼル、マッジャ、ローマ、ポジターノなど、スイスとイタリアの各地に分散した遺稿や資料を可能なかぎりすべて調査し、この知られざる特異な作家/建築家の生涯と妄執を辿り直した、世界でも初めての評伝である。
[書籍帯等より構成]
マグリット 光と闇に隠された素顔
日本人初のベルギー王立美術館公認解説者・森耕治氏による、マグリットの作品を新しい解釈で読み解いた作品解説書です。《光の帝国》《大家族》《ピレネーの城》といった日本でも有名な作品はもちろん、マグリットの人生を解き明かすうえでかかせないシュルレアリスム以前の作品や、これまで日本では画集に掲載されたことのない貴重な作品なども収録した、画集としても充実の1冊です。作品のほかに、当時のモノクロフィルムや、現在のマグリットゆかりの地の写真も豊富に掲載! “イメージの魔術師”の異名を持つマグリットが追い求めたもの。それが人類普遍の願いであることに、あなたもきっと驚くはずです。
[マール社サイトより]
TOKYO INTELLIGENT TRIP 02 TOKYO研究所紀行
最先端科学から宇宙研究、暮らしの最新技術まで実際に訪れて、見学できる研究所を集めました。ほんの少し先の未来を感じられる場所へ、小さな旅に出かけてみませんか。
「TOKYO図書館紀行」に続く、TOKYO INTELLIGENT TRIPシリーズ第2弾!!
好奇心が刺激される最新研究所を紹介します。福岡伸一、枝廣淳子書き下ろしエッセイ、べつやくれい研究所コミック、瀬名秀明、福江翼インタビューなども収録。
最新の研究を知ることができる、これまでになかった研究所ガイドです。
[玄光社特設サイトより]
7iP♯03 KOJI KAkiuchi
建築を完成させるまでの行程を丁寧に繙いていきました。
プロジェクトによって変化する建築家の考え方、 作り上げるための構造、設備、施工のアイデア。クライアントをはじめ、携わる人とのコミュニケーション… 1つのプロジェクトだけを特集した本。
1冊で1プロジェクト、シングル盤のような本をつくりました。
この目的のもとすすめられる7inchProjectの第3弾。100年前から建つ京都の町家を、垣内光司と素人である施主(作り手=住み手)が ゼロから作り上げていくプロセスを通して、DIYの社会性とその未来を探る。
[7inchiprojectサイトより]
TOKYO BOOK SCENE
読書体験をシェアする。新しい本の楽しみ方ガイド
本書は、“新しい読書体験のビギナー”に向け、東京近郊の「本を介したコミュニケーションの場」を紹介するブックカルチャーガイドです。気になる個性派本屋、おしゃれなブックカフェはもちろん、それぞれ課題図書を読んできて、感想を話し合う読書会、珍しい本との出会いに誘う古本市など…。
これまでは読書と言えば、個人で楽しむものでしたが、最近はSNSなどを通じて“みんなで本を楽しむ”新しい読書スタイルの提案などもしています。
本好きの方はもちろん、新しいブックカルチャーに触れてみたい方、知的な趣味を探している方などにも、ぜひ手にとっていただきたい一冊となっています。
[玄光社サイトより]
2013/01/15(火)(artscape編集部)
カタログ&ブックス│2012年12月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
文化からの復興──市民と震災といわきアリオスと
福島第一原発から約40キロに立地する「いわき芸術文化交流館アリオス」では市民と一体となって文化による復興にチャレンジしている。
本書は震災直後の緊迫した状況を現場の声から振り返り、アリオスと地域のユニークな取り組みや東北3県の主要文化施設のキーパーソンらとの座談会、そして文化からの復興の意味を考える。震災後の未来を「文化の力」「アートの力」から展望し、公共文化施設と芸術文化の持つ可能性と、その役割について多方面から考察した本書は、地方行政関係者、指定管理者、市民団体やアーティストを始めとして、震災復興まちづくりに携わる全ての人、必読の1冊である。
[水曜社サイトより]
