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建築に関するレビュー/プレビュー

TANGE BY TANGE 1949-1959 / 丹下健三が見た丹下健三

会期:2015/01/23~2015/03/28

TOTO ギャラリー・間[東京都]

彼が自ら撮影した写真展なので、伸ばした写真の展示と思いきや、コンタクトシートを台の上に並べるという展示の手法だった。丹下がトリミングの赤を入れる前と、切り取った画像を左右で比較できる映像が良かった。自邸はなんとヘリコプターから撮影している。ともあれ、丹下は、実現した建築を再度、写真を通じて自分の手にとりかえすかのように撮影していたのではないか。

2015/01/30(金)(五十嵐太郎)

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建築のこころ ─アーカイブにみる菊竹清訓展─

会期:2014/10/29~2015/02/01

国立近現代建築資料館[東京都]

国立近現代史資料館の「建築のこころ アーカイブにみる菊竹清訓展」を見る。模型、図面、スケッチなど、想像以上に作品の点数が多いが、実はこれでも一部しか使っていないヴォリューム感だった。デジタル化された資料を閲覧できるのも良い。裏面も使っている学生時代のスケッチ、ドローイング、1950年代のブリジストンの仕事、京都会館のコンペ企画書など、見所が多い。これなら美術館で開催しても全然おかしくない内容である。

2015/01/30(金)(五十嵐太郎)

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福島の復興に向けた勉強会「福島・原発避難・復興・モラルを考える」、木造 復興住宅 小規模コミュニティ 郡山プロジェクト

会期:2015/01/25

郡山プロジェクト[福島県]

芳賀沼さんの案内で、福島の被災地をまわる。以前、南からは富岡、北からは小高まで訪れたが、今回は許可が必要な双葉や浪江のエリアに入ることができた。人がいなくなった街は、前回も見たが、ここでは震災による被害がもう少し大きい。やはり、風景が激変した宮城県や岩手県の被災地とは違い、手つかずで、そのまま時間が止まったままである。3.11の記憶が残る場所としてだけでなく、古い建築ゆえに、昭和の香りが感じられる場所としての意味も獲得している。遠くからだが、初めて肉眼でフクイチを見ることもできた。その後、南相馬の塔と壁画のある仮設住宅地の自治会長だった方の家に訪問する。来年の完全帰宅可能をにらんでの自宅の改築計画は、次の建築の一手として重要なものになりそう。最後は、はりゅうウッドスタジオが、難波和彦やスタジオナスカ他の建築家とコラボレーションした郡山プロジェクトの現場に移動し、一緒に見学した青井さん、浅子さん、中川さんらと、福島をめぐるトークを行なう。


左:双葉町 右:浪江町請戸漁港周辺


左:浪江町請戸漁港周辺 右:フクイチを見る


郡山プロジェクト

2015/01/25(日)(五十嵐太郎)

京都精華大学デザイン学部建築学科 4年生卒業制作講評会

会期:2015/01/23

京都精華大学[京都府]

京都精華大にて、卒制のゲストジュアラーをつとめる。今回もバラエティに富む作品群だった。最優秀賞は松村亜沙子さんによる個人的な記憶の空間を集積させた小学校、優秀賞は鈴野一史くんによる干上がった田んぼの地割れの建築化プロジェクト、北牧千佳さんの円と曲線による幼稚園、そしてインテリア賞は伊藤めぐみさんのポータブル家具と、妥当に決定する。そこで五十嵐賞は、金沙紀さんの文字を建築化するプロジェクトに贈る。

2015/01/23(金)(五十嵐太郎)

国宝 蓮華王院 三十三間堂

[京都府]

向かいの三十三間堂を久しぶりに拝観した。建築史でも重要な作品だが、多くの来場者にとっては室内で千体の千手観音を見るのが主な目的だから、常設のインスタレーションがある一種の美術館のような空間といえるかもしれない。超横長の平面に、ひな壇をつくり、ずらりと千手観音を並べるわけだが、内部では一望できる視点はない。鑑賞者も横に移動しながら、たどっていく空間の体験が興味深い。

2015/01/23(金)(五十嵐太郎)