artscapeレビュー
サン・フランチェスコ教会ほか
2016年10月15日号
[イタリア、ミラノ]
Italoの特急に乗って、ミラノに戻る。ジオ・ポンティめぐりを再開する。かつて彼自身が凝った窓辺空間をつくって、最上階で暮らしたデッツァ通りの集合住宅(1957)へ。各住民が色を決める部分があり、ファサードはかわいらしくカラフルだった。この奥に彼が設計したロッセッリ工房もあるはずだが、道路からのぞいても見えなかった。そして一番見たかったサン・フランチェスコ教会(1964)へ。ダイアモンド形の開口が並ぶ巨大な屏風のような被膜としてファサードが、セラミック・タイルに覆われ、背後の茶色のタイルのヴォリュームと好対照をなす。クセのある造形といい、強力な個性である。最後にミラノ駅前のピレリ・ビルを訪れると、だいぶ見方が変わる。遠景では幾何学的な構成やプロポーションのよさが際立つが、近づくと、やはりタイルのテクスチャーが存在感をもつ。
写真:左=上から、デッツァ通りの集合住宅 左下2枚・右上=《サン・フランチェスコ教会》 右下=《ピレリ・ビル》
2016/09/16(金)(五十嵐太郎)