photographers' gallery press no. 11
2011年3月の東日本大震災と福島第一原発事故以来、被災状況などを記録した数多くの写真が撮影されています。災害を記録するとはどういうことか、この度の震災は写真というメディアに多くの問いを投げかけています。
本誌では、関東大震災直後の鉄道、圧倒的な規模の土砂災害、近代最大級のトンネル工事を記録した、3つの写真帖を約200頁にわたって収録し、伊藤俊治氏・平倉圭氏の書き下ろし原稿とともに、災害表象をこれまでにないかたちで捉え直します。また気鋭の執筆陣を迎え、これからの写真や美術、批評のあり方を導くような濃密な論考・対談を掲載いたします。
[photographers' gallery サイトより]
超域文化科学紀要 第17号─2012
超域文化科学専攻所属教員と学生による研究論文集。比較文学比較文化、表象文化論、文化人類学という3つのコースが、それぞれのアプローチの特徴を生かし、様々な文化的・社会的現象を分析する場である。掲載される論文は、本専攻所属の教員による厳格な審査を経ている。
[東京大学大学院総合文化研究科サイトより]
前田敦子はキリストを超えた──〈宗教〉としてのAKB48
AKB48の魅力とは何か?なぜ前田敦子はセンターだったのか?
〈不動のセンター〉と呼ばれた前田敦子の分析から、AKB48が熱狂的に支持される理由を読み解いていく。なぜファンは彼女たちを推すのか、なぜアンチは彼女たちを憎むのか、いかにして彼女たちの利他性は育まれるのか……。握手会・総選挙・劇場公演・じゃんけん大会といったAKB48特有のシステムを読み解くことから、その魅力と社会的な意義を明らかにする。
圧倒的情熱で説かれる、AKB48の真実に震撼せよ!
[筑摩書房サイトより]
2012/12/17(月)(artscape編集部)
カタログ&ブックス│2012年11月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
「3.11とアーティスト|進行形の記録」記録集
水戸芸術館現代美術ギャラリーにて開催中の展覧会「3.11とアーティスト|進行形の記録」の記録集。展示風景の写真と震災以降の活動概要で同展を再現するほか、参加作家へのメール・インタビューとテキスト(竹久侑、鷲田清一、椹木野衣、畠山直哉)によって、震災以降の社会の変動を辿る。震災以降の社会事象(震災・原発/文化・芸術)をまとめた年表も収録。「あれから」を見つめ「これから」を考えるための、もうひとつの「現在形の記録」。
アーカスプロジェクト 2010-2011 いばらき 活動記録集
茨城県の守谷とその周辺地域を起点に、国際的に活動するアーティストが滞在制作を行うアーティスト・イン・レジデンスプログラム。レジデンスプログラムの紹介に加えて、過去に招聘したアーティストの現在の活動を追うアーティスト一覧や地域プログラムについての項目が設けられた、アーカスプロジェクト2010年から2011年の活動記録。[ARCUS サイトより]
アートスクールで学ぶ 101のアイデア
アートの“本質”を身につけるための発想とは何か。作り、観て、深く感じるための方法が満載!ドローイングの基本、表現形式や素材の選び方から、構図の作り方、観察力の養い方まで。制作のテクニックと世界と対話するためのすべて─。[本書表紙より]
IMA 2012 Autumn Vol.1
特集テーマは「家族」。写真が生まれてから今日に至るまで、洋の東西を問わず、数えきれない写真家がテーマとしてきた「家族」。この100年のバラエティに富んだ作品を振り返ることで、多様な世界観と手法の違いを楽しみ、また変革する世界の流れに思いを馳せる。[IMA サイトより]
陰影論 デザインの背後について
速度と効率最優先の資本主義とデザインが、自然と環境を廃墟へと導く。運動/静止、強さ/弱さ、表層/深層と、見失われた微妙な空間に潜む〈陰影〉の豊かなダイナミズムを、デザインは捕捉・蘇生し、新たな社会を構築できるか─。[本書帯より]
森山大道 カラー color
