artscapeレビュー
中国建築家連続講義第2回 朱濤:梁思成とその時代──〈中国近代建築〉はいかに生まれたか?
2016年04月15日号
会期:2016/03/08
シバウラハウス5階バードルーム[東京都]
香港から招いた朱濤によるレクチャー「梁思成とその時代」をシバウラハウスで行なう。これまで断片的な知識しかなかった中国の建築史家、梁思成のイメージをようやくつかむ。近代は新しい時代を創造すると同時に起源への探求と大きな物語=歴史を行なうが、中国では彼がその役割を担う。20世紀初頭に梁思成と妻の林徽因が唐代を理想的な過去とし、フランス19世紀のように、ゴシック建築と重ねて構造的な合理性を説きながら、モダニズムとの類似を論じた。これを伊東忠太が美学的な比例論から法隆寺を古典主義のパルテノン神殿と比較して持ち上げたことに比べると興味深い。梁思成は、中華人民共和国の成立後、十大建築ほか、国家の方針に翻弄されつつ、天安門広場の改造とは別の立場をとっている。またコロニアリズムとみなして、日本による近代建築や外国の様式建築を嫌ったという。ところで、梁と林は、中国建築の特徴として巨大さを挙げなかったが、日本からその源流の中国建築を見ると、古代から現代まで日本とのスケール感の違いは圧倒的だと思う。
2016/03/08(火)(五十嵐太郎)