artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

《ワールド・トレード・センター・トランスポーテーション・ハブ》

[アメリカ、ニューヨーク]

竣工:2016年

続いてグラウンドゼロに向かい、完成したカラトラヴァの《WTCトランスポーテーション・センター》を見学する。超高層ビル群はやや凡庸だが、足元にアイコンを入れてバランスをとっている。

2016/03/10(木)(五十嵐太郎)

Laura Poitras: Astro Noise

会期:2016/02/05~2016/05/01

ホイットニー美術館[アメリカ、ニューヨーク]

最寄駅から新生ホイットニー美術館に向かう途中、石上純也の旧ヨウジヤマモト店に出くわす。今回はテナントが半分入っていた。ホイットニー美術館は、シカゴの美術館増築と同様、レンゾ・ピアノの安定した設計で、やはり失敗がない。8階、7階、6階など、展示室から続く屋外テラスの開放感とマンハッタンの眺めが抜群にいい。ホイットニー美術館では、アメリカ現代美術の常設と、政治・社会×テクノロジーの色彩が強いLaura Poitrasの企画展を開催していた。後者はトップライトを使わず、建築の本領発揮ではないが、5階のオープンプランは巨大空間を壁なしでそのまま使うアート企画である。なるほど、とんでもなく広い。ニューヨークでは最大の無柱の展示室らしい。

写真:上から、旧ヨウジヤマモト店、ホイットニー美術館

2016/03/10(木)(五十嵐太郎)

A Japanese Constellation: Toyo Ito, SANNA, and Beyond

会期:2016/03/13~2016/07/04

MoMA(ニューヨーク近代美術館)[アメリカ、ニューヨーク]

ニューヨークに到着し、MoMAの「A Japanese Constellation」展を見る。同館で特定の国に限定した建築展は過去にほとんど例がなく、日本の建築家に焦点を当てた企画は初めてらしい。展示は伊東豊雄で始まり、《せんだいメディアテーク》から《台中国立歌劇院》までを紹介する。その後は伊東スクールが続く。次にSANAAと妹島和世の展示エリアが設けられ、次に西沢立衛が間に入って、若手として石上純也、藤本壮介、平田晃久が三列で奥に並ぶ。こうした師弟関係の系譜を描けるのは、海外ではあまり例がなく、おそらく日本の建築界の特徴だろう。映像はややぼやけてしまうが、白く薄い三重の膜で仕切り、プロジェクションを行なう展示が美しい。そして展示の最後は、みんなの家のプロジェクト群である。最近いつも寒い時期にニューヨークに滞在したが、3月はいい天気で、中庭に多くの人が和む。ほかの企画としては、マルセル・ブロータス、戦争、写真、ジャクソン・ポロック、エンドレス・ハウス(準備中)などが行なわれていた。日本人では、志賀理江子の螺旋海岸シリーズの一部が展示され、いつものように床置きとなっていた。

写真:左=上から、A Japanese Constellation入り口、伊東豊雄、SANAA、石上純也、藤本壮介、平田晃久、右=上から、みんなの家プロジェクト群、マルセル・ブロータス、ジャクソン・ポロック、志賀理江子

2016/03/09(水)(五十嵐太郎)

中国建築家連続講義第2回 朱濤:梁思成とその時代──〈中国近代建築〉はいかに生まれたか?

会期:2016/03/08

シバウラハウス5階バードルーム[東京都]

香港から招いた朱濤によるレクチャー「梁思成とその時代」をシバウラハウスで行なう。これまで断片的な知識しかなかった中国の建築史家、梁思成のイメージをようやくつかむ。近代は新しい時代を創造すると同時に起源への探求と大きな物語=歴史を行なうが、中国では彼がその役割を担う。20世紀初頭に梁思成と妻の林徽因が唐代を理想的な過去とし、フランス19世紀のように、ゴシック建築と重ねて構造的な合理性を説きながら、モダニズムとの類似を論じた。これを伊東忠太が美学的な比例論から法隆寺を古典主義のパルテノン神殿と比較して持ち上げたことに比べると興味深い。梁思成は、中華人民共和国の成立後、十大建築ほか、国家の方針に翻弄されつつ、天安門広場の改造とは別の立場をとっている。またコロニアリズムとみなして、日本による近代建築や外国の様式建築を嫌ったという。ところで、梁と林は、中国建築の特徴として巨大さを挙げなかったが、日本からその源流の中国建築を見ると、古代から現代まで日本とのスケール感の違いは圧倒的だと思う。

2016/03/08(火)(五十嵐太郎)

せんだいデザインリーグ2016 エスキス塾

会期:2016/03/07

せんだいメディアテーク 5Fギャラリー3300ホワイエ[宮城県]

せんだいデザインリーグの会場を朝9時からまわり、午後の新企画、エスキス塾の追加候補の作品を選ぶが、もう仙台を離れた学生も多く、実際にはほとんど増えなかった。エスキス塾では、4時間30分かけて、堀井義博さんと二人で頭をフル回転しながら作品を講評し、その後は懇親会も行なう。相手は40名弱である。大変なイベントだったが、デザインリーグのファイナルではわずか10名しか選ばれないわけだから、埋もれていた各地の学生の作品に出会うことができてよかった。

2016/03/07(月)(五十嵐太郎)