東京 2008-2012。白と黒のコントラスト、粒子のテクスチャー、フィルムと印画紙のマチエールを離れ、「色」に溺れることもなく、「そこにある東京」をコンパクトデジタルカメラ片手に4年にわたり撮りつづけた待望の最新作=カラー作品集![月曜社 サイトより]
2012/11/15(木)(artscape編集部)
カタログ&ブックス│2012年10月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
山と森の精霊 高千穂・椎葉・米良の神楽
2012年9月7日より、LIXILギャラリー大阪、ギャラリー1(東京)を巡回する「山と森の精霊 高千穂・椎葉・米良の神楽 展」カタログ。20年以上にわたって宮崎の神楽を調査・研究している高見乾司氏の解説とともに、3地域の神楽の特徴を臨場感溢れる図版で展開。また、神に扮する際に纏う仮面を、九州民俗仮面美術館のコレクションから40点を厳選し紹介する。論考では、仮面考ほか、神楽の中で生き続けてきた神々の姿について、また全国の神楽を行脚した著者による宮崎の神楽の特徴について考察する。最後に11名によるインタビューから神楽を次世代へと伝える人々の思いを紹介する。宮崎の風土を大きな舞台に、自然と密接した暮らしの中で受け継がれてきた精霊との交流のあり方をこの一冊から届ける。[LIXIL出版サイトより]
リトルプレス「Temporary housing + shelter」
2011年、ともに大きな地震に襲われたニュージーランドと日本。両国でそれぞれ出版プロジェクトを行なう split/fountainとWhatever Pressが、企画・編集チームとしてコラボレートし、'Temporary housing + shelter'というテーマで世界各国20人以上のアーティスト、建築家、デザイナー、ライターたちの作品を一冊にまとめた。この冊子自体をもまたテンポラリな家と見なし、本のあり方・つくり方自体を形式的にゼロから根本的に考え、つくり上げた一冊。印刷に対しても実験的に向き合い、ローレゾリューション形式であるリソグラフ印刷をあえて採用している。デザインは、オランダのコンテンポラリーデザインの震源地、ヴェルクプラーツ・タイポグラフィ出身の気鋭のデザイナー・ライラTC。日本語タイプセットは、同校卒の木村稔将が担当。英語翻訳はAi Kowada Gallery所属の現代アーティスト、ミヤギフトシ。10月現在、初版完売のため、二刷りを11月以降に増刷予定。
アート・ヒステリー──なんでもかんでもアートな国・ニッポン
「アート=普遍的に良いもの」ですか? そこから疑ってみませんか? と「アート」の名のもとに曖昧に受け入れられ、賞賛される現在の日本社会に疑問を投げかける評論集。近代から現代にかけての日本美術が社会にどのように受け入れられてきたのか歴史・教育・ビジネスなどの視点から「アート」を問う。ピカソやデュシャン、岡本太郎、村上隆からクリスチャン・ラッセン、Chim↑pomなどさまざまなアーティストやストリートアートなどが取り上げられている。
現代建築家コンセプト・シリーズ12
石川初 | ランドスケール・ブック ― 地上へのまなざし
近年、東京という都市のなりたちを100万年の単位でとらえ、足下の地形への感覚を新鮮に甦らせる仕事が注目を集めている。また、その地形の上に立つ「団地」や「工場」「巨大ジャンクション」など、近代都市の営みを愛おしむまなざしが共感を呼んでいる。これらは私たちに21世紀的な都市の見方、感じ方、楽しみ方を提示し、その上に建つ建築のあり様をも問いかける。本書では、ランドスケープアーキテクト石川初のフィールドワークの視点を紹介。私たちが日常を過ごしている街、行ったことのある都市、知っている世界も視点やスケールを変えて見ると、そのたびに鮮やかに、異なる姿をして現われる。「地形」「地図」「時間」「境界」「庭」のキーワードをもとに、都市の新しい読み解き方や発見の方法を探る一冊。[LIXIL出版サイトより]
現代建築家コンセプト・シリーズ13
吉村靖孝 | ビヘイヴィアとプロトコル
建築基準法を遵守するあまり街並から浮いてしまった建物や、コンテナを建築に活用する事例の収集など、若手建築家・吉村靖孝は、建築の社会的な成り立ちを問い直し、社会に関わる方法の観察と分析を行なってきた。そして現在、社会構造とそれにともなうクリエイティヴ環境の激変にともない、建築・空間は、日常生活の機微(ビヘイヴィア)を手がかりにするだけでは成立せず、規制、法、労働力、市場、流通、ローンなど、広域的で外部的なマニュアル(プロトコル)を通観しなければならない状況に直面している。吉村は、いまこそ両者の対立と矛盾を丁寧に取り除き、大胆に架橋していく可能性を示す必要があるという。多数の自作アイディアとともに、建築・都市に参入する新しい建築家像を示す一冊。[LIXIL出版サイトより]
2012/10/15(月)(artscape編集部)
カタログ&ブックス│2012年9月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
伯爵夫人おすすめの個性派美術館 パリのミュゼたち
本書は、「メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス(MMF)」のwebサイト(http://www.museesdefrance.org/)に連載中の「マダム・ド・モンタランベールのミュゼ訪問」から、パリとその近くにあって、日本ではあまり知られていないものの個性的で魅力あふれる美術館10館を選び、その美術館の特色などを紹介しています。アートファンはもとより、ルーヴルやオルセーといった著名な美術館に何度も足を運んだことがあるパリ通の方でも、きっとパリの新たな一面を発見できる一冊で、日・仏語併記となっています。
[大日本印刷株式会社HPより]
「具体」──ニッポンの前衛 18年の軌跡
具体美術協会(「具体」)は、1954年、関西の抽象美術の先駆者・吉原治良をリーダーに、阪神地域在住の若い美術家たちで結成された前衛美術グループです(1972年解散)。グループ名は、「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示したい」という思いをあらわしています。「具体」が駆け抜けた1950-60年代は、日本が敗戦から立ち直り、右肩上がりの経済成長により奇跡的な復興を遂げた時代でもありました。本展では、そんな時代を象徴するかのようなチャレンジ精神、創造的なエネルギーあふれる作品、約150点を一堂にご紹介します。
[展覧会HPより]
建築を彩るテキスタイル─川島織物の美と技─
本書では、織物の用途を一気に拡大した二代川島甚兵衞の功績と、現在まで連綿と続く「ものづくり」の現場を図版豊富に紹介しながら、染織品に秘められた美と技を再考する。最大の見どころとして、今回は写真界の巨匠、十文字美信氏をカメラマンに迎え、新たな撮りおろしの図版で展開する。独特の視点で捉えられた作品や工場内風景はもとより、繊細で鮮やかな染織品の質感や表情までもくっきりと浮かび上がらせる。二代甚兵衞が研究のため国内外で蒐集した裂地や装束などの貴重な資料も登場し、国内初のショールーム「織物参考館」の試みも披露する。(中略)染めと織りがあやなす人の手の痕跡と技術の集積をみつめる一冊。
[LIXIL出版HPより]
自伝でわかる現代アート 先駆者8人の生涯
マン・レイ、アンディ・ウォーホル、田中一光、草間彌生など、20世紀以降の芸術シーンを揺るがした8人の自伝をひもときながら、その創造の源泉を探る。ひと味違う現代アート入門。
[平凡社HPより]
『S-meme Volume04 SSD 2012 Project Based Learnimg1 メディア軸 現代美術と地域』
仙台から発信する文化批評誌『S-meme』の第四号は、せんだいスクール・オブ・デザイン第四期の成果物。テーマは「現代美術と地域」。仙台の美術環境をリサーチし、その状況を考えることを今期のテーマに掲げる。
[せんだいスクール・オブ・デザインHPより]
2012/09/18(火)(artscape編集